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シニアに人気のスポーツTOP3 高齢者が運動を始めるメリットと注意点は?

シニアに人気のスポーツTOP3 高齢者が運動を始めるメリットと注意点は?シニアに人気のスポーツTOP3 高齢者が運動を始めるメリットと注意点は?

*現在は新型コロナウイルスの影響で外出が厳しい状況です。感染予防を第一にしていただくようお願いいたします。

はーとん

高齢者もスポーツをするとたくさんのメリットがあるっポ!

祖父

たしかに運動は健康にもいいよね。おすすめのスポーツも教えてほしいな。

はーとん

じゃあ、高齢者がスポーツをするメリットや人気のスポーツ、注意点をまとめたからしっかりチェックするっポ!

体力に自信のあるシニアは46.1%

はーとん

自分の体力について、60歳~79歳のシニアにアンケートした結果があるっポ。

祖父

わたしはまだまだ体力には自信があるぞ!

自ら行うスポーツから、選手を応援して楽しむスポーツ観戦まで、私たちの暮らしに欠かせないスポーツ。気分転換やストレス発散ができ、趣味や楽しみにもつながります。
しかし、高齢になると体を動かすこと自体が億劫になり、スポーツから遠ざかってしまう人も少なくありません。

2017年、株式会社大和ネクスト銀行が全国のシニア(60歳~79歳)1,000人を対象に実施したスポーツやレジャーに対する調査によると、「体力に自信がある」と答えた人は46.1%、逆に「体力には自信がない」と答えた人は53.9%でした。
シニアの半数以上が体力に不安を抱えているため、ますます高齢者の運動離れが懸念されます。

しかし、高齢者にとってスポーツをするかしないかは、「人生を大きく左右する事柄」といっても過言ではありません。なぜなら、同調査によって高齢者の生活満足度とスポーツは深い関係にあることが判明したからです。

シニアの「生活満足度」と「スポーツ実施率」は比例する!?

はーとん

どうやら、生活の満足度とスポーツ実施率には関係がありそうだっポ。

祖父

関係性なんてなさそうだけどなあ。わたしは生活に満足しているよ。

同調査では、まずシニアに「今の生活に満足をしているか」というアンケートを行いました。これに対し、非常に満足している人が11.3%、どちらかといえば満足している人が64.1%という結果が出ています。
これらを合計すると75.4%になるため、シニアの4人中3人が今の生活に満足していることがわかります。

次に、シニアの意識調査として、自身のスポーツ実施状況に対する満足度を調べました。非常に満足している人が8.3%、どちらかといえば満足している人が45.3%と、約半数のシニアが自分のスポーツ実施状況に満足しているようです。
中でも、70代男性の満足度は59.2%と高い数値が出ています。

これらの結果を踏まえ、スポーツ実施状況の満足度別に「今の生活に満足しているか」という前述したものと同じ内容のアンケートを行いました。

すると、スポーツ実施状況に満足しているシニアの生活満足度が88.8%と高いのに対し、スポーツ実施状況に不満のあるシニアの生活満足度は59.9%に留まるという結果が出たのです。
両者の間で、28.9ポイントも差が見られたことになります。

つまり、スポーツをしているシニアは自分の今の生活に満足している傾向にあり、運動不足を感じているシニアは生活にも不満を抱えている場合が多いということです。

「生活に満足している人はスポーツをするだけの心の余裕がある」ともいえるかもしれませんが、高齢者が自分の生活に満足するか否かは、日常生活にどれだけスポーツを取り入れられるかが鍵を握っているといえるでしょう。

スポーツをする高齢者は増加傾向!

