介護や医療を必要とした高齢者が、住み慣れた地域や住み慣れた家で自分らしく暮らせるよう支援するサービスを「地域密着型サービス」といいます。「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」は、そのなかでも特に重要なサービスのひとつ。
ここでは、定期巡回・随時対応型訪問介護看護のサービス内容や料金、メリット・デメリットについて、わかりやすく解説します。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用できる対象者は、要介護1以上の人だっポ。だから、自立や要支援の人は利用できないんだよ。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護のサービス内容は以下の3つになります。
定期巡回サービス
定期巡回サービスでは、定期的な訪問介護が1日に何度も利用できます。
一般的な訪問介護サービスは、30分以上の滞在で週に数回の訪問が基本です。訪問ヘルパーが週に2~3回訪問し、買い物や掃除、洗濯などの家事援助をおこなうイメージが強いのではないでしょうか。
一方、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、滞在時間5分程度から1時間以上のサービスまで滞在時間の幅が広いうえ、1日の訪問回数に制限もありません。
そのため、一般的な家事援助以外にも、服薬管理のための5分や寝る前の排泄介助のための15分など、ピンポイントでの利用が可能です。
朝晩の着替えの介助を必要とする人や、薬の管理が苦手な人、「デイサービスに行く日の朝だけ準備を手伝ってほしい」という人にも向いています。
利用者の生活リズムに合わせて、適切な訪問介護サービスを利用できるでしょう。
随時対応サービス・随時訪問サービス
ボタン1つでオペレーターに通報できるオペレーションシステムを導入したサービスです。事業所から配布されたケアコール端末を使い、利用者が困ったときはいつでもボタンを押すだけで通報することができます。
利用者からの通報を受けて、オペレーターが対処法を提案したり、訪問スタッフを自宅に向かわせたり、緊急時は救急車の要請をしたりするサービスです。
「何かあったら訪問スタッフが駆けつけてくれる」という安心感が、一人暮らしの高齢者や老老介護世帯の心の支えとなります。
訪問看護サービス
病気や障害によって療養が必要な利用者に、訪問看護サービスを提供します。定期的に看護師が訪問することで、病状の変化や悪化を見逃さずに生活でき、利用者本人はもちろん、介護をする家族の身体的負担や精神的負担を軽減します。
いたれりつくせりのサービスだね。これなら自宅でも安心して介護を受けることができそうだよ。
定期的な訪問介護・看護や緊急時のかけつけサービスが充実の期巡回・随時対応型訪問介護看護だけど、利用にはいくらかかるっポ?
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用料は月額制になります。
その料金は、要介護度や訪問看護サービス利用の有無、利用する事業所に訪問看護師がいる一体型か、訪問看護師がいない連携型かによっても異なります。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護「一体型」1カ月あたりの料金
訪問看護サービスなし
訪問看護サービスあり
*1単位10円、1割負担の場合で計算。地域や負担割合により金額は異なります。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護「連携型」1カ月あたりの料金
訪問看護以外のサービス利用
訪問看護サービス利用
*1単位10円、1割負担の場合で計算。地域や負担割合により金額は異なります。(2019年10月更新)
連携型では、同じ事業所内で訪問看護サービスを提供していないことから、他の事業所の訪問看護を利用すると、そのぶんの利用料がかかります。
一体型、連携型もそれぞれ訪問看護サービスの有無で利用料が変わるため、注意が必要です。
要介護度が高いとけっこうな負担になりそうだね……。利用にはしっかり検討したほうがよさそうだな。
月の途中で契約する場合は、日割り計算になるっポ!
