兵庫県西宮市と大阪府高槻市に支店を持つ『老人ホームの窓口 ウェルネス紹介センター』。代表取締役 池田徳孝さんは、どんな困難な相談であっても解決に導いてきたと言います。
紹介が困難だった方が入居できたエピソードから、パーキンソン病の方向けの専門施設が増えている理由まで伺いました。
<代表取締役 池田徳孝さん>
――2018年に『老人ホームの窓口 ウェルネス紹介センター』をスタートされたそうですが、どんな思いで始められたんですか?
いまの事業を始める前は訪問鍼灸マッサージ治療院を経営していました。鍼灸師として高齢者の方との関わりも多くありましたが、在宅の限界が来るとご家族から「先生、どこか施設知らんか」と、頻繁に相談を受けていたんです。
そのときは他の老人ホーム紹介の業者さんをご紹介していましたが、あまりよくない状況がありまして。
老人ホームの紹介業は、お客様からはお金をいただかずに施設から手数料をもらうモデルです。でも施設によって手数料が違うので、紹介料が高い施設ばかり紹介するような状況でした。
これではお困りの方のためにはならないですし、それなら自分で事業化しようとしたのがスタートですね。
――いきなり老人ホームの紹介業を始めるのは大変ではなかったですか?
初めの1年くらいは大変でした。ケアマネジャーさんにお客様を紹介してもらっていたんですが、まだ信頼を得られていないので新たなお客様はなかなか紹介してもらえません。紹介いただくのは大変な案件ばかりでした。
例えば、家の中がゴミでいっぱいの方がいらっしゃいました。天井近くまでゴミあって、その上で寝ているんです。何度もお伺いして「施設に入りましょう」とお伝えするんですが、簡単ではなかったですね。
僕らは老人ホームをご紹介するだけでなく、引越しや不用品処分の手配、入居当日の送迎の手配などもサポートしているので、大量のゴミの片づけから不動産屋さんを間に入れて土地の売却の交渉までやりました。
それに、施設には清潔な状態でお連れしないといけません。自宅のお風呂は使えなかったのでビジネスホテルでお風呂に入ってもらい、生活保護費の被服費を利用させていただき新しいジャージも用意しました。
ここまで立ち入ることは、ケアマネジャーさんも市役所も地域包括支援センターもなかなかできません。
手間のかかる案件を何度も繰り返したことで、だんだんと信頼いただけるようになり、そのうちに市役所や地域包括支援センターからの仕事も増えていきました。
<老人ホームの窓口 兵庫センター>
――ご苦労の甲斐あってお客様が増えていったんですね。ご相談される方はどんなお悩みが多いですか?
トイレで失敗してしまう、認知症で何回も同じこと言う、徘徊して帰ってこられない、仕事中のご家族に何度も電話がくるなどさまざまです。
初めての出来事なのでどうしていいのかわからず、施設に受け入れてもらえないのではないかと、不安を抱えていらっしゃいます。
そのような方には、「大丈夫ですよ。皆様そうなので施設に入れますよ」とお伝えすると、すごく安心していただけます。
――どんな状態の方でも老人ホームを紹介していただけますか?
これまでたくさんの方からご相談いただきましたが、特殊なケースを除いて希望されるすべての方にご紹介してきました。
どんな方でも、まずは施設に入る理由をお伺いしています。困っていることがあるから施設を検討されているわけですもんね。
施設に入居したほうがいいタイミングとしては、トイレが自分でできなくなったとき、そして夜間の対応でしょうか。夜間に睡眠を阻害されるようなことがあると、ご家族は介護を続けられなくなってしまいます。あとは認知症で外に出てしまう方も施設に入ったほうが安心かもしれません。
――老人ホームを拒否する方もいらっしゃいませんか?