はーとん

以前と比較して、スポーツをする高齢者が増えったっていうデータもあるんだっポ。

祖父

わたしも筋トレくらいはしているよ。妻もご近所さんとよくウォーキングに出かけてるみたいだし、わたしたち夫婦は運動している方なんじゃないかな。

一方、同調査によると、シニア男性の71.8%、女性の63.0%が日常的にスポーツをしていることがわかりました。

この結果を裏付けるように、年1回以上のウォーキングや筋力トレーニング、サイクリング、ジョギング・ランニング、水泳、体操(軽い体操、ラジオ体操など)の実施率を調査した笹川スポーツ財団による「種目別にみた運動・スポーツ実施状況」では驚くべき報告がされています。

調査によると、2002年に22.2%だった70代以上のスポーツ実施率が、2018年では54.2%に倍増したというのです。つまりスポーツをしている70歳以上の人が、過去16年で2倍以上になったことになります。
さらに、2002年では37.7%だった60代のスポーツ実施率も、2018年には52.3%に上昇しました。
この調査結果は、運動する高齢者の増加を明らかにしています。

スポーツってお金がかかるもの?

祖父

スポーツってやっぱりお金がかかるイメージがあるよね。年金生活だから、そんなに費用はかけられないよ……。

はーとん

お金をかけずにスポーツをしているシニアはいっぱいいるっポ!

これを読んでいる人の中には、「お金があるからスポーツができるのでは?」と感じる人もいるかもしれません。確かにフィットネスクラブやゴルフには、会費やプレー代がかかります。
実際、1カ月でスポーツに使っている金額のアンケート結果は以下です。

0円(お金はかけていない) 41.7%
3,000円未満 19.7%
3,000円~5,000円未満 9.9%
5,000円~1万円未満 14.7%
1万円~2万円 7.9%
2万円~3万円 3.9%
3万円~5万円 1.3%
5万円以上 0.9%

平均金額は8,435円と出ていますが、スポーツをするシニアの半数近くが0円でスポーツを楽しんでいるのも事実です。
ウォーキングやストレッチなど、お金のかからないスポーツはいくらでもあります。

高齢者はスポーツをするべき!その理由とは

はーとん

高齢者も無理のない範囲で運動したほうがいいっポ。

祖父

スポーツをすれば確かに健康的だけど、具体的にどんな点がいいのかな?

健康意識の高まりに比例して、スポーツが注目を集めています。その結果、多くの高齢者が意識的に体を動かしたり、スポーツに取り組んだりしている様子が伺えます。
高齢者がスポーツを行う理由で一番多いのは、健康・体力づくりのためです。

運動をするシニアのうち、85.3%の人が「健康を考えて」スポーツをしています。次いで、「運動不足だから」と答えた人が51.2%、「趣味や楽しみ」と答えた人が34.6%です。
体を動かすことで気分転換したり、ストレス発散したりする人も多いのでしょう。

また、高齢者が運動するのは将来要介護者にならないため、つまり介護予防のためでもあります。スポーツは体力アップを図ったり、ADL(日常生活動作)機能を保ったりするのにも効果的です。

さらに、高齢者の運動には身体機能や筋力の維持・向上だけでなく、認知機能の低下を防ぐ効果もあるといわれています。高齢者が要介護になる原因のひとつ、認知症予防にも役立つといえるでしょう。

ただし、効率的かつ効果的な介護予防の観点からいうと、ただ運動をするのではなく種類や強度、時間や頻度など、条件に合った運動を長期にわたって習慣にすることが大切です。

具体的には、歩行運動や下肢及び体幹を鍛える筋力トレーニング、ストレッチなどが挙げられます。
高齢者が要介護者になる身体的要因のひとつに下肢機能の低下があるため、特に足に負荷をかけるトレーニングがおすすめです。

高齢者がスポーツを始める前に注意すべき5つのこと

はーとん

高齢者にとってメリットが多いスポーツだけど、高齢者が運動をする際には注意も必要だっポ。

祖父

若いときと同じ感覚で運動したら危ないかもしれないね。

注意1 自分に合ったスポーツを選ぶ

高齢者が無理な運動をすると、体力が続かない可能性があります。それどころか怪我をしたり、体調不良で倒れてしまったりする可能性も出てきてしまいます。

そのため、自分の体力や身体機能に見合った運動を選択することが大切です。無理をして続けられなくなってしまったら元も子もありません。

注意2 血圧のチェックを行う

運動を行う前には必ず血圧を測りましょう。低血圧や高血圧のような血圧異常が起きているときに運動すると、脳卒中や心筋梗塞など命に関わる症状を引き起こす危険があります。

