【名前ランキング】高齢者・シニアに多い名前は?50~100歳まで年代別にチェック!

高齢者・シニア世代に人気だった名前をランキング形式で紹介するっポ!

時代ごとに明確なトレンドがありそうだね。

子どもの名前は、その時代の流行や社会情勢に大きく影響されるものです。
現在高齢者となっている戦中や戦後生まれの世代、シニア世代では、どんな名前が人気だったのでしょうか。
明治安田生命の資料を参考に、大正から令和まで全体の流れも見つつ振り返ってみましょう。

【世代・男女別】高齢者・シニアに多い名前ランキングTOP10

シニア・高齢者世代ではどんな名前が人気だったのかな?

自分の名前が入ってるか気になるなあ。

シニア・高齢者世代とされる60歳以上~100歳代、そして50歳代の年代ごとに人気の名前を男女別にまとめてみました。
すべての年齢を紹介するのが難しいので、ランキングは5歳きざみで掲載しています。
※文中の年齢は2024年時点です。

90歳代・100歳代

男性/90歳(1934年 昭和9年生まれ)、95歳(1929年 昭和4年生まれ)、100歳(1924年 大正13年生まれ)、105歳(1919年 大正8年生まれ)
  90歳 95歳 100歳 105歳
1位 三郎
2位
3位 三郎
4位
5位 一郎
6位 義雄
7位 三郎 正雄
8位 和夫 一郎
9位
10位 三郎
女性/90歳(1934年 昭和9年生まれ)、95歳(1929年 昭和4年生まれ)、100歳(1924年 大正13年生まれ)、105歳(1919年 大正8年生まれ)
  90歳 95歳 100歳 105歳
1位 和子 和子 幸子 久子
2位 幸子 幸子 文子 千代子
3位 節子 美代子 千代子 和子
4位 久子 久子 愛子 貞子
5位 弘子 節子 美代子 静子
6位 洋子 文子 清子 文子
7位 美代子 照子 信子 ヨシ
8位 文子 光子 敏子 キヨ
9位 美智子 貞子 久子 清子
10位 信子 八重子 静子 キミ

100歳代は、1924年(大正13年)以前の生まれの方が該当しますが、人気だった男の子の名前は、「清」「三郎」「勇」「茂」などでした。

90歳代では、年号が昭和に切り替わったときに「昭」がつく名前が一時的に増えましたが、それ以外は上位の名前の傾向は大きく変わりません。

ちなみに、「清」は1920~1926年とその他多くの年でも1位に君臨していて、戦中・戦後まで必ずトップ10に入っていました。
そのため、90歳代後半の男性は「清」という名前がかなり多いといえるでしょう。

90~100歳代の年代でもっとも人気だった女の子の名前は、「和子」「幸子」「節子」「千代子」「久子」「文子」などです。
穏やかでいてほしい、幸せでいてほしい、長く健康であってほしいといった思いのこもった名前が人気でした。

カタカナの名前も多くランキングにありましたが、1920年(103歳)の「キヨ」以降は上位に入っていません。

80歳代

男性/80歳(1944年 昭和19年生まれ)、85歳(1939年 昭和14年生まれ)
  80歳 85歳
1位
2位
3位 勝利
4位
5位
6位
7位
8位
9位
10位
女性/80歳(1944年 昭和19年生まれ)、85歳(1939年 昭和14年生まれ)
  80歳 85歳
1位 和子 和子
2位 洋子 幸子
3位 幸子 節子
4位 節子 弘子
5位 勝子 洋子
6位 弘子 悦子
7位 美智子 美智子
8位 光子 京子
9位 悦子 美代子
10位 昭子 孝子

1935~1944年生まれが該当します。
男性の名前では「清」も相変わらず人気ですが、「勝」「勇」「進」「武」なども目立っています。

「勇」は安定して人気上位ですが、気になるのは、「勇」と並んで1938年に「勝」がトップとなっている点でしょう。
1938年といえば、国家総動員法が交付され、日中戦争が本格化していった時期です。そうした時代情勢を受けてか、子どもの名前にも身近に迫る戦火の足音が感じられます。

この時代の10年のうち女の子は、実に8年トップだったのが「和子」という名前でした。
男の子には、勇ましく育ってほしいと願う一方、女の子に対しては「和」という漢字が人気で、「平和と安全のうちに無事に育ってほしい」と親たちが願いを込めたことが想像できます。

「和子」の圧倒的人気からも、不安な社会情勢を感じることができるでしょう。

70歳代

男性/70歳(1954年 昭和29年生まれ)、75歳(1949年 昭和24年生まれ)
  70歳 75歳
1位
2位
3位
4位
5位
6位
7位
8位
9位
10位
女性/70歳(1954年 昭和29年生まれ)、75歳(1949年 昭和24年生まれ)
  70歳 75歳
1位 恵子 幸子
2位 洋子 和子
3位 幸子 洋子
4位 京子 節子
5位 和子 恵子
6位 由美子 悦子
7位 美智子 京子
8位 久美子 恵美子
9位 悦子 啓子
10位 順子 久美子

