芋けんぴは大好きだけど、さつまいもは大嫌いだという訪問介護の利用者さん。
ヘルパーがその理由を聞くと……?
ヘルパーの仕事をしていると利用者さんから戦争の話を聞くことがありますが、最近ではその機会が以前より少なくなりました。
当訪問介護事業所を利用されていた戦争を知る世代の方々は、そのほとんどがケガや入院をきっかけに施設入所となってしまったためです。
今は戦中・戦後生まれの利用者さんが一番多いのですが、その中の昭和15年生まれの利用者さんが当時の食糧事情について教えてくれました。
その方は芋けんぴが大好物。しかし、食事として調理されたさつまいもは大キライです。
その理由は、幼少期に起こった食糧危機。戦争により食べるものがなくなり、農家は砂利が混ざった土でも実るさつまいもをこぞって作ったそうです。
安価で手に入るさつまいもは庶民の生きる糧でしたが、「さつまいもは捨てるところがないと言って毎日芋ばかり」「他においいしいものも食べたかった」と、利用者さんは悲しそうに当時を思い出していました。
当時、国は結婚十訓というスローガンを掲げ、第10条の「産めよ育てよ国の為」に沿って、結婚したら子供を産んで人口を増やそうという風潮があったそうです。
利用者さんも兄弟が多く、多い家では15人家族で暮らしていたそう。みんなひもじく、芋以外の農作物が盗まれたこともあったようでした。
しかし「今はこんなにおいしいものがある」と芋けんぴをぱくぱく。「あの頃に毎日食べた芋粥は絶対に食べたくないけど、これは毎日でも食べたい」と満面の笑みです。
さつまいもは繊維が多く食べ過ぎるとおなかを下すこともあるので、「ほどほどにしてくださいね」とお伝えすると、「わかってる!」と言いながらもなかなか手が止まりません。
過去の辛かった思い出を払拭するように、芋けんぴを満喫している利用者さんでした。
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