訪問介護とは、在宅生活をする高齢者のためにホームヘルパーが自宅を訪問し、必要な援助を行うものです。
本人のニーズに合わせた支援を受けられるので、自宅での生活を無理なく継続することができます。
訪問介護の詳しいサービス内容や利用料金、訪問介護でできること・できないことなどを、まとめてわかりやすく解説します。
訪問介護とはどんなサービスなんだろうか?
訪問介護とは、要介護者が自宅でできるだけ自立した生活を送れるように支援する、訪問系のサービス。ホームヘルプって呼ばれることもあるっポ。
訪問介護は、社会福祉法人や医療法人、民間企業などが運営する訪問介護ステーションから、訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の家に訪問して、サービス提供を行います。
提供するサービスには、3つの種類があります。
身体介護は、入浴介助やおむつ交換など直接身体に触れてケアを行います。
なかでも、一人暮らしや同居家族が家を留守にしがちな高齢者の場合、特に多いのが「一人で入浴をするのが不安」との声。
ヘルパーが入浴介助をすることで、不安のない入浴が可能です。
その他、朝や寝る前の着替えの介助、食事を自力で食べられない人への食事介助などもあります。
生活援助は、掃除や洗濯、調理などの日常生活に必要な家事全般です。
他にも薬の受取をしたり、日用品の買い物の付き添いをしたりとさまざまなニーズに対応します。
通院等乗降介助は、車での通院時の乗降やその前後の介助をヘルパーが行います。
訪問介護を利用できるのはどんな人かな?
訪問介護は、掃除や洗濯、調理を自分ですることが難しく困っている人や、入浴や食事、排せつに介助を必要とする人などが利用します。
利用できるのは、在宅生活を送る要介護1~5で65歳以上の人。
ただし、特定疾病と呼ばれる16種の病気が原因で介護を必要とする人であれば、40歳から利用できます。
要支援1~2の人は要支援者向けの介護予防サービスとして利用が可能です。
訪問介護を利用してメリットがあるのは、以下のような人です。
自宅での生活が困難な人が訪問介護を利用すれば、生活の質が上がりそうだね。
訪問介護を利用する前には、いい面も悪い面も知っておくといいっポ。
訪問介護を利用するメリットは主に4つです。
介護が必要でも在宅生活を継続できる
高齢者が困っていることを手助けするサービスなので、自立を促し自宅での生活を無理なく継続できます。
たとえば、火の始末や包丁使いが心配な人なら調理をヘルパーに任せる。足の痛みでゴミ出しや買い物ができない人なら、ヘルパーによる家事援助を利用する。
こうすることで、安全に自宅での生活を続けられます。
訪問介護は生活スタイルに合わせたサービスを提供してくれるため、利用者は生活リズムを崩さずにすむのです。
家族が安心して外出できる
介護をする家族のなかには、昼間は仕事などで家にいない人も少なくありません。
そのため、同居する家族がいたとしても、要介護者がひとりきりになってしまう時間ができてしまいます。
たとえば、寝たきりの人を介護している場合、家族が留守にする時間帯に訪問介護を利用すれば、おむつ交換や体位交換(寝返りをうたせること)、服薬や食事の介助をヘルパーに任せることができ、安心して外出できるでしょう。
家族の介護負担を軽減
家族の毎日の介護負担はとても大きなものですが、訪問介護サービスを利用することで負担の軽減が可能です。
特に老老介護のケースでは、介護疲れが深刻になってしまうことも。日中の介護はヘルパーに任せることで、共倒れのリスクを回避できでしょう。
体調の変化や安否確認ができる
高齢者は、特定のコミュニティーに属していなかったり、人との関係が疎遠になったりすることがあります。
特に一人暮らしの人は、相談できる相手がいなかったために病状が悪化して、手遅れになるリスクもあるのです。
ヘルパーによる定期的な訪問で、安否確認はもちろん体調の変化にもいち早く気づくことができます。
ヘルパーが認知症の症状に気づいて家族に受診するようすすめた、床ずれの早期発見をして早めの治療を可能にした、などは実際にあったケースです。
訪問介護はいいことばかりではないんだろうか……。
一方、訪問介護のデメリットは主に2つです。
本人がサービスを拒否する
人によっては他人の訪問に抵抗感を持つことがあります。
「自宅に他人を入れたくない」という人は少なくありません。そのため、要介護者本人が訪問介護の利用を拒むケースもあります。
その場合は、はじめは家族やケアマネジャーと一緒に訪問をしたり、短時間の利用からサービスを開始したりする工夫が必要です。
利用者とヘルパーにも相性がある
多くの利用者やスタッフと過ごすデイサービスなどとは違い、ひとりのヘルパーが自宅に訪れる訪問介護は、そのヘルパーとの相性も重要なポイントになります。
信頼関係が築けるようお互いに意思疎通を図ることが必要でしょう。
よく勘違いしてしまうのが、ヘルパーをお手伝いさんのように何でもしてくれる人だと思ってしまうこと。
しかし、それは誤りです。そのことはしっかり認識しておきましょう。
ですが、家事のやり方や介護方法で気になる点、こうして欲しいなどの要望は遠慮せずに伝えることも大切です。
どうしても相性が合わない、ヘルパーを変更したいなどの希望がある場合は、担当ケアマネジャーや事業所への相談をおすすめします。
訪問介護サービスを受けるには、以下のような手続きを踏んでね。
(1)ケアマネジャーに相談
