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福祉用具貸与とは?介護保険でレンタルできる13種目一覧

福祉用具貸与とは?介護保険でレンタルできる13種目一覧福祉用具貸与とは?介護保険でレンタルできる13種目一覧

福祉用具貸与とは、介護用品をレンタルできる介護保険サービス。
介護用品があれば、体が不自由になっても自分でできることが多くなり、活動の幅も広がります。

福祉用具貸与サービスを利用できる人、レンタルできる福祉用具の種類、メリット・デメリットなどをわかりやすく簡単に解説します。

福祉用具貸与とはどんなサービス内容?

はーとん

介護保険で介護用品のレンタルができる便利なサービスだっポ。

福祉用具貸与とは、介護保険制度を利用して介護用品がレンタルできるサービスです。
以下のような効果が見込まれる場合などに、このサービスを利用します。

  • ​可能な限り自立した生活が送れるようになる
  • ​介護者の負担を軽減できる
  • ​重度化予防

福祉用具貸与を利用できるのは、要介護1以上の認定を受けている人で、対象となる商品は13品目に限定されています。

要支援1・2の人は、予防福祉用具貸与として一部商品の利用ができ、要介護認定を受けていない人や自立と判定された人が福祉用具貸与を希望するときには、全額実費での利用となります。

ただし、心身の状態によっては福祉用具貸与が認められるケースもあるので、実際に利用を検討したいときにはケアマネジャーなどに相談してください。

祖母

レンタルも介護保険を利用できるなんて、すごいわね。

福祉用具貸与のメリット・デメリットとは

はーとん

福祉用具貸与には、メリットだけじゃなくてデメリットもあるから注意するっポ。

福祉用具貸与のメリット

福祉用具貸与のメリットは主に以下の3つです。

少ない費用で利用できる

特に大きなメリットは、購入するよりも費用を抑えられることです。

たとえば、介護用ベッドをレンタルする場合、購入しようとすると最低でも10万円程度はかかります。ところが福祉用具貸与でレンタルすると、全額実費であっても月額1万円程度。

介護保険を利用すれば支払いは1~3割の自己負担額のみとなるため、1割負担であれば1,000円程度でレンタルが可能です。

介護は何かとお金がかかるので、費用を抑えられるのは大きなメリットといえるでしょう。

状況にあわせて商品の変更や返却ができる

心身の状態や環境に応じて、福祉用具の変更や返却が容易にできます。

購入すると使用後の返品が難しく、合わなくても無理をして使い続けたり、再度購入することになります。
福祉用具貸与なら、使用する人や住居環境に合っているかを試せて安心です。

レンタルした商品は定期点検してくれる

さらに、定期的に点検してくれるのもメリットのひとつといえるでしょう。

福祉用具貸与は、各自治体から指定を受けた事業所だけがその事業をおこなえます。

事業所には福祉用具専門相談員などの専門のスタッフが在籍し、定期的に訪問してレンタル中の福祉用具を点検してくれます。
使用者の状態に合わせて微調整することも可能です。

祖母

購入すると高い介護用品は、レンタルできるとうれしいわ。

福祉用具貸与のデメリット

福祉用具貸与のデメリットは主に以下の4つです。

要介護認定を受けていないと利用できない

福祉用具貸与は介護保険サービスのひとつであるため、基本的には要介護認定を受けていないと使うことができません。
介護保険を利用しない場合は自費となり、同じ商品でも値段が変わります。

要介護認定を受けていないなら、まず介護認定を受けましょう。

使える品目が限られている

福祉用具貸与で利用できるのは13品目のみと限られています。

そのうち、特殊寝台(ベッド)や車いすなどをレンタルできるのは要介護2以上と決められているため、要支援1~要介護1の認定では原則利用できません。

しかし、病状などによっては利用可能なケースもあるので、必要であれば担当ケアマネに相談しましょう。

新品でないことが多い

福祉用具貸与はレンタル商品となるため、基本的に新品ではありません。
しかし、使ったあとは丁寧に掃除をして消毒されています。

それでも他人が使用したことに抵抗があれば、担当ケアマネや福祉用具事業者に相談しておくと、商品によっては新品を使わせてくれる可能性もあります。

はじめは実物を見て選べない

福祉用具貸与は、カタログから商品を選ぶことがほとんどです。
実物を見て選べないために、不安を感じることもあるでしょう。

しかし、ほとんどの事業者がお試し期間を設けているので、数日実際に使ってみてからの決定が可能です。

祖母

わたしならデメリットはあまり気にならないわね!

