日本の少子高齢化問題は深刻だっポ。これから先もさらに高齢者の割合が増えるんだよ。
今回は、ちょっとまじめに分析してみるっポ。
ボクよくわらないから、あんまり難しくしないでね!
日本の高齢化は2000年代以降急激に進み、暮らしのなかでの実感としてもその深刻さが感じられる社会問題です。そこで、具体的な日本の高齢化率のデータを中心に、多角的にみていきたいと思います。
高齢化率の年代ごとの推移、都道府県での比較、それから世界ランキングでみた日本の高齢化率の位置づけなどを通じて、この国の現状が理解できるはずです。
高齢化が進んでよく聞くようになった「高齢化率」だけど、計算方法を知ってるかな?
ボクでも計算できるかな……?
高齢化率とは、全人口に占める65歳以上の人口の割合。
高齢化の現状をひも解くための基本的な指標の1つです。
具体的な計算式は次の通りです。
高齢者人口は65歳以上、総人口は国勢調査人口などをもとに、年齢不詳の人口数などを差し引いて算出します。
日本の高齢化率は1950年頃から上昇を続けており、今後も上昇傾向は続くとみられます。
少子化と合わせて、日本の大きな課題です。
日本の高齢化率は現在どのくらいかな?
うーん。ボクには想像できないなあ。
本格的な超高齢社会を迎えている日本。この事実は、日本に住む人なら誰しも実感をともなって感じられるでしょう。
その実態についての具体的なデータをみると、日本は世界的にみても非常に高い高齢化率であることが明らかです。
総務省が毎年発表している「人口推計」をもとに少しみていきます。
まず、日本の人口は2020年8月時点で1億2,557万人ですが、そのうち65歳以上の人口は3,613万9千人となっていて、高齢化率はおよそ28.7%にあたります。
さらに、75歳以上の人口はというと、総人口の14.8%に当たる1,868万8千人。これは65歳から74歳までの人の数(1,745万1千人)を上回る数字です。
約2年前の2018年10月のデータと比べると、全体の人口は87万人ほど減少したものの、65歳以上の高齢者は56万人ほど増加していますから、全体として高齢者の割合が増えていることになります。
高齢化率は28.1%(2018年)から28.7%(2020年)と、約2年で0.6ポイントの増加です。
ちなみに、75歳以上の人口の割合を比較すると、1,797万5千人(2018年)から1,868万8千人(2020年)と、約71万人の増加となっています。
日本の高齢化率はどんどん上がっているっポ。
昔はもっとお年寄りが少なかったってこと?
過去からの高齢化率の推移をみると、1950年、つまり昭和25年の戦後復興期では、65歳以上の人は全人口の5%に満たない割合でした。
それが高度経済成長期にあたる1970年頃にはその割合は7%に、バブル崩壊後の1994年には14%と、徐々にその割合は上がっていきます。
そして、2015年の時点ではついに日本人の4人に1人以上が65歳以上である状況になったわけです。
こうした高齢化率の上昇の原因は、若年層の減少による少子高齢化の問題に加えて、いわゆる「団塊の世代」が65歳以上となった2015年(平成27年)に一挙に高齢者の割合が増えたことも影響しています。
全体的な人口減に反して高齢者は増加し続けているため、今後も日本の高齢化率が上昇し続けていくことは確実な情勢です。
総務省の推計によると、2036年に高齢者の割合はついに33.3%を超えるとされています。
これは日本人の実に3人に1人は65歳以上になることを意味しています。
こういった状況にあると、もはや社会保障や介護行政といった社会福祉分野の限定的な問題というわけにはいきません。
国そのものの運営をどうしていくのか、という国家レベルの課題といえますし、将来的にますますその深刻度が増していくことは火を見るよりも明らかです。
次に、都道府県別の高齢化率ランキングを発表するっポ!高齢化率が一番高いのはどこかな?