1945~1954年生まれが該当します。
ほぼ戦後生まれのこの年代の男の子の名は、戦争中とは傾向が異なります。

戦間期の1942~1945年までの4年間でもっとも人気のある名は「勝」でした。しかし、戦後になると「博」「茂」などへと変わっていきます。

一方、女の子のほうは、戦中・戦後を通じて「和子」がほとんどの年で1位をキープ。

戦中・戦後を通じた国民の心境の変化が、「勝」から「博」への変化、ずっと変わらない「和子」人気から読み取れます。

60歳代

男性/60歳(1964年 昭和39年生まれ)、65歳(1959年 昭和34年生まれ)
  60歳 65歳
1位
2位
3位
4位
5位 達也
6位
7位 和彦
8位 直樹
9位 浩一
10位
女性/60歳(1964年 昭和39年生まれ)、65歳(1959年 昭和34年生まれ)
  60歳 65歳
1位 由美子 恵子
2位 真由美 久美子
3位 明美 智子
4位 久美子 美智子
5位 恵子 由美子
6位 由美 明美
7位 裕子 幸子
8位 智子 洋子
9位 幸子 裕子
10位 ゆかり 京子

1955~1964年生まれです。
この頃は、ちょうど戦後復興と高度経済成長の始まりでした。この時期に人気だった男の子の名前は「茂」「誠」「浩」、女の子は「和子」が減り「恵子」「洋子」などと、わずかに変化が出ています。

男の子の名では「進」「隆」「勉」「豊」などもランクインし、「豊かさを手に入れるためにがんばろう」という思いの込められた名前が人気でした。グングン成長する日本国の勢いが感じられます。

50歳代

男性/50歳(1974年 昭和49年生まれ)、55歳(1969年 昭和44年生まれ)
  50歳 55歳
1位
2位 大輔 健一
3位 哲也
4位 健一
5位 浩二
6位 哲也 直樹
7位 直樹
8位
9位
10位 大介 和彦
女性/50歳(1974年 昭和49年生まれ)、55歳(1969年 昭和44年生まれ)
  50歳 55歳
1位 陽子 直美
2位 裕子 智子
3位 真由美 由美子
4位 久美子 陽子
5位 純子 裕子
6位 智子 真由美
7位 優子 久美子
8位 美香 恵子
9位 恵美 由美
10位 美穂 幸子

1965~1974年生まれの世代で、高度成長期以降に生まれた昭和世代、バブル期をギリギリ経験している年代です。
この世代では、名前の付け方もより多様化していきます。

男の子の名は「誠」がほとんどの年で1位となり、人気だったことがわかります。
しかし、この頃から2文字の名前も多数ランクインするようになりました。例えば、「健一」「哲也」「浩二」「直樹」といった具合です。
人気の文字を入れつつ、名前としての響きの良さなども考慮されるようになってきたと思われます。

女の子は「恵子」「由美子」「智子」などの「○子」が安定した人気です。
しかし、こちらも「明美」「由美」「直美」といった「○美」という名前が上位に入ってくるなどの変化が読み取れます。

大正・昭和・平成・令和で違う!時代による名前の傾向

年号による名前のトレンド傾向もありそうだっポ。

昔と今ではだいぶ名前の流行も変わったみたいだね。

高齢者世代、50歳代以上の名前の傾向をざっとご紹介しましたが、その時代を取り巻く日本の社会情勢とリンクしている様子がわかります。

年号による名前の変化

人気の名前は、年号が変わった際に大きな変化がありました。

大正になると「正」の字を使った「正一」「正雄」「正」が増え、大正1年、大正2年となるごとに「正一」「正二」「正三」がそれぞれランキング1位となっていたこともおもしろい傾向です。
女の子の名前もこの時期「正子」が上位でした。

昭和になると今度は「昭」の字が増えます。「昭一」「昭」などで、こちらも年が進むと「昭二」「昭三」がそれぞれ1位となりました。
女の子の名前も「昭子」が上位となります。

しかし、平成・令和ではその傾向はなく、かろうじて平成元年に「成美」が入っていましたが、年号との関係はわかりません。

戦前・戦後からの名前の変化

名前の傾向は、戦争前と戦争後でも大きく変化しました。

戦争が近づく時代には、男の子に「勝」や「勇」「勲」「功」といった名前が人気となる一方、戦前と戦後期を通じて女の子の名前トップ人気が「和子」であり続けたことに、当時の日本人の複雑な思いを感じます。

また、戦争が終わって経済的に発展していく、上り調子な時代の雰囲気の中で、男の子は「浩」「茂」「誠」「進」、女の子は「恵子」「洋子」といった名前が人気となりました。

さらに、時代が下って1960年頃になると、それまで男の子の名前で上位を占めていたのは1文字でしたが、「浩一」「和彦」「直樹」「哲也」など2文字の名前が増え始めます。
女の子は「恵子」「智子」といった「○子」に加えて、「明美」「由美」などの「○美」といった名前が人気になり、さらに多様化していきます。

昭和の終わりから平成にかけては「大輔」「翔太」「翼」「達也」「和也」、女の子は「愛」「美咲」「彩」「美穂」など、そもそも人気だった名前に加え、芸能人やスポーツ選手、マンガなどの影響からの命名も増えていく傾向です。