福祉用具貸与でレンタルできる13種目一覧

はーとん

介護保険を利用できるレンタルの対象商品は合計13品目。
それぞれに、対象となる種目や要介護度が決められているっポ。

福祉用具貸与の種目(介護度別レンタル対象者)一覧
  要支援1・2  要介護1 要介護2・3 要介護4・5
車いす 原則×
車いす付属品 原則×
特殊寝台 原則×
特殊寝台付属品 原則×
床ずれ防止用具 原則×
体位変換器 原則×
手すり
スロープ
歩行器
歩行補助杖
認知症老人徘徊感知機器 原則×
移動用リフト 原則×
自動排泄処理装置(排便機能あり) 原則× 原則×

車いす
要介護2~ 予防福祉用具貸与×
車いすは、普通型電動車いすと自走用標準型車いす、介助用標準型車いすの3種目に限定されています。

車いす付属品
要介護2~ 予防福祉用具貸与×
車いす付属品は、車いすと一体的に利用されるクッションやパッドが対象。
車いすに装着することで動力の一部を補助する電動補助用品も、車いす付属品としてレンタル可能です。また、車いす用のテーブルやブレーキも含まれます。

特殊寝台
要介護2~ 予防福祉用具貸与×
特殊寝台とは電動ベッドのことで、対象となるのは、サイドレールと呼ばれるベッド柵が取り付けられているか、取り付けることが可能なタイプです。
さらに、背部もしくは脚部の傾斜角度が調整できるか、無段階に床板の高さが調整できる機能がついているもののどちらかである必要があります。

特殊寝台付属品
要介護2~ 予防福祉用具貸与×
特殊寝台付属品とは、ベッド周りの用品を指しています。
ベッド柵やベッド用の手すり、電動ベッド用のテーブルが対象です。さらに、移乗や体位変換などに使用するスライディングボードやマット、介助用ベルトも付属品としてレンタルできます。

床ずれ防止用具
要介護2~ 予防福祉用具貸与×
床ずれを防止するためのマットなども福祉用具貸与の対象です。
具体的には、部分的な圧力を解消できる送風装置またはエアマット、水・エア・ゲル・シリコン・ウレタンなどからなる全身用マットなどとなります。

体位変換器
要介護2~ 予防福祉用具貸与×
空気パッド等を使用して仰向けからうつ伏せへの体位変換を容易にするものがレンタルの対象です。
体位保持のみを目的とするものは対象になりません。

手すり
要介護1~ 予防福祉用具貸与〇
手すりは、工事を伴わないものや便器またはポータブルトイレを取り囲んで据え置くタイプのものが対象となります。

スロープ
要介護1~ 予防福祉用具貸与〇
段差を解消するためであり取り付け時に工事が必要ないスロープが、レンタルの対象となります。
個人に合わせて改造したものや持ち運べないものは、福祉用具貸与としての利用はできません。

歩行器
要介護1~ 予防福祉用具貸与〇
歩行が困難な人の歩行を助ける機能があり、構造的に移動時に体重を支えることができる歩行器が対象です。
車輪があるタイプは身体の前と左右を囲む把手などがあるもの、四脚の歩行器では、上肢で保持しての移動が可能なものとなります。

歩行補助杖
要介護1~ 予防福祉用具貸与〇
福祉用具貸与の対象となる歩行補助杖は、松葉杖、ロフストランド・クラッチ、カナディアン・クラッチ、プラットホームクラッチ、多点杖の5種類です。

認知症老人徘徊感知器
要介護2~ 予防福祉用具貸与×
認知症を持つ高齢者が屋外に出た、もしくは屋内のある地点を通過したときにセンサーで感知して家族や隣人などへ通報するものが対象です。

移動用リフト
要介護2~ 予防福祉用具貸与×
移動用リフトには、床走行式と固定式、据置式の3種類があります。
床走行式の場合、つり具やいす等の台座を使用して人を持ち上げ、キャスターで床を移動し、目的の場所へ人を移動させるもの、固定式では居室や浴室等に固定し同様の移動を行うものが対象です。
据置式の場合には、床に置いて同様の操作で移動するものが福祉用具貸与として利用できます。

自動排泄処理装置
要介護4~ 予防福祉用具貸与×
尿や便が自動的に吸引される装置で、尿や便の経路となる部分を取り外すことが可能な構造のものが対象となります。

祖母

予防福祉用具貸与では対象にならない品目もあるのね。

福祉用具レンタルの料金めやすと上限価格

はーとん

お金が関わることは重要だっポ!料金のめやすを紹介するね。

福祉用具貸与にかかる費用は、商品や事業所によってばらつきがありました。
そこで、国は適正価格での貸与を推進するため、2018年10月からレンタルの上限価格を商品ごとに設定し、全国の平均貸与価格の公表を行うこととなりました。