症状の程度にもよりますが、認知症の方は皆さん入りたくないっておっしゃるんですよ。でも「施設に入りたくない」は、施設に入るタイミングだと思います。要するに、自分は全部できていると思っておられるので「なんで入らなあかんのよ」となるんです。
自分から「施設にもう入らなあかんな」とおっしゃるときは、ご自分の状態を認識できているんですよね。
認知症で強烈な拒否がある方でも、老人ホームに入ってから1カ月も経つと慣れていることが多いですね。特に女性はコミュニケーション能力の高い方が多いので、友人ができて楽しそうにしていらっしゃる方もたくさんいます。
――施設がまだ早いような方にはご自宅での介護を提案されることもあるんですか?
お困りの方には老人ホームをご案内しますが、迷っていらっしゃる方には「家にいられるんやったら、ご本人は家の方が幸せですよ」とお伝えします。こんな商売してておかしいんですけどね(笑)。
鍼灸師の仕事をしていたころ、高級老人ホームに入居しているおばあさんを訪問していたんです。息子さんが手配した眺望がいい南東の角にある特別室です。
でも、「息子はええやろって言うんやけど、私、家帰りたいねん。でも息子に言われへん」って何度も言うんですよ。そんないい部屋であっても、長いこと暮らしてきた家の方がいいんですよね。
「できるなら入らない方がいいですよ」とお伝えして、不安そうな方には実際に老人ホームを見に行っていただきます。
実際に見て「こういうところがあんねや」「これくらいの値段なんや」っていうのを知ってもらえれば、いざとなったらこんな選択肢もあると安心できますから。で、本当に必要になったらまた言ってくださいね、とご案内しています。
<代表取締役 池田徳孝さん>
――ところで、『老人ホームの窓口 ウェルネス紹介センター』では、パーキンソン病の方へのご紹介に強みがあるんですね。珍しいと思ったのですが、お困りの方は多いのでしょうか?
お困りの方は意外と多くて、西宮市界隈でもパーキンソン病の方向けの専門施設が増えています。開設するとすぐに埋まってしまうほど人気がありますね。
パーキンソンン病の方向けの専門施設は、入居する方に3つのメリットがあります。
1つ目は年齢層です。パーキンソン病の専門施設に入居されている方は70代前半がいちばん多いんですよ。普通の施設では平均年齢がだいたい87、8歳と言われているので10歳くらい乖離がありますが、専門施設なら同じ年代の方と過ごせます。
2つ目は、パーキンソン病などの指定難病をお持ちの方は、介護保険の枠以外に医療保険が使えることです。ほとんどの施設では24時間常駐の看護師さんと日中に常駐するリハビリの先生がいますが、それ以外にも訪問看護や訪問リハビリに来てもらえます。
実は、昼間に医療行為をするときは訪問看護を利用しなければいけないルールがあるので、メリットは大きいんです。
3つ目は、神経内科の先生が往診に来てくれることです。パーキンソン病の方は半年に1回は診察を受ける必要があるんですけど、往診している神経内科の先生は多くありません。
お薬を調整してもらえるのも大きいですね。パーキンソン病の方たちにとってお薬の調整はすごく大切ですし難しいんです。往診の回数も多いので、薬も細かく調整してもらえます。
ここまでメリットが多いと20~25万かかってもおかしくないですが、12~13万で入れるんです。だから、すごく人気ですぐに埋まってしまいます。
介護保険と医療保険を使えると施設側にもメリットが大きいので、相場よりも安く入居できるんです。
パーキンソン病だけでなく、多系統萎縮症、大脳基底核変性症、脊髄小脳変性症、進行性核上性麻痺の方も受け入れています。
<老人ホームの窓口 兵庫センター>
――どんな症状があっても、施設が必要かわからないという方も、相談していいですか?
一人で悩んでいても、なかなか解決策は出てきません。ご相談は無料ですし、まずは気軽にご連絡いただけたら、と思います。
僕も経験ありますが、自分の親のことだと冷静な目で見るのは難しいですしね。
「自分の親は施設に入れない状態かも」と思っている方も多いですが、そんなことはありません。どんな困難なケースでも、ご相談いただけたらいまよりも前進できるご提案はできるのかな、と思っています。
すぐに入居しなくても、本当に困ったときの“お守り代わり”として、ぜひお気軽にご相談ください。
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