訪問リハビリテーションとは、専門職が自宅に訪問してリハビリを施してくれる介護保険サービス。
どんな人がサービスを提供し、どのようなサービス内容で、どうやって利用すればいいのか。
訪問看護など他のサービスとの違い、料金や利用できる回数など、訪問リハビリテーションをわかりやすく簡単に解説します。
訪問リハビリテーションとは、専門職が利用者の自宅を訪問して、日常の生活環境に合わせたリハビリを行うサービスだっポ。
介護保険と医療保険の両方で利用できますが、ここでは介護保険サービスとしての訪問リハビリテーションを詳しく見ていきます。
訪問リハビリテーションでは、利用者の心身機能の維持や回復を図り、可能な限り自立した生活を送ることができるよう、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が自宅を訪問してリハビリを行います。
病院やクリニック、介護老人保健施設(老健)もしくは指定を受けた訪問リハビリテーション事業所でのみサービス提供が可能です。
身体機能訓練や日常生活に直結した訓練、社会適応練習、家族の支援などが主なサービス内容となります。
身体機能訓練
日常生活に直結した訓練
社会適応練習
言語訓練・嚥下訓練
その他
訓練だけじゃなくて家族へのアドバイスもあるのはいいね。
身体が不自由でも日々の暮らしが快適になりそうだなあ。
訪問リハビリテーションと似たサービスに、訪問看護を利用したリハビリがあるよ。
訪問看護で行うリハビリテーションはあくまで看護の一環という位置づけのため、療養上の目標を達成するためにサービスが提供されます。
この目標を達成するための計画書には具体的なサービス内容が記載され、これに基づいてリハビリが行われるのです。
そのため訪問看護でのリハビリは、事業者は看護業務の一環であることを利用者に説明し、同意を得なければなりません。
一方、訪問リハビリテーションは、医師の指示のもとリハビリを行うため、目標などを含んだ計画書を作成し、3カ月に1回は担当医を受診して評価を行わなければいけません。
計画書には、これまでの経過や現在の心身機能・活動・社会参加の状況、目標と具体的な支援内容が記載されます。また、利用者やその家族の希望も盛り込まれます。
訪問リハビリテーションはどんな人が利用できるのかな?
訪問リハビリテーションの対象となるのは、医師からリハビリが必要と認められた要介護1~5の認定を受けた人です。
要支援1・2の認定を受けた人は、介護予防訪問リハビリテーションを利用できます。
また、65歳未満であっても、特定疾病により要介護認定を受けている人は対象です。
通院できる場合には、通所サービスの利用が優先されます。
ただし、通所リハビリテーション(デイケア)だけでは自立した在宅生活が難しい環境であれば、訪問リハビリテーションのみ、または併用した利用もできます。
なお、訪問リハビリは通所リハビリテーション(デイケア)など他の介護保険サービスとの併用も可能です。
訪問リハビリテーションを受けるための手順と、実際のサービス利用の流れを見ていくっポ。
(1)ケアマネジャーに相談
訪問リハビリテーションを利用するためには、担当のケアマネジャーに相談することからスタートです。
ケアマネが探した訪問リハビリテーション事業所や病院・診療所から、利用者やその家族の希望に沿ったところを一緒に選定します。
(2)主治医の診察
訪問リハビリテーションを利用したいことを主治医に伝え、診察を受けます。
その後、診療情報提供書やリハビリテーション指示書などの必要な書類を作成してもらいます。
(3)事業所と契約
書類がそろったら、事業所から利用条件や利用方法、サービス内容などの重要事項説明書に沿った説明を受けます。
この内容に同意したうえで、訪問リハビリテーション事業所と契約することになります。
(4)ケアプランにサービスを追加
事業所の医師が主治医のリハビリテーション指示書を参考に計画書を作成し、ケアマネジャーが訪問リハビリテーションをケアプランに組み込むと、サービスの利用が開始となります。
訪問リハビリテーションを利用する当日の流れは以下の通りです。
(1)専門職による体調チェック
リハビリ専門職が自宅を訪問すると、まずは体温や脈拍、呼吸や血圧などを測定。次に、病状や精神面の健康状態を確認します。
このときに、介助者である家族の健康状態を確認することもあります。
(2)リハビリテーションの実施
リハビリテーションができる状態であることを確認したら、身体機能訓練や日常生活への指導などを実施。
自立した生活が送れるように、利用者の実際の生活場面に合わせたリハビリ内容となります。
(3)利用者や家族の相談に応じる
訪問リハビリテーションでは、リハビリの実施や指導だけでなく、介護に関する相談にも応じます。具体的な介護内容に対する相談から、精神的な支援、福祉制度利用の助言など、その内容はさまざまです。
