電動車椅子って危ないの?ユーザーが教える電動車椅子の注意点とは?

電動車椅子のユーザーがリアルな視点で使用法の注意点を教えてくれるっポ!

現役ユーザーが電動車椅子の注意点を教えます!

突然ですが、電動車椅子についてどのようなイメージを持っていますか。
看護職や介護職であれば日常的に目にする機会があるかもしれませんが、一方で、「電動車椅子についてほとんど知らない」という方も多いのではないでしょうか。

元気だった両親が年を取ると、どうしても足腰が弱くなり、ちょっとしたお出かけだけでも大変になってしまいます。
だからといってどこにも出かけず、家にこもってばかりいると筋力がどんどん落ちていきますし、気持ちもふさぎ込んでしまいます。

私には「脳性まひ」という先天性の身体障害があり、生まれた時から全身を自由に動かすことができません。現在も24時間、ヘルパーさんの介護を受けながら生活しています。

歩くことはもちろん、立つことさえもままならない私にとって、心強い味方となってくれるのが電動車椅子です。
中学生の頃から乗りはじめた電動車椅子は現在では4代目となり、かけがえのないパートナーとして私の日常を支えてくれています。

電動車椅子があれば、高齢になり足腰が弱くなっても自由に、自分の行きたいところまで行くことができます。多少の段差はもちろん、急な坂道もバッテリーの力で乗り越えてくれるので楽々です。

そんな、ハンディキャップのある人にとって欠かせない電動車椅子ですが、使い方を誤れば危険もあります。

実際、踏切事故やホームへの転落事故など、電動車椅子にかかわる痛ましいニュースが後を絶ちません。
リスクを最小限におさえ、電動車椅子をより安全に使っていくための注意点やアドバイスについて、電動車椅子ユーザーの視点から詳しくお伝えしていきます。

具体的にどんなことが危ないの?電動車椅子でよくある事故

電動車椅子に乗るうえでまず考えるべきは事故のリスクです。日本でも残念ながら、電動車椅子の走行中の事故が毎年一定の割合で発生しており、死亡事故に至ったケースもあります。

走行中の事故としては、以下のようなものがあります。

  1. 道路横断中の自動車接触事故
  2. 踏切事故
  3. ホームへの転落事故
  4. 側溝への転落事故

道路横断中の事故には、信号無視も含まれます。

簡易式の電動車椅子は車高が低いため、大型トラックなどでは運転席から車椅子が確認できず、信号をきちんと守っていたとしても事故につながってしまう、というケースも少なくありません。
特に夜間は視界が悪くなるため、自動車だけでなく自転車との接触事故にも注意が必要です。

日常のメンテナンスも重要です。バッテリーの残量が少ない状態で電動車椅子に乗り、遠くに出かけると途中でバッテリーが切れて動けなくなってしまう可能性があります。
ほとんどの車椅子は毎日の充電が推奨されていますので、時間帯を決めて毎日必ず充電するようにしましょう。

ユーザーが実際に体験した電動車椅子のリスク

中学生で初めて電動車椅子に乗ってから、もう20年近く車椅子ユーザーとして生活しています。

電動車椅子で出かけるにあたって何よりもこわいのが転倒事故です。
私が乗っている電動車椅子はジョイスティック式のタイプなので、少しのはずみで操作が大きく乱れてしまうこともあります。

電動車椅子に乗っていると、道路が思っている以上にでこぼこで、傾斜していることに気づきます。
電動車椅子は傾斜に弱く、片方のタイヤがほんの少し持ち上がっただけでもバランスを崩し、転倒しかねません。

せまい歩道にも注意が必要です。
近所のコンビニまで行く途中、せまい歩道を進んでいたところ、後ろから急に自転車のベルを鳴らされ、とっさに車道側によけようとしたら縁石を超えてしまい、車椅子が倒れてしまったことがあります。

その時は通りすがりの人がすぐに助けてくれましたが、手にケガをしましたし、誰も通りかからなかったらと思うと今でもこわくなります。

それ以来、私はどこに行くにもできるかぎり同じルートを通るようにしています。
なるべく平坦で段差が少なく、傾斜もしていない道を選べば、簡易式の電動車椅子でも安全に外出することができます。

初めての道を通る時には必ずヘルパーさんに同行してもらい、本当にその道が安全なのかどうかをチェックするようにしています。
もちろん、少しでも危ないと感じた道は二度と通りません。

メンテナンスも重要で、バッテリーやコントローラーに「おかしいな?」と思うポイントがあったらすぐにメーカーに連絡し、性能をチェックしてもらうようにしています。

電動車椅子の危険をさけるためには?

電動車椅子の転倒や故障のリスクは、ここまでにご紹介した基本的な注意点を守ればおさえることができます。

  1. 平坦な道を走行する
  2. 信号をきちんと守る
  3. 夜間の外出は極力さける
  4. 飲酒後や服薬後は乗らない

など、初歩的なルールをしっかり守ることで、走行中の事故を減らすことができます。

また、基本的な交通ルールを知っておくことも大切です。
歩道を走行する、歩道がない場合は路側帯を進む、など、気づきにくい交通ルールは意外とたくさんあります。

一部の道路では車道の通行も認められていますが、基本的には「歩道を通るのが安全」と覚えておくと良いでしょう。

電動車椅子の操作に慣れていないうちは、しばらくご家族の方が付き添ったうえで、公園などの広い場所で基本的な操作を練習する、というのもひとつの安全対策といえるでしょう。

日頃のメンテナンスもご家族の方が一緒に行い、少しでも異常があれば販売元に連絡し、詳しい検査を依頼しましょう。

まとめ

「自由にお出かけしたい」というニーズをかなえてくれる電動車椅子。電動車椅子があれば、年齢のために足腰が弱くなっても遠くに出かけたり、買い物を楽しんだりすることができます。

転倒事故や踏切事故などのリスクを最小限におさえるためにも、基本的な交通ルールをしっかりと守り、道の安全性をご家族の方とチェックしたうえで慎重に利用していきましょう。

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著者:立石 芳樹

先天性の脳性麻痺で出生時から歩くことができず、現在は電動車椅子に乗って暮らす。28歳まで親元で生活し、現在は障害者向けのシェアハウスに入居し、ヘルパーによる介護を24時間受けている。

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