高齢化率って都道府県ごとに違うの?どのくらい違うのかなあ。
内閣府の資料をもとに都道府県ランキングを作成しました。
順位 | 都道府県 | 高齢化率 2019年 |
高齢化率 2045年予測値 |
高齢化率 伸び率 |
---|---|---|---|---|
1位 | 秋田県 | 37.2% | 50.1% | 12.9 |
2位 | 高知県 | 35.2% | 42.7% | 7.5 |
3位 | 島根県 | 34.3% | 39.5% | 5.2 |
3位 | 山口県 | 34.3% | 39.7% | 5.4 |
5位 | 徳島県 | 33.6% | 41.5% | 7.9 |
6位 | 山形県 | 33.4% | 43.0% | 9.6 |
7位 | 青森県 | 33.3% | 46.8% | 13.5 |
8位 | 和歌山県 | 33.1% | 39.8% | 6.7 |
8位 | 岩手県 | 33.1% | 43.2% | 10.1 |
10位 | 愛媛県 | 33.0% | 41.5% | 8.5 |
11位 | 大分県 | 32.9% | 39.3% | 6.4 |
12位 | 長崎県 | 32.7% | 40.6% | 7.9 |
13位 | 新潟県 | 32.4% | 40.9% | 8.5 |
14位 | 富山県 | 32.3% | 40.3% | 8.0 |
14位 | 宮崎県 | 32.3% | 40.0% | 7.7 |
16位 | 鳥取県 | 32.1% | 38.7% | 6.6 |
17位 | 鹿児島県 | 32.0% | 40.8% | 8.8 |
18位 | 北海道 | 31.9% | 42.8% | 10.9 |
18位 | 長野県 | 31.9% | 41.7% | 9.8 |
20位 | 香川県 | 31.8% | 38.3% | 6.5 |
21位 | 福島県 | 31.5% | 44.2% | 12.7 |
22位 | 奈良県 | 31.3% | 41.1% | 9.8 |
23位 | 熊本県 | 31.1% | 37.1% | 6.0 |
24位 | 山梨県 | 30.8% | 43.0% | 12.2 |
25位 | 福井県 | 30.6% | 38.5% | 7.9 |
26位 | 岡山県 | 30.3% | 36.0% | 5.7 |
26位 | 佐賀県 | 30.3% | 37.0% | 6.7 |
28位 | 岐阜県 | 30.1% | 38.7% | 8.6 |
29位 | 静岡県 | 29.9% | 38.9% | 9.0 |
30位 | 群馬県 | 29.8% | 39.4% | 9.6 |
31位 | 三重県 | 29.7% | 38.3% | 8.6 |
32位 | 石川県 | 29.6% | 37.2% | 7.6 |
33位 | 茨城県 | 29.5% | 40.0% | 10.5 |
34位 | 広島県 | 29.3% | 35.2% | 5.9 |
35位 | 京都府 | 29.1% | 37.8% | 8.7 |
35位 | 兵庫県 | 29.1% | 38.9% | 9.8 |
37位 | 栃木県 | 28.6% | 37.3% | 8.7 |
38位 | 宮城県 | 28.3% | 40.3% | 12.0 |
39位 | 福岡県 | 27.9% | 35.2% | 7.3 |
39位 | 千葉県 | 27.9% | 36.4% | 8.5 |
41位 | 大阪府 | 27.6% | 36.2% | 8.6 |
42位 | 埼玉県 | 26.7% | 35.8% | 9.1 |
43位 | 滋賀県 | 26.0% | 34.3% | 8.3 |
44位 | 神奈川県 | 25.3% | 35.2% | 9.9 |
45位 | 愛知県 | 25.1% | 33.1% | 8.0 |
46位 | 東京都 | 23.1% | 30.7% | 7.6 |
47位 | 沖縄県 | 22.2% | 31.4% | 9.2 |
*内閣府「令和2年版高齢社会白書」より
ここでは2018年の詳細なデータは割愛しますが、2018年と最新の2019年を比較すると、全体的にどの都道府県でも高齢化率が微増傾向でした。
東京都を除いた全地域で0.1~0.8%増えていますが、1位の秋田県は36.4%から37.2%と、もっとも大きな上げ幅(0.8%)です。
2019年時点で高齢化率が37%を超えているのは秋田県だけで、2045年の予測も50.1%とダントツで高くなっています。秋田県では2人に1人が高齢者になる見込みです。
2位の高知県も2019年にはついに高齢化率が35%を超えました(35.2%)。
高齢化率の上昇は、都市部でもみられます。
たとえば、愛知県は24.9%から25.1%、大阪府27.5%から27.6%の微増です。
高齢化率の低い東京都は23.1%のまま変わらずですが、都市部と地方を問わず、この1年の間にも高齢化が進んでいる現状が数字にも表れています。
高齢化率はどの都道府県でも上昇傾向だっポ……。
高齢化率は秋田県がいちばん高くて、沖縄県がいちばん低かったね。今後もぜんぶの都道府県で増えていくんだね。
さきほどの高齢化ランキングのデータによると、2019年の時点で65歳以上の高齢者が人口に占める割合が多い都道府県は、1位が秋田県(37.2%)、2位が高知県(35.2%)、島根県(34.3%)の順でした。
もっとも低い都道府県は沖縄県(22.2%)で、その次に東京都(23.1%)、愛知県(25.1%)と、その後も都心部や大都市をかかえた都県が続いています。
このランキングからわかる通り、地方都市ほど高齢化が進み、大都市は比較的高齢者の割合が少ないという傾向は大きな特徴といえます。
ただ、高齢化率の推移をもう少し細かく分析すると、ある問題が浮かび上がります。それが都心部、大都市での高齢化の進行です。
たとえば、首都圏にある千葉県での高齢化率の推移予測は、2019年で27.9%だった高齢化率が2045年には36.4%に、高齢化率の低い神奈川県(25.3%)でも2045年には35.2%に達すると予測されています。
このことからわかるのは、大都市圏でも高齢化が今後本格化するという点です。
地方都市はゆるやかに人口が減っていくために高齢化率のピークは徐々に過ぎると予想されていますが、大都市圏ではこれからが高齢化社会の本番であるといえます。
じゃあ次は、世界各国と日本との比較についてもみてみるっポ。
海外も高齢化率が高いの?それとも日本だけ?
