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介護でも脱ハンコ、web会議?超アナログな介護業界でデジタル化は進むのか

介護でも脱ハンコ、web会議?超アナログな介護業界でデジタル化は進むのか介護でも脱ハンコ、web会議?超アナログな介護業界でデジタル化は進むのか

菅義偉政権に交代して初めて開催された規制改革推進会議では、菅内閣が力を入れるデジタル改革を押しすすめる方針が確認され、介護分野も対象になるとされました。
これまでにも、経済産業省は2018年に「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」を立ち上げ、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が国家的な取り組みであることを示しています。

今回の会議では「医療・介護はデジタル化がもっとも遅れている」との声も上がりました。押印のルール変更(脱ハンコ)やサービス担当者会議のオンライン開催など、介護業界でも2021年4月の報酬改定に向けてデジタル改革が検討されはじめたようです。


ライター寺岡純子(主任介護支援専門員)
著者:寺岡純子
主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)/看護師
病院勤務を経て介護保険制度の開始に伴い介護業界に転向。大手介護事業者の管理職を経て、医療と介護の幅広い知識と豊富な経験をもとに合同会社カサージュを設立。企業理念は『介護に携わるすべての人がHappyに』。


超アナログな介護業界の現状

介護業界は超アナログの世界であるのが現状です。ケアプランをはじめとした計画書は紙に印刷して対面で説明し、押印してもらうことが必須となります。事業所ではシステムで作成したものをわざわざ印刷して紙でファイリングしておくことがほとんどです。

介護の現場では記録が重視されていますが、その記録も手書きのものとシステムで入力されたものが混在しており、手書きのものをシステムに入力し直すなどの無駄も生じています。

また、アナログな介護業界で負担が大きいのがケアマネジャーです。ケアマネジャーのモニタリングはご利用者の自宅で実施されなければならず、ご利用者宅までの移動に時間を要します。

それに、サービス担当者会議は基本的には関係者全員が集まって開催することが求められ、ケアプランに医療系の介護サービスを位置づけるときには主治医の参加も必須となります。もし参加できない場合は、ケアマネジャーが事前に主治医を訪問、またはファックスや郵送で専門的見地からの意見を伺って、サービス担当者会議で事業者に共有しなければなりません。
やむを得ない理由により欠席する事業所に対しても同様です。文書等により意見を求めておく必要があり、ケアマネジャーの負担は大きいものになっています。

現在は、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するための特例として、WEB会議システムなどを用いたサービス担当者会議の開催やビデオ通話でのモニタリングなど、柔軟な対応が認められています。新型コロナ終息後もこれらが認められれば、業務負担の軽減への効果が期待できるでしょう。

介護業界にどんなメリットがある?脱ハンコなどのデジタル化

超アナログな介護業界で脱ハンコといったデジタル化が進めば、多くのメリットがあります。たとえば、WEB会議の開催、タブレットを導入した介護記録のデジタル化、見守りロボットの活用などがあげられるでしょう。
介護の仕事では、実は記録の記入や書類の処理に多くの時間を要します。そのために残業することもしばしばです。

デジタル化により大幅な時間の節約や業務負担の削減ができれば、その浮いた時間で介護職員は利用者の要介護状態の改善や介護予防の効果に着目したケアに注力するなど、本来必要な業務に集中することが可能になります。

介護サービスを利用する側にも大きなメリットがあります。たとえば、要介護認定や認定更新の申請がオンラインでできるようになれば、家族が遠方に住んでいる人や役所まで行くことが困難な人でも申請しやすくなるでしょう。
ケアマネジャーが申請を代行する場合にも、現在のような利用者の自宅を訪問して書類を受け取り、役所に行って提出するという手間が削減できます。

また現在ある問題として、ご利用者が介護事業所と契約するときに、短時間で足早な説明だけで署名、捺印を求められる現状があります。
もし電子契約が認められれば、重要事項説明などの分かりにくい説明を動画化し、ご本人やご家族の都合に合わせてじっくりと確認していただくことができます。
口頭よりも動画での説明の方が理解しやすいため、不明点も明確になるでしょう。分からない内容は質問出しをしてしっかりと説明を受けることで、より納得した上での契約が可能になると考えられます。

他にも、モニタリングや計画書は電子署名にすれば日付などを改ざんする不正の防止になり、適正な運営の推進につながるといったメリットがあります。

介護業界のデジタル革命で考えられるデメリット・課題

介護業界のデジタル化が遅れているといっても、請求業務と連動する業務支援システムを導入したり、介護記録を直接タブレットに入力したりする事業所も多くあります。しかし、実際には導入が進んでいないのが現状です。

その理由として、現場職員のタブレットやシステムに対するリテラシーの低さがあげられます。紙に記録するアナログな方法が好まれるのはこのためで、今後デジタル化の推進がなされた場合、現場で働く介護職員の混乱や業務改善のためのツールがかえって負担になるといった可能性は否めません。

また、システム導入による高額な費用もネックになります。多くの介護事業所は経営状況が決して良いとはいえません。新たにシステムを導入する余裕がない事業所は、業務改善は必要と感じていてもコスト削減を優先するでしょう。

政府はこれらの課題も踏まえたデジタル改革を進めなければ、事業所への浸透は難しく、かえって混乱を招くことにもなりかねません。

まとめ

少子高齢化が加速する日本で、介護業界のデジタル化を推進することには多くのメリットがあります。介護を必要とする人への適切なケアに注力できることはもちろん、慢性的な人員不足で疲弊する介護職員の負担軽減、介護家族の仕事と介護の両立にも役立つでしょう。
新型コロナウイルスへの対応で特例として実施されている介護施設のオンライン面会などの評価と並行して、介護業界にデジタル革命が起こることを期待しています。

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