必要に応じて他の専門職との連携もおこなわれます。
詳しくは、事業所やケアマネジャーに確認してね。
毎日来てくれたらいいけど……。でも費用も心配だなあ。
介護保険では、訪問リハビリテーションの利用回数が決められています。
1回のリハビリは20分単位で、1週間に6回までの利用が可能です。
1回に連続して40分のリハビリを行った場合には、利用回数は週3回までとなります。
1回 | 308円 |
---|
※上記は2024年6月以降の料金
上記は1単位10円、1割負担で計算しています。地域や負担割合(1~3割)により金額は異なります。
1割負担であれば、訪問リハビリテーションの基本サービス費は1回20分以上で308円程度(308単位)となり、40分であれば2倍の616円(616単位)、60分であれば3倍の924円(924単位)です。
1単位はおよそ10円。利用料金は介護報酬の単位で決まっているっポ。
この基本サービス費に、利用者の状態に応じたサービス提供や事業所の体制に対して、加算や減算が行われます。
主には、以下のような加算があります。
サービス提供体制強化加算(3単位もしくは6単位/1回)
勤務年数が3年以上もしくは7年以上のスタッフが配置されている場合
リハビリテーションマネジメント加算(180もしくは213単位/1カ月)
リハビリの継続的な管理に対する加算。医師が利用者・家族へ説明して同意を得た場合はさらに270単位が加算
訪問リハビリテーション移行支援加算(17単位/1日)
リハビリによって身体機能が回復し、家庭での家事や、地域行事への参加、指定通所介護への移行ができた場合
加算は他にもあるみたいだね。
医療保険と介護保険での訪問リハビリテーションは何が違うのかを見ていくっポ。
訪問リハビリテーションは、医療保険と介護保険の両方でサービス提供が行われています。
ただし、医療と介護の併用はできず、要介護認定を受けている人は介護保険での利用が優先です。
医療保険では、要介護の認定とならない人や急性憎悪時の利用が対象となります。
1回20分を1単位として、週6単位まで利用できます。1回に40分利用した場合は週3回まで。
例外として、末期がんの利用には制限がなく、急性憎悪時には1日4単位までの利用が可能です。
主治医の指示を1カ月に1回受ける必要があり、医療機関の複数利用はできません。
まず介護保険を利用するためには、要介護認定を受ける必要があります。
医療保険では治療や訓練に特化したリハビリが行われるのに対し、介護保険では日常生活全般での機能維持を目的にリハビリが提供されます。
ケアプランに盛り込んでいれば複数の事業所や医療機関の利用が可能で、主治医の診察は3カ月に1回となっています。
訪問リハビリテーションには、メリットも多いけどデメリットもあるっポ。
一人ひとりに適したリハビリを受けられる
訪問リハビリテーション最大のメリットは、生活に即したリハビリが行えることです。実際に日常生活を送っている自宅でのリハビリのため、すぐに生活に応用できます。
利用者の生活や状況に合わせたリハビリや、住環境の整備も、実際の動作で確認しながら行うことが可能です。
自宅で受けられる
寝たきりなど自分で動くことが難しい利用者が、移動することなくリハビリが受けられるのも、訪問リハビリのメリットといえるでしょう。
実際、通院が困難な寝たきり状態にある人や、車椅子などへの移乗に介助が必要な人も、訪問リハビリテーションを利用しています。
家族も指導を受けられる・相談しやすい
訪問時には介護を担っている家族が同席していることも多く、家族への指導や相談もその場で直接行われるため、注意点や問題点をすぐに相談できます。
リハビリの機器が限られる
訪問リハビリテーションは自宅で行われるため、病院や施設のような大掛かりなリハビリ機器を使用することができません。
また、リハビリが行えるよう自宅の環境を整える必要もあります。
認知症があると指示が伝わりにくいことも
さらに、認知症を患っている利用者の場合には、リハビリ職からの指示が通りにくい場合もあり、思ったようにリハビリが進まないこともあるでしょう。
認知症に対する訪問リハビリでは、焦らないことが大切です。
訪問リハビリはメリットのほうが多そうだね!
訪問リハビリテーションは、自宅で困難だと感じている行為に対してのリハビリをしてくれるよ。
そうすることで、自宅での暮らしがしやすくなるし、より自分らしく生活することができるっポ。
利用したいと思ったら、担当ケアマネジャーに相談してね。
*自治体や事業所により、ここで説明した内容と異なる場合があります。詳細に関しては、必ず各自治体・事業所にお問い合わせください。
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