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障害者シェアハウスの入居者が考える、介護施設のコロナ対策

障害者シェアハウスの入居者が考える、介護施設のコロナ対策障害者シェアハウスの入居者が考える、介護施設のコロナ対策

日本全国を脅かしている新型コロナウイルス感染拡大。その影響は介護施設にも及んでいます。
お年寄りや身体の不自由な方が利用する介護施設では、どのようなコロナ対策を講じているのでしょうか。また、介護施設におけるコロナ対策の課題はどこにあるのでしょう。

この記事では、コロナ対策の現状をふまえつつ、介護施設特有の新型コロナ対策の難しさについて障害当事者、介護スタッフの声をまじえてお伝えしていきます。


介護施設におけるコロナ対策の現状

日本国内で新型コロナウイルスの脅威が危惧されはじめたのは、2020年2月中旬のことでした。
2020年初頭には中国の武漢で新型コロナウイルスの感染拡大が起き、つづいて2月上旬から中旬にかけては日本でも北海道を中心に感染拡大の第1波が発生し、その動向が注視されていました。

さらに、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の船内で大規模なクラスターが発生し、マスメディアのセンセーショナルな報道もあり、「新型コロナウイルス=脅威のウイルス」というイメージが全国的に広まっていきました。

それでも、2月下旬あたりまでは全体的にコロナウイルスに対する楽観ムードが広がっており、介護施設でも手洗いや消毒を徹底する程度で、基本的には通常通りの活動がつづけられていました。

状況が大きく変化したのは、3月以降です。新型コロナウイルスの感染者数が東京都内でも3桁を超えるようになると、介護施設のコロナ対策も次第にシビアになっていきました。

「3密回避」の名目のもと、施設内のレクリエーションや外出が大きく制限され、デイサービスやショートステイの利用を断る施設も出てきました。

特に、ハイリスク患者に指定された高齢者や基礎疾患を持っている人が多く利用する施設では、食事もすべて個室に運ぶなど、まるで接触禁止のような対策がとられました。

緊急事態宣言解除後、介護施設はそれぞれの判断でコロナ対策を緩めたり、見直したりしています。
レクリエーションや外出についても段階的に解禁し、「利用者のQOLと感染対策のバランスをいかに取っていくか」という局面に進んでいる感があります。

しかしながら、コロナウイルス新規感染者が依然として多い東京や大阪などの大都市圏の介護施設では、緊急事態宣言解除後も厳しいコロナ対策がつづいており、「絶対に感染者を出してはならない」というプレッシャーでスタッフ、利用者ともに疲弊しているという現状があります。

介護施設のコロナ対策は難しい

カフェやレストランなどと比較しても、介護施設のコロナ対策は特殊で、ハードルが高いと言えます。
カフェやレストランであれば、いったん全面休業をすることで感染リスクをおさえることができます。しかし、介護施設の場合、「完全休業」というのは容易なことではありません。

長期入所施設については原則として閉鎖することができませんし、デイサービスやショートステイについても毎日通っている利用者がいるかぎり、「閉めてしまえばとりあえず解決」というわけにもいきません。

現に、定期的に通っていたデイサービスがコロナ対策によって一時閉鎖されたため楽しみを失い、運動機能や認知機能が大幅に低下してしまうケースが年齢を問わず見られています。

施設内でのレクリエーションも大幅に減っているため、利用者同士のコミュニケーションが極端に減ったり、スタッフの目が行き届きにくくなったりと、QOLの維持が難しくなった、という現場の声も聴かれます。

面会を制限していたり、禁止していたりする施設も多く、家族とのコミュニケーションが不足して不安になり、不穏状態がつづく利用者も少なくありません。

また、デイサービスやショートステイをレスパイト(一時的な休息)として利用していた家族にとっても、介護施設の閉鎖は死活問題です。
レスパイト以外でも、デイサービスの時間を利用して働く、という形態も増えており、暮らしそのものにも大きな影響が出ています。

このように、介護施設が「暮らしのインフラ」となっている現状では、国や自治体が求めるような完璧な形でのコロナ対策は難しく、スタッフも手探りでコロナとの向き合い方を考えている、という段階にきているようです。

今、介護施設が取るべきコロナ対策とは?

当初の予想と反し、日本全国で感染が拡大している新型コロナウイルス。ワクチンや特効薬の開発には最長で5年以上かかるとも言われており、コロナ対策が長期化・常態化することは確実です。

そうした現状をふまえ、介護施設ではどのようなコロナ対策をとるべきなのでしょうか。これまでのような「ゼロリスク」を追い求めるコロナ対策だけで、本当に充分なのでしょうか。

介護施設は、コロナ対策と非常に相性の悪い分野であると言えます。
お互いに接近しなければ介護は成り立ちませんし、「3密」を怖がってばかりいては、外出やレクリエーション活動はどんどん視野の外に追いやられ、「利用者のQOLは二の次」ということにもなりかねないでしょう。

スタッフのケアも重要です。介護施設のスタッフは今、「感染させてはいけない」というプレッシャーに押しつぶされています。
感染を極端に恐れるあまり自宅にも帰れず、自家用車を生活空間にしている介護職員も実際にいます。

もちろん、感染防止は大切です。さけられるリスクはさけなくてはなりませんし、もともとハイリスクとされるお年寄りや基礎疾患保有者の命をどう守るか、ということについては今後も慎重な協議が必要になるでしょう。

しかしながら、いつまでも怖がっていては何も進みません。
これからのコロナ対策に必要なのは、「ゼロリスクを追い求めること」ではなく、「正しく恐れる」という原点に立ち戻ることではないでしょうか。
 

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著者:立石 芳樹

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著者:立石 芳樹

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先天性の脳性麻痺で出生時から歩くことができず、現在は電動車椅子に乗って暮らす。28歳まで親元で生活し、現在は障害者向けのシェアハウスに入居し、ヘルパーによる介護を24時間受けている。

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