上記の金額を規定の30.4日で割り、1日あたりの料金を出します。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護「一体型」1日あたりの料金
訪問看護サービスなし
訪問看護サービスあり
*1単位10円、1割負担の場合で計算。地域や負担割合により金額は異なります。(2019年10月更新)
よって、要介護1の人が月の途中でサービスを開始し、10日間「訪問看護サービスなし」を利用したら1,870円(187円×10日)ということです。
また、定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用中に入院したり、ショートステイなどの宿泊サービスを利用したりした場合も、同じように日割り計算をして1日あたりの料金を出します。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護のメリット・デメリットも確認しておくっポ。
利用者の生活リズムが崩れない
定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用することで、利用者の生活リズムに合わせたサービスを受けることができます。必要があれば1日に何度も訪問してくれるため、利用者の生活に必要なサービスをピンポイントで受けることが可能です。
そのため、利用者は今までの生活リズムを崩すことなく、在宅生活を続けられます。
介護だけでなく看護サービスも受けられる
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、介護ヘルパーだけでなく、看護師の訪問が可能なサービスです。病気や障害に対しての知識が豊富な看護師が訪問することで、介護される人はもちろん、介護する家族の不安も軽減します。
病気の悪化に伴い、訪問介護だけでなく訪問看護が必要となった場合も、一体的なケアサービスを受けることができます。医療行為が必要な人や自宅で最期を迎えたいと願う人も、安心して住み慣れた自宅で生活できるでしょう。
24時間いつでも通報できる
このサービスの特徴のひとつであるケアコール端末から、24時間いつでもオペレーターに通報することができます。そのため、24時間いつでも駆けつけてくれる安心感があります。
一人暮らしの人や、老老介護をする世帯、さらに、離れて暮らす家族も安心です。また、通報時は介護ヘルパーだけでなく、看護師による訪問も可能なため、緊急時の医療処置などを受けることができます。
24時間いつでも連絡がとれるのはありがたいよ。それだけで安心できそうだ。
一方、定期巡回・随時対応型訪問介護看護にはデメリットもあります。
同じようなサービスは併用できない
同じようなサービスを提供する訪問介護や、夜間対応型訪問介護などとの併用はできません。そのため、いままで他の事業所の訪問介護サービスを利用していて、信頼する訪問ヘルパーがいる場合は心苦しい選択となるかもしれません。
なお、病院に行くときの付き添いや診察手続きなどを指す通院等乗降介助との併用は可能となります。
利用頻度が低いと割高に
1カ月の定額料金となるため、利用頻度が低いと割高になってしまう可能性があります。そのため、本当にこのサービスが必要なのかどうかは、事前によく検討するとよいでしょう。
心配な人は、サービス内容や料金形態を含めて、どの介護サービスが自分や家族にあっているのかを担当ケアマネジャーに相談するっポ。
似たようなサービスの「夜間対応型訪問介護」なんかも視野に入れて、比較・検討するといいよね。
サービスの利用を希望するなら、以下のような流れになるっポ。
(1)要介護認定を受ける
まず、要介護認定を受ける必要があります。要介護認定を受けていない人は、市町村の介護保険担当窓口や地域包括支援センターなどに要介護認定の申請をおこないましょう。
(2)ケアプランを作成する
認定調査後、要介護1以上と認定されたら、介護サービスの利用に向けて、担当ケアマネジャーがケアプラン(介護サービス利用計画書)を作成する流れとなります。
その際、ケアマネジャーにどのようなことで困っているのか、どのような介護サービスを利用したいのかを伝えましょう。担当ケアマネジャーは、利用者の要望や主治医の意見書をもとに、利用者にとって適切な介護サービスや訪問回数、訪問時間などを検討します。
(3)サービス開始
利用者や家族の納得するケアプランが完成したら事業所との契約をして、サービス開始となります。
サービス利用にはケアプランが不可欠なんだね。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護には、24時間切れ目のない安心感があるっポ。夜中でも何かあったら来てくれるのはありがたいよね。
できるだけ長く自宅で暮らし続けたい人にはぴったりのサービスじゃないかな。でも、担当のケアマネに相談してからサービスの利用をするべきか判断しようね。
*自治体や事業所により、ここで説明した内容と異なる場合があります。詳細に関しては、必ず各自治体・事業所にお問い合わせください。
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