また、今まで体を動かしてなかった人が急にスポーツをすると血圧が急上昇する恐れもあるため、物足りないくらいの運動からスタートして負荷をかけ過ぎないようにしましょう。

注意3 運動前だけでなく、運動後の体調の変化に気をつける

体温や心拍数、お腹の調子など、もしいつもと違う様子なら無理をしないことが大切です。
運動をすると調子が悪くなる人は運動を控え、かかりつけの医師に相談することをおすすめします。

注意4 水分補給を忘れずに

スポーツ中は夢中になってしまい、つい水分補給を忘れてしまうことがあります。
高齢になると体内の水分を失いやすくなるため、脱水状態や熱中症に陥らないよう、こまめな水分補給を心がけましょう。

注意5 適度に休憩をとる

疲れを感じたら、無理をせず休憩をとりましょう。そして、運動終わりにはストレッチをして、クールダウンすることも大切です。

なお、高齢者が運動をする場合は、年齢にもよりますが1日おきくらいを目安に週2~3回程度の運動が望ましいでしょう。

男女別、シニアに人気のスポーツランキングTOP3

はーとん

シニアに人気のスポーツを男女別にランキング形式で紹介するっポ。

祖父

みんながどんなスポーツをしているか気になるなあ。

まずは大和ネクスト銀行の調査結果から、シニア全体のランキングを見てみましょう。

人気のスポーツランキング(男女)

3位 ヨガ・ストレッチ
ゆっくりとした動作を基本とするヨガやストレッチは、運動が苦手な人でも挑戦しやすいスポーツです。自宅でもできるため、無理なく続けられるでしょう。
特にヨガには、日常生活で使う筋肉が鍛えられ、リラックス効果を得られるメリットがあります。

2位 ゴルフ
男性の人気を集めたのが、ゴルフです。ゴルフをする人に1年間のラウンド数を聞くと、5~9回がもっとも多く、次いで1~4回との回答でした。
全体の年間ラウンド数の平均は15.7回ですが、中には年間50回以上ゴルフをしている人も。

ゴルフはコース内をひたすら歩くので、ウォーキングの効果も得られます。世代を問わず子どもや孫と一緒に楽しめるのも、ゴルフのメリットといえるでしょう。

1位 ウォーキング
不動の人気を誇るウォーキングは、場所や時間を選ばずお金もかからないため、手軽にできるスポーツの代表といえます。歩くだけで難しいルールがないのも人気のポイントです。

ウォーキングには高血圧の改善や骨粗しょう症の予防、心血管疾患のリスク低下や腰痛の改善など、ここには書ききれないほどの効果があります。

73.7%が「ウォーキングをしている」と答えていて、「ゴルフ」が14.4%、「ヨガ・ストレッチ」が14.1%でした。
この数値だけを見ても、他のスポーツに比べウォーキングをしているシニアが多いことがわかります。

そして、4番目に挙がったのは「ジム・フィットネスクラブ」11.0%でした。「フィットネスクラブ」ではシニアはどのようなことに取り組んでいるのでしょうか。

アンケートによると、「筋肉トレーニング」が78.4%、「ストレッチ」が70.3%、「ランニング・ウォーキング(マシーン)」が47.3%と続きます。
60代には、「エアロビクス」36.1%や「スイミング」27.8%も人気です。

人気のスポーツランキング(男性)

ただし、全体の1~3位のランキングは男女別にすると少し順位が変わるようです。
男性の場合1位と2位は変化ありませんが、3位に「ジョギング・マラソン」がランクインします。

1位 ウォーキング
2位 ゴルフ
3位 ジョギング・マラソン

人気のスポーツランキング(女性)

一方、女性のランキングの場合、2位は「ヨガ・ストレッチ」、3位は「ジム・フィットネスクラブ」です。
男性人気2位の「ゴルフ」は、女性のランキングにおいては「水泳」、「ダンス」に次いで6位の結果でした。