世界でもっとも高齢化率の高い国は、ズバリ日本です。
先ほども上げた通り、日本の高齢化率は28.7%(総務省統計による。国際統計・国別統計専門サイトGLOBAL NOTEによると2019年時点で28.0%)ですから、これは世界2位のイタリア(23.01%)と比べてもダントツの数字といえるでしょう。
順位 | 国名 | 高齢化率 |
---|---|---|
1位 | 日本 | 27.58% |
2位 | イタリア | 22.75% |
3位 | ポルトガル | 21.95% |
4位 | フィンランド | 21.72% |
5位 | ギリシャ | 21.66% |
6位 | ドイツ | 21.46% |
7位 | ブルガリア | 21.02% |
8位 | クロアチア | 20.45% |
9位 | マルタ | 20.35% |
10位 | スウェーデン | 20.1% |
*グローバル・ノート「世界の高齢化率(高齢者人口比率) 国別ランキング・推移」より
ただ、高齢化問題は先進国を中心に、欧米やアメリカでも大きな課題となっています。
平均寿命が延びたことや社会保障制度が整ってきたことにより、長寿の人々が増えているのは先進国共通なのです。
比較的人口バランスの取れているアメリカですら例外ではありません。
「ベビーブーム世代」といわれる人口の多い年齢層が2010年以降65歳以上になったことから、社会全体としては高齢化が進んでいるのです。
こうした国では高齢者を社会的な「戦力」にするための仕組みづくりに着手していますが、高齢者を支えるケアワーカーの不足など、課題はまだまだ多いのが実情です。
世界のなかでも日本の高齢化率の高さは独走状態だっポ……。
この先どうなるんだろう?ボクが大人になったときも同じなのかな?
もともと日本の高齢化率は1980年代まで世界でも下位の方で、90年代もそれほど高くはありませんでした。
ところが、「人口減」と「高齢者の死亡率低下」という2つの要素の影響が大きくなった2000年代以降は急速な伸びを示し、それ以降は世界でも群を抜いた高齢化率となっています。
今後も日本の高齢化率は世界でもトップをキープする見込みで、総務省の予測によれば少なくとも2060年代まで日本は高齢化率35%を超える数値で推移するとのことです。
しかし、それ以降はトップの座を譲るかもしれません。その要因はアジア諸国の急激な高齢化率の上昇です。
世界的に先進国、途上国を問わず高齢化は加速すると予想されているのですが、とくに人口統制政策や日本を上回るペースの少子化などによって、かつての日本よりも急速に高齢化が進んでいる国があります。
それが中国、韓国、シンガポールといったアジアの国々です。
韓国は特にそのペースが顕著で、2000年からの18年間で高齢化率が7%から14%に上昇しています。日本は同じ割合での増加に24年費やしているところからも、韓国の急速な高齢化の深刻度が読み取れるでしょう。
さらに、人口規模からいっても将来の深刻な問題を予測できるのが中国です。中国は2017年ごろから急激に高齢化率が伸びています。
2018年の時点では中国の高齢化率は10.92%と世界65位にあるものの、この数値は今後10年間で25%前後まで上昇する見込みです。2060年ごろには37%台までに達し、ゆくゆくは日本を抜くのではないかと予測されています。
経済規模の大きな中国の高齢化問題は、日本のみならず、世界的な経済問題、社会保障問題といった深刻な課題として立ちはだかることでしょう。
日本でたびたび深刻な問題として取り上げられる「高齢化」は、データ上からもその深刻さを読み取れます。
今後も日本の高齢化は世界トップの水準で推移していくため、これを社会的にどう乗り越えていくのかは国家としても喫緊の課題です。
世界的にも高齢化の進行は避けられず、高齢化問題の「先進国」ともいえる日本は、世界的な「ロールモデル」となっているかもしれません。
<参考資料>
内閣府「令和2年版高齢社会白書」
総務省統計局「人口推計」
GLOBAL NOTE「世界の高齢化率(高齢者人口比率) 国別ランキング・推移」
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