平成や令和以降は、男女とも人気の漢字を軸にした名前を付ける傾向があり、例えば男の子は「翔」「蓮」「悠」といった漢字を使った名前がだいたい上位を占めています。
女の子は、「愛」「美咲」「萌」「陽菜」「凛」といった定番の人気ネームが存在し、長期にわたって上位です。

平成以降は、自然を感じさせる漢字を含んだ名前も人気があります。
男の子では「地」「海」「空」「樹」「陽」「陸」、女の子では「葵」「桃」「さくら」「萌」「菜」「花」といった植物を連想する漢字も人気傾向です。

また、近年ではシワシワネームも人気があるようです。
明確な定義があるわけではないですが、「〇子」や「〇郎」といった昭和っぽさのある古風な名前がシワシワネームに該当します。
キラキラネームは読みにくく名前を覚えてもらいにくいなどのデメリットがありました。一方で、シワシワネームなら馴染みもあり覚えやすいといったメリットがあり、人気が出たようです。古風な名前の芸能人が活躍していることも後押しになりました。

【2023年】人気の名前ランキング

2023年の人気名前ランキングは次のようになっています。

2023年の最新名前ランキング
  男の子 女の子
1位 陽葵
2位 陽翔
3位
4位 結愛
5位 結菜
6位 颯真
7位 芽衣
8位 心春
9位 陽菜
10位 湊斗 咲茉

男の子は明治、大正、そして昭和の中頃まで「清」「茂」といった漢字一文字が人気だったのですが、現在再び1文字漢字が人気を得ているのがおもしろいところです。

女の子は平成から令和に入ると「結」の字の人気ぶりが目立ちます。2023年も同様で、トップ10に「結愛(4位)」「結菜(5位)」と2つランクインしています。「人とのつながりを大切に」といった思いが込められているのかもしれません。

また男女ともに、春のような暖かさ、爽やかさ、穏やかさを感じるような名前が多くなっています。
「陽」「暖」「颯」「凪」「菜」「芽」「春」「咲」などの漢字がそれにあたるでしょう。

36年連続でランキング総ナメ!高齢者・シニア世代の定番「○子」

少し前までは、女の子の名前の鉄板は「〇子」だったけど、今ではだいぶ少なくなったっポ。
どこが分岐点だったのかな?

今は女の子も男の子も読めない名前ばかりだよ…。

大正から昭和、いまの高齢者やシニア世代にとってスタンダードだった「子」の付く名前。しかしある頃から、女の子の名前に「子」があまり付かなくなりました。

その理由は、昭和32年(1957年)にランキング8位に躍り出た「明美」という名前です。「明美」はその後毎年ランキングに入り続け、昭和40年(1965年)にはついに1位となりました。

それまでは1~10位のすべて「子」が付く名前だった年が実に36年も続き、突然「〇美」という「美」の付く名前が現れたのです。
ちなみにその36年は、大正10年(1921年)から昭和31年(1956年)が当てはまります。

4年後、「明美」に続いて今度は「真由美」が10位にランクイン。その後は「由美」「直美」といった「美」の付く名前が増え、昭和47年(1972年)を過ぎると、「香織」「恵」「美穂」といった「子」でも「美」でもない名前が増え始めます。

そしてついに昭和60年(1985年)の10位だった「裕子」を最後に「子」は姿を消しました。
平成以降も、時折「桃子」「菜々子」「莉子」などが現れますが、「子」がランクインすることはほとんどなくなっています。

現在の高齢女性の多くは、名前に「子」がついているといえます。
100歳以上であれば、「ハル」「ヨシ」「きよ」といったカタカナやひらがな2文字の名前も少なくないでしょう。
ですが、大正5年(1916年)頃には「文子」「千代子」といった「子」の付く名前がランキングの半数以上を占めるようになり、大正10年(1921年)から36年に渡って「子」の独占が続いたからです。

名前に反映された“親の愛情”と“トレンド”

「子どもの名前は時代を写すもの」ということが、大正期からの人気名前ランキングをたどると実感できるのは興味深いところです。

現在では読み仮名がなければ読めないような名前が多いですが、高齢者世代ではわかりやすい名前が多い傾向です。
昔は子どもの数が多かったため、一人ひとりの名前を考える手間もいまとは違ったのかもしれません。

ただ、名前のトレンドは変わっても、子どもの成長を親の願う気持ちはいつの時代も変わりません。時代とともに変わる名前の裏側に、親から子どもへ託された不変の愛情を感じることができます。

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著者:かぼじん

行政書士、WEBライター
行政書士としてデイサービス施設の開業支援などにもたずさわるかたわら、父親がくも膜下出血で倒れたことをきっかけに、そのリハビリや介護などを経験。現在は、90歳を超えた祖母の見守りなどで、日々いろいろな介護支援のサービス、アプリなどを実践中。また宅地建物取引士資格を持ち、大手不動産メディアなどで不動産にまつわる情報をさまざまな角度から解説している。ライターとしては、スモールビジネスや介護関係、不動産投資の記事を中心に執筆活動中。

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