各自治体では、その地域でよく使用される商品を中心に料金一覧を作成し、商品ごとに全国平均額と最高金額の情報を開示しています。

福祉用具13品目それぞれの代表的な商品における全国平均額と上限価格は以下です。

介護保険を利用すれば、自己負担1~3割での利用が可能なため、レンタルしやすい金額になるのではないでしょうか。

福祉用具13品目の代表的な商品 全国平均額・上限額

はーとん

2021年4月現在の価格だよ。
ちなみに、料金の「平均」は「全国平均貸与価格」、「上限」は「貸与価格の上限」だっポ。

車いす
アルミ製介助用軽量車いす KF16(株式会社カワムラサイクル)
平均:4,548円 上限:5,090円

車いす付属品
ムアツクッションGT<車椅子用> 573281(西川株式会社)
平均:951円 上限:1,180円

特殊寝台
楽匠S液晶付 2M91幅 レギュラー 木目 KQ-9231-E(パラマウントベッド株式会社)
平均:6,305円 上限:6,810円

特殊寝台付属品
オーバーテーブル VA1316035(パナソニック株式会社)
平均:569円 上限:730円

床ずれ防止用具
アクアフロートマットレス(清拭タイプ) KE-833Q(パラマウントベッド株式会社)
平均:5,188円 上限:5,830円

体位変換器
体位変換クッション Wellstyle パフディ 三角タイプ600(株式会社フロンティア)
平均:1,001円 上限:1,010円

手すり
たちあっぷ② CKA-02T(株式会社トーカイ)
平均:2,837円 上限:3,260円

スロープ
テレスコピックスロープ300cm 1844(パシフィックサプライ株式会社)
平均:6,686円 上限:7,400円

歩行器
折りたたみ歩行器 アルコー1型(株式会社星光医療器製作所)
平均:3,518円 上限:4,000円

歩行補助杖
オールアルミ四点杖(ケイ・ホスピア株式会社)
平均:1,012円 上限:1,370円

認知症老人徘徊感知器
ワイヤレスビーム式徘徊離床感知器 ADX-540HO(キヨタ株式会社)    
平均:3,735円 上限:4,490円

移動用リフト
床走行式電動介護リフト KQ-781(パラマウントベッド株式会社)    
平均:14,565円 上限:16,510円

自動排泄処理装置
スカットクリーン(本体) KW-65H(パラマウントベッド株式会社)    
平均:9,441円 上限:10,800円

はーとん

福祉用具貸与は消費税が非課税になるんだよ。

福祉用具貸与を利用する方法は?

はーとん

福祉用具貸与を利用するためには、まず要介護認定を受けている必要があるっポ。
受けていないなら、そこからスタートしてね。

(1)ケアマネジャーに相談
福祉用具貸与の利用を希望するなら、まずは担当のケアマネジャーに相談しましょう。
相談を受けたケアマネジャーは、本人や家族と面会を行い、本人の状態や環境、家族の思いなどさまざまな情報を収集します。

(2)福祉用具貸与の事業者を選ぶ
ケアプランに福祉用具貸与を位置付けたうえで、福祉用具貸与事業者の選定を一緒におこないます。
事業者が決まると、必要に応じて相談員が自宅を訪問し、利用者に合った用具を選定します。

(3)契約してレンタル開始
レンタルする商品が決まったら、商品の説明を受け同意をしたうえで契約をし、福祉用具貸与が開始となります。
レンタルしたあとも専門相談員が定期的に訪問し、アフターサービスをしてくれます。

祖母

介護サービスだけじゃなくて、レンタルもケアマネに相談すればいいのね。

軽度者が福祉用具を利用したいときには?

はーとん

要介護度が利用条件にあてはまらなくても、サービスを利用できるケースがあるっポ。

福祉用具貸与では、要介護度によっては対象外となる商品があります。
しかし、心身の状態によっては、要介護度が低くても福祉用具が必要となることもあるでしょう。

そこで介護保険法では、一定の条件に当てはまる場合、軽度者でも医師の所見があれば例外的に福祉用具貸与を利用することができるようになっています。

例外給付となる条件は福祉用具の種類ごとに示されています。
実際に利用したいと思ったら、担当のケアマネジャーに相談して詳細を確認してもらいましょう。

祖母

希望や要望があるときには、まずケアマネジャーに相談するのがいいかもしれないわね。

まとめ

はーとん

介護が必要な人でも、福祉用具を使えば自立に近い生活を送れることがあるよね。それに、レンタルする種目によっては、家族の介護負担も減るっポ。

レンタルなら体の状態にあわせて商品の変更もできるから、検討してみてもいいんじゃないかな。

*自治体や事業所により、ここで説明した内容と異なる場合があります。詳細に関しては、必ず各自治体・事業所にお問い合わせください。

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著者:中村 楓

著者の画像

著者:中村 楓

著者の画像

介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級、認知症介護実践者研修修了
現役介護福祉士の介護コラムニスト。介護療養型医療施設(現:介護医療院)を含む病院やデイケア、デイサービスなど、入所から在宅までさまざまな現場を経験。介護職員や介護認定調査員の経験を経て、現在は相談員として勤務。介護の未来を明るくしたいという想いから、現場感あふれる記事を誰にでもわかる表現で執筆中。

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