担当ケアマネジャーに訪問介護を利用したい旨を伝えます。
その際、困っていることや手伝ってもらいたいことを相談して、サービスが受けられるかどうかを確認します。
(2)サービス利用の頻度や事業所を検討
どのようなサービスがどのくらいの頻度で必要かを、ケアマネジャーと検討します。
利用する訪問介護事業所を選んだら、必要書類を作成して契約へ。
(3)ケアプランに反映してサービス開始
細かい援助内容の確認をすると同時に、訪問時間や利用回数などのスケジュールを組んで、ケアプランに反映します。
利用者本人と家族が納得するケアプランが完成したら、サービス開始です。
なお、「営業時間が希望通りか」「土日祭日の利用が可能か」「年末年始は利用できるのか」などは各事業所によって異なります。
早朝や夜間、深夜の訪問に対応可能な事業所もあるので、探してみるとよいでしょう。
もし特別な要望があれば、事業所や担当ケアマネジャーに確認しましょう。
訪問介護サービスにはどのくらいの費用がかかるのか、年金暮らしだと重要なポイントだな。
訪問介護は、要介護度による費用の違いはありません。
要介護1の人も、要介護5の人も同じ料金となります。
20分未満 | 167円 |
---|---|
20分以上30分未満 | 250円 |
30分以上60分未満 | 396円 |
60分以上90分未満 | 579円 |
以降30分ごと | 84円 |
20分以上45分未満 | 183円 |
---|---|
45分以上 | 225円 |
1回 | 99円 |
---|
*上記は2021年4月からの料金
なお、上記は1単位10円、自己負担1割で計算しています。住んでいる市町村や利用者の所得によっても費用は異なります。
さらに、2人の訪問介護員を必要とした場合や、夜間(18~22時)や早朝(6~8時)の利用、その他、緊急時にサービスを利用したときなどは規定の追加料金がかかるため、詳しい費用については担当ケアマネジャーに確認しましょう。
また、要介護度によって設定されている支給限度額をオーバーすると、オーバーした利用料が全額自己負担となります。
他に利用しているサービスとの兼ね合いを見ながら、サービス内容や回数の検討が必要です。
訪問介護のサービスには、介護保険でできること・できないことの線引きがあるんだっポ。
できないことは、お願いしてもヘルパーに断られちゃうんだ。この境界線はちょっと難しいから、よくチェックしてね。
介護保険サービス内で受けられる生活援助の一例
これらの家事全般を行う生活支援サービスは、介護職員の不足を解消するために、2018年の介護保険改正から介護の資格を持たない職員でも提供できるようになったっポ(ただし、生活援助に必要な知識を得るための研修を修了した人に限る)。
これに伴って、介護の資格を持つ職員は身体介護の援助を中心に行うようになっているんだよ。
介護保険サービス内で受けられる身体介護の一例
介護保険内でヘルパーができないサービスをわかりやすく分けると、以下の3つ。
細かくわけると、以下のような内容です。
介護保険内では行えないサービスの一例
愛犬の散歩をしてもらえないのはちょっと不便かな……。
上記のような「保険外サービス」と「介護保険サービスの訪問介護」を組み合わせたものを「混合介護」っていうよ。
たとえば、訪問介護の食事調理のあとに犬の散歩をしたり、日用品の買い物のついでに趣味や娯楽のための外出支援をしたりするものだっポ。
混合介護は、介護保険内ではできないさまざまなニーズに対応でき、利用者のQOL(生活の質)を向上させるメリットがあります。
しかし、サービス要項が複雑なため、事業所もサービスを提供しづらい状況でした。
そこで2018年、厚生労働省は各事業所に対し、混合介護のルールを明確化しました。
訪問介護と保険外サービスの時間や会計をしっかり分けることや、両者の違いを利用者にきちんと説明し理解を求めることなどが挙げられます。
訪問介護と保険外サービスを組み合わせる場合、サービス時間を明確に区分する必要があります。
つまり、訪問介護と保険外サービスを同時進行で提供することはできないということです。
たとえば、訪問介護の時間内で利用者の食事のついでに同居する家族の分の調理も頼むということはできません。
いったん利用者の分を介護保険内の時間で作り終えてから、さらに、保険外サービスの時間で家族分を作らなくてはいけないのです。
もし、混合サービスの希望があるときや、「この家事は介護保険内で頼める?」と心配なときなどは、担当ケアマネジャーや事業所に相談してみましょう。
なお、訪問介護の費用が利用料金の1~3割(所得による)負担なのに対し、保険外サービスは全額自己負担となります。
そのため、利用する際はサービス内容の違いなどをしっかり理解し、納得したうえでの利用が必要です。
料金は少し高くなりそうだけど、どうしてもってときにお願いできると思えば、少し心強いよ。
訪問介護は一人暮らしの人や老老介護をはじめ、身体介護や生活支援を必要とする人にとっては、とてもありがたいサービスだっポ。
QOL(生活の質)の向上も目指せるし、介護する人の介護負担の軽減にも役立つんだ。
在宅介護をするなら、まず利用したいサービスといえるよね!
*自治体や事業所により、ここで説明した内容と異なる場合があります。詳細に関しては、必ず各自治体・事業所にお問い合わせください。
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