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訪問介護と訪問看護の違いとは?2つのサービスをわかりやすく比較

訪問介護と訪問看護の違いとは?2つのサービスをわかりやすく比較訪問介護と訪問看護の違いとは?2つのサービスをわかりやすく比較

「訪問介護」と「訪問看護」は名称が似ていることから混同されがちですが、この2つのサービスは中身がまったく違います。
この記事では、訪問介護と訪問看護の違いについて、サービス内容や料金、利用条件などを項目別にケアマネジャーが詳しく解説します。

訪問介護と訪問看護の違いとは?

訪問介護と訪問看護は、どちらも自宅にいながら利用できる介護サービスです。利用者が可能な限り自立した日常生活を送れるように支援します。

訪問介護の主なサービスは、自宅に訪問したヘルパーによる身体介護や生活援助です。訪問看護では、自宅に訪問した看護師等が主治医の指示で療養上の世話などを行います。

訪問介護と訪問看護には大きな違いが4つあります。

・サービス内容
・職員の保有資格
・利用条件や保険区分
・料金

ここでは、訪問介護と訪問看護の違いについて、項目ごとに解説します。

訪問介護と訪問看護|サービス内容の違い

訪問介護と訪問看護には、その名称からわかるように「介護」と「看護」という明確な違いがあります。それぞれの詳細を見てみましょう。

訪問介護のサービス内容

訪問介護は、ヘルパーが自宅を訪問して利用者を支援するサービスです。入浴や排せつなどの身体介護、掃除や買い物などの生活援助を行います。

訪問介護ではどんなことでもヘルパーにお願いできるわけではなく、介護保険が適用されるサービスと適用外のサービスがあります。
それぞれの具体的な例は以下です。

訪問介護でできること
・生活援助(調理、洗濯、掃除、買い物などの家事援助)
・身体介護(食事、入浴、排せつなどの介助)
・通院等乗降介助(通院時などの車への乗降介助、乗車前後の移動介護など)
訪問介護でできないこと
・利用者本人以外への援助(家族のための支援、来客対応など)
・日常生活の範囲を超えたサービスの提供(ペットの世話、庭の手入れ、大掃除、正月の準備など)
・コリや痛みを緩和するマッサージ
など

家族への支援や日常生活の範囲を超えたサービスの提供は介護保険の範囲外です。介護保険が適用されない部分の支援を受けたい方は、自費サービスの検討が必要となります。

訪問介護について詳しくはこちら

訪問看護のサービス内容

訪問看護は、看護師などが利用者の自宅を訪問し、主治医の指示に基づいて療養上の世話や診療の補助などを行うサービスです。
訪問看護にもできる支援とできない支援があり、それぞれの具体的な例は以下です。

訪問看護でできること
・医療処置(カテーテルなどの管理、在宅酸素、褥瘡の処置など)
・健康状態の評価(血圧や脈拍などの測定、病状チェック)
・入院、退院時の支援
・リハビリテーション看護
・日常生活に必要な介助
・本人・家族からの相談や心理的支援
・自宅での看取りケア
など 
訪問看護でできないこと
・利用者本人以外への援助
・通院の付き添い
・本人の自宅以外でのサービス提供
・調理、掃除などの家事支援
など

訪問看護は、主治医の指示に基づいて療養上の世話や医療ケア、診療の補助などを行います。
ご本人やご家族への心理的な支援や、自宅で最期のときを迎える方への看取りケアもサービスに含まれます。

また、日常生活に必要な介助として、清拭や洗髪などの清潔ケア、移動・移乗などのサポートもサービスの範囲内です。
ただし、掃除や洗濯、買い物などの援助は対象にはなりません。

訪問看護には看護師だけでなく、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が適宜配置されているため、専門的なリハビリテーションを受けることもできます。

訪問看護について詳しくはこちら

訪問介護と訪問看護|職員の保有資格の違い

訪問介護と訪問看護では働く職員が持っている資格も違います。

訪問介護ヘルパーの資格

訪問介護のヘルパーは以下のいずれかの資格を保有しています。

  • 介護福祉士
  • 実務者研修修了者
  • 介護職員初任者研修修了者
  • 生活援助従事者研修修了者(※生活援助中心型のみ提供可能)
  • 旧介護職員基礎研修修了者
  • 旧ホームヘルパー1級
  • 旧ホームヘルパー2級