1位 ウォーキング
2位 ヨガ・ストレッチ
3位 ジム・フィットネスクラブ

シニアがやっていたらかっこいいスポーツランキング(男女)

次に、高齢者がやっていたらカッコイイと思うスポーツのランキングを紹介します。
これからスポーツを始める人は、ぜひ参考にしてみてください。

3位 水泳
歩くだけでもよい運動になるといわれる水泳。スイスイ泳ぐ高齢者を見たら、思わず「カッコイイ!」と口に出してしまう人も多いのではないでしょうか。怪我のリスクが低く、適度な疲労感を感じられるのもポイントです。
水泳をした日は、よく眠れるという話もよく聞きます。

2位 テニス
優雅で華やかなイメージのある「テニス」が2位にランクインしました。足や腕、腰など全身を使うスポーツなので、バランスよく体を鍛えることができます。
テニススクールに通えば一人でも始められることや、ボールを打ち返せたときに爽快さを感じられるのもメリットです。

1位 ウォーキング
一人で気兼ねなく歩くのもよし、誰かと会話を楽しみながら歩くのもよしのウォーキング。姿勢よく歩いている高齢者を見ると、「かっこいい」と感じる人も多いようです。

ウォーキングには近所の人と挨拶を交わしたり、ストレスが解消できたりのメリットもあります。歩きやすい靴さえあれば、すぐに始められるのも人気の理由でしょう。

なお、ウォーキングの中には、水の中を歩く水中ウォーキングもあります。水圧による負荷がかかるため、普通に歩く以上の効果が期待できるエクササイズです。

その他、筋力トレーニングやボウリング、山の中を歩くトレッキングやグラウンドゴルフなども、高齢者が行うスポーツとしておすすめです。
気になるスポーツがある人は、前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

要支援・要介護者も自分にあった運動を生活に取り入れよう

祖父

もし介護が必要になったら……スポーツはしないほうがいいのかな?

はーとん

スポーツは適度に取り入れたほうがいいんじゃないかな。

要支援や要介護の高齢者にスポーツは無縁と思われる人もいるでしょうが、要支援や要介護の人こそ生活の中にスポーツを取り入れるべきです。
スポーツといっても、ハードな運動をする必要はありません。意識的に体を動かすことこそが介護予防につながります。

たとえば、地域包括支援センターで行われている介護予防の体操教室に通ったり、デイサービスで運動系のレクリエーションに参加したりもよいでしょう。

高齢者のADL(日常生活動作)の維持・向上には、無理をしない範囲での運動が大切です。
また、運動は関節拘縮(こうしゅく:関節が硬くなり、動かしにくくなること)の予防にも効果があります。ゆっくりと関節を動かすことで、可動域を広げることができます。

自分らしく暮らすために高齢者もスポーツを始めよう

はーとん

健康意識の高まりに比例して、スポーツをする高齢者が増えているっポ。
それから、日頃から何らかのスポーツをしているシニアは、今の生活に対する満足度が高いこともわかったっポ。

介護を必要とせず高齢者が自分らしく暮らすには、運動が欠かせないといってことじゃないかな。
でも、介護予防のためだからといって激しいスポーツをする必要はないっポ! まずは、散歩から始めてみるのもいいかもね。

参考資料
シニアのスポーツと日帰りレジャーに関する調査(大和ネクスト銀行)
種目別にみた運動・スポーツ実施状況(笹川スポーツ財団)

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著者:柴田 まみ

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著者:柴田 まみ

著者の画像

介護福祉士、介護支援専門員(ケアマネジャー)、社会福祉主事任用資格保有
特別養護老人ホームのユニットリーダーや、デイサービスの生活相談員に従事し高齢者福祉に携わる。特にデイサービスでは、介護をするご家族とのやり取りから在宅介護の難しさを実感。現場での経験を活かし、現在、介護関連の記事を執筆中。できるだけわかりやすい言葉を使って、介護の知識がない人でも理解しやすい文章を心がけている。座右の銘は、継続は力なり!

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