父の睡眠時間が少なく心配です。高齢者が夜中に寝てくれる方法はないですか?

高齢者は睡眠時間が短くなりやすいっポ。昼夜逆転したり、夜中に起きてしまったり……。
「父親に夜間ちゃんと寝てほしい」という相談者のお悩みに、介護のプロがこたえるっポ。

私の父もあまり眠れないみたいだし、高齢者にはよくある悩みかもしれないね。

相談:父が夜中に起きてしまう。睡眠不足が心配です

<いちろうさん(仮名)59歳>
83歳で要介護2の父と同居しています。父は最近、夜中に目が覚めてしまうらしく、夜の2時頃に雨戸を開けたり、電気やテレビをつけたりします。

騒音が気になって私たち夫婦まで夜中に目が覚めてしまい、寝不足気味な毎日が続いています。
睡眠時間が短い父の身体が心配ですし、どうすれば寝てくれるでしょうか。

睡眠不足だと健康面で心配だし、家族も起こされてしまうと大変だっポ。
なんで高齢者は夜中に起きてしまうのかな?

高齢者は睡眠時間が短くなりやすい

高齢者が夜中に目覚めてしまう問題を解決するためには、まずは高齢者の睡眠の特徴について知っておくとよいでしょう。

高齢者は、早寝早起きで短時間睡眠になりやすいといわれています。なぜかというと、高齢になることで体内時計が早い時間にずれてしまうからです。
睡眠を支える血圧や体温、ホルモン分泌などのリズムも前倒しとなってしまうことが原因のため、高齢者が早寝早起きなのは病気とはいえません。

また、高齢者の睡眠は浅く、小さな物音や尿意で目が覚めてしまい、短時間の睡眠を繰り返します。
細切れの睡眠になってしまう傾向にあるわけです。

一度目が覚めてしまうと、雨戸を開けたり電気をつけたり、大きな音量でテレビを見始める高齢者も多く、家族としてはできれば朝方まで睡眠をとってほしいところです。

夜寝つけずによい睡眠がとれないと昼間にウトウトしてし昼寝時間が長くなり、夜中にまた目を覚ましてしまうという悪循環が起こります。

睡眠障害・不眠は「高齢者だから…」が原因ではないかも?

しかし、すべてのケースを体内時計のずれで片付けてしまうのは安易です。
きちんとした検査や診断を元に治療を受けなければ、治らないばかりか治療の機を逃しかねず、悪化してしまいます。
高齢者に起きやすい病気が原因での睡眠障害も考えておかなければなりません。

うつ病

不眠の原因で多いのはうつ病によるもので、高齢者はうつ病になりやすいといわれています。

高齢者には、どうしても避けられないライフイベント(誰かを喪失する喪失体験)が起きたり、暮らし向きの不安や慢性的な病気、記憶力の低下があったりし、気分が落ち込んでしまうことも少なくありません。
その結果、うつ思考になることもあるのでしょう。

高齢者のうつ病は、症状がまちまちで見逃されやすいようです。
頭痛やめまい、耳鳴り、吐き気、食欲低下といった体調不良の訴えがあっても、簡単にはうつ病に結びつきません。また、記憶障害がうつ病によるものだったとしても、認知症に間違われてしまうことが多くあります。

睡眠障害は、うつ病と認知症のどちらでも起きるため判別しにくいといえるでしょう。
よくわからない病状のときは、高齢者うつを疑い、かかりつけ医などに相談されることをおすすめします。

その他の原因

不眠の原因は他にも多くあります。
睡眠時無呼吸症候群や脳の血流の悪さから起こる脳血管障害循環器の不調なども考えられるため、高齢者うつや認知症ばかりが原因ではありません。

また、睡眠導入剤の服薬治療は内科などでもよく行われますが、その道の専門医ではなければ適切な薬剤を処方してもらえるとは限りません。
適切な薬の調整ができないと、逆に睡眠導入剤が原因で不眠、幻覚、興奮状態を引き起こすこともあります。

高齢者が規則正しい睡眠をとるためには

残念ながら、高齢になると充分に熟睡できていた若いときと同じような睡眠はとりづらくなります。
厚生労働省の健康情報サイトe-ヘルスネットでは、高齢者の睡眠について以下のようにあります。

眠気が出たら床につき、朝方に目が覚めて二度寝ができないようであれば床から出て朝の時間を有意義に使いましょう。
(引用:e-ヘルスネット)

しかし、床に入る時間が早すぎたり睡眠が長すぎたりすることが、もっとも多い高齢者の睡眠時間がずれる原因かもしれません。

日本老年医学会の資料では、高齢者の衛生睡眠指導を以下のようにまとめています。

  • ベッド上で多くの時間を過ごさない
  • 就床・起床時刻を一定に保つ
  • 寝付けなければ、一度離床する
  • 昼寝は午後の早い時間帯に30分までと制限する
  • 定期的に運動する
  • 日中、特に午後の遅い時間帯はなるべく戸外で過ごす
  • 1日の紫外線にあたる時間を増やす
  • 午後以降はカフェイン、タバコ、アルコールの摂取を控える

この他にもうひとつ、水分摂取の制限についての指導もありますが、近年では高齢者の夜間の脱水が問題になっているため外しておきます。

認知症のある方に対しては、上記の指導の他に、定時の食事や就寝するまでの4時間は運動を避ける、痛みの確認、眠りを妨げる一部認知症薬は午後以降の服薬を避けるなどの配慮が必要でしょう。

「睡眠時間が短い」と思っても、高齢者は早寝になりやすいことから意外に睡眠がとれているケースもあります。
仮に夜19時に眠りについて夜中の1時に目が覚めたとしたら、夜中に起きてしまったように感じてもしっかり6時間の睡眠がとれていることになります。睡眠時間としては十分ではないでしょうか。

早い時間に寝ないようにするには、家族と団らんするなどして就寝時間を遅らせるのもひとつの手です。夜中に目が覚めることを防ぎやすくなるでしょう。
日中を活動的に過ごせれば、規則正しい生活ができて睡眠の改善にもつながります。

まとめ

高齢者の不眠は原因をひとつに決めつけず、生活習慣を見直し、場合によっては高齢者うつや認知症の治療を積極的に行っている医師に相談しましょう。

よく高齢者は自ら「もう年だから仕方がない」とおっしゃいますが、痛みや辛さに年齢は関係なく、症状が出ていれば必ず原因はあるのです。

この記事をシェアする

著者:葦江(よしえ)

相談業。社会福祉学科卒業後、30代から訪問ボランティアとして活動。介護保険施行後はデイサービスの生活相談員を5年、ケアマネジャー6年を経て、現在は社会福祉士として認知症専門相談を担当し6年目。医療や介護サービス利用、制度申請の支援をしています。

ハートページナビは、介護保険・介護サービス事業者情報誌「ハートページ」のWebサイトです。
ハートページ誌は、全国約70市区・約100万部を発行する業界最大級の介護情報誌。20年を超える歴史(2001年創刊)、カバーするエリアの広さ、発行部数、各自治体や連絡協議会と連携し制作された信頼性の高さで、介護に関わるみなさまより高い評価を得ています。
ハートページナビでは、介護情報を専門に扱うサイトとして、介護に関わる皆さまに必要な情報、役立つ情報などを掲載しています。

おすすめコンテンツ

メニューを閉じる