デイサービスなどとは異なりヘルパーと利用者は1対1の関係となりますが、訪問介護のヘルパーは介護に関する一定の知識や技術を学んでいるため安心です。

ただし、生活援助従事者研修修了者は身体介護ができません。提供できるサービスは生活援助のみになります。

訪問看護スタッフの資格

訪問看護のサービスを提供する職員は、以下のいずれかの資格を保有しています。

  • 保健師
  • 看護師
  • 准看護師
  • 助産師
  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 言語聴覚士

訪問看護の職員は、看護師、准看護師、保健師、助産師などの資格を保有しています。訪問介護の職員は介護のプロですが、訪問看護の職員は看護のプロです。
ほかにも理学療法士、業療法士、言語聴覚士が適宜配置され、主治医の指示に基づいたリハビリテーションを提供します。

訪問介護と訪問看護|利用条件・保険区分の違い

訪問介護と訪問看護では提供するサービスが違うため、利用条件が異なります。また訪問看護では適用される保険にも違いがあります。

訪問介護の利用条件・保険区分

訪問介護は介護保険が適用されるサービスです。
65歳以上で要介護1~5の認定を受けた方、または40~64歳で医療保険に加入し、特定疾病により要介護認定を受けた方が利用できます。

特定疾病の種類は以下のとおりです。

  • がん(回復の見込みがない末期の状態)
  • 関節リウマチ
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 後縦靱帯骨化症
  • 骨折を伴う骨粗鬆症
  • 初老期における認知症(アルツハイマー病、脳血管性認知症等)
  • 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病(パーキンソン病関連疾患)
  • 脊髄小脳変性症
  • 脊柱管狭窄症
  • 早老症(ウェルナー症候群等)
  • 多系統萎縮症
  • 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
  • 脳血管疾患(脳出血、脳梗塞等)
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎等)
  • 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

介護保険を利用するためには、まず市区町村の窓口で要介護・要支援の認定申請を行います。認定調査を経て要介護1~5の認定を受けると訪問介護の利用が可能です。

訪問看護の利用条件・保険区分

訪問看護で利用できる保険は、介護保険または医療保険のいずれかです。どちらの保険になるかは利用者の状況に応じて決まり、同時利用はできません。

要介護・要支援の認定を受けている方は、介護保険が優先されます。
介護保険で訪問看護を利用する方は要介護1~5が対象で、要支援1・2の方は介護予防訪問看護を利用できます。

以下のいずれかに当てはまるケースでは、訪問看護の利用に医療保険が適用されます。

1.40歳未満の方
2.40歳以上65歳未満で、16特定疾病による要支援・要介護の認定を受けていない方
3.65歳以上で、要支援・要介護の認定を受けていない方
4.要支援・要介護の認定を受けた以下の方
 ・厚生労働大臣が定める疾病・状態等がある方
 ・精神科訪問看護が必要な方
 ・特別指示のある方

介護保険は高齢者(条件により40歳以上)が対象ですが、医療保険は乳幼児から高齢者まで幅広い層が対象です。

介護保険と医療保険のどちらのケースでも、訪問看護の利用には主治医による訪問看護指示書の交付を受ける必要があります。

訪問介護と訪問看護|料金の違い

訪問介護と訪問看護の料金の違いは以下のとおりです。

訪問介護の料金

訪問介護は以下の3つのサービス内容により料金設定が異なります。

  • 身体介護
  • 生活援助
  • 通院等乗降介助のサービス内容

以下は訪問介護の利用者負担の目安です。要介護度による料金の違いはありません。
実際は地域ごとの単位数や事業所ごとに算定している加算などで料金が変わります。ここでは、1単位10円・介護保険の自己負担1割で計算しています。

訪問介護(身体介護)
20分未満 163円
20分以上30分未満 244円
30分以上60分未満 387円
60分以上90分未満 567円
以降30分ごと 82円
訪問介護(生活援助)
20分以上45分未満  179円
45分以上 220円
訪問介護(通院等乗車介助)
1回(片道) 97円

訪問介護の料金について詳しくはこちら

訪問看護の料金

介護保険を適用した訪問看護の料金は、「訪問看護ステーション」と「病院・診療所」のどちらを利用するかで金額が異なります。

以下は訪問看護の利用者負担の目安です。要介護度による料金の違いはありません。
実際は地域ごとの単位数や事業所ごとに算定している加算などで料金が変わります。ここでは、1単位10円・介護保険の自己負担1割で計算しています。

訪問看護ステーションの場合
20分未満 314円
30分未満 471円
30分以上1時間未満 823円
1時間以上1時間30分未満 1,128円
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の訪問(20分) 294円
病院・診療所の場合
20分未満 266円
30分未満 399円
30分以上1時間未満 574円
1時間以上1時間30分未満 844円

訪問看護では専門的な医療ケアを実施するため、訪問介護より料金が高い傾向です。

訪問介護と訪問看護のどちらを利用するべき?

ここまで解説してきたように、訪問介護と訪問看護ではサービス内容が異なります。そのためどちらが良い・悪いではなく、利用目的に合わせて選ぶ必要があります。

実際にはケアマネジャーと相談したうえで利用するサービスを決定しますが、参考までに訪問介護と訪問看護それぞれのサービス利用に向いている人の特徴を紹介します。

訪問介護が向いている人
・家事や買い物などの生活面での援助が必要
・自宅での排泄や食事など、身体介助が必要
・医療ケアの必要はない
訪問看護が向いている人
・日常生活において治療が必要
・バイタルチェックが必要
・在宅酸素やカテーテルなどの管理が必要
・難病や急変の可能性がある
・看取り期である

訪問介護は、身体機能が低下している方などに必要な支援をする介護サービスです。排泄や食事などの身体介護や、洗濯や調理などの生活援助が必要な方に向いています。

一方、訪問看護は医療ケアが必要な方に対して、療養上の世話や診療補助を行うサービスです。点滴や在宅酸素などの医療が必要な方や、急変の可能性がある方などに向いています。

訪問介護と訪問看護の違いに関するよくある質問

訪問介護と訪問看護は名称が似ていることもあり混同されやすいサービスです。
ここでは、訪問看護と訪問介護の違いに関するよくある質問に回答します。

・訪問介護と訪問看護は併用できる?
・訪問介護と訪問看護の2時間ルールとは?

訪問介護と訪問看護は併用できる?

訪問介護と訪問看護の併用は可能ですが、原則として同一時間帯の利用はできません。ただし、介護のために必要だと認められれば併用できるケースもあります。
サービスを併用したいときは、担当のケアマネジャーに確認するのが確実です。

訪問介護と訪問看護の2時間ルールとは?

訪問介護と訪問看護には、2時間ルールと呼ばれるものがあります。
これは同じ利用者に対して、同日に2回以上訪問サービスを提供するときに適用されるルールです。訪問の間隔を2時間以上空けなければ、2回訪問しても1回とみなされます。

長時間のサービスを提供するよりも、短時間の訪問を繰り返す方が高い報酬を得られるため、それを防ぐために設けられています。

たとえば、負担割合1割の人が訪問介護を20分間利用し、10分後に再び20分間利用したとしましょう。2回の利用で、20分(約244円)×2回=40分(約488円)となります。
それに対し、40分を1回として利用すると約387円です。
利用者の立場からすると、20分を2回利用した方が101円高くなります。

ただし、2時間ルールには以下のような例外があります。

訪問介護の例外
・緊急時の対応
・通院などの乗降介助
・看取り期での対応
・同事業所による20分未満の身体介護
訪問看護の例外
・緊急時の対応
・看護師と作業療法士など異なる職種による訪問
・計画段階では2時間以上空いている
・20分未満の訪問

訪問介護と訪問看護の違いを知って活用しよう

訪問介護と訪問看護は利用者の自宅に訪問してサービスを提供する点は同じですが、サービス内容や職員の保有資格、利用条件、料金などが異なります。

訪問介護は生活面で、訪問看護は医療面での支援を必要とする方に向いています。
どちらのサービスを選ぶかは、好みで判断できるものではありません。ケアマネジャーと相談し、利用する目的に合わせて選択しましょう。

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著者:竹野 はる(045 FORTYFIVE所属)

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著者:竹野 はる(045 FORTYFIVE所属)

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介護支援専門員(ケアマネジャー)、介護福祉士、介護保険認定調査員、認知症介護実践者研修修了、保育士

介護歴15年の福祉ライター・編集者。訪問介護や特定施設など、さまざまな現場で経験を積んだのち、ケアマネジャーとして働きながら介護保険認定調査員としても活動。障がい者就労支援や保育士の経験もあり。必要な方に正しい情報を届けることを意識し、多様な立場への深い理解に基づいて執筆活動を行っている。

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