「男子厨房に入らず」の高齢男性。たくさんの食器コレクションがあるのに、奥さまが亡くなってから使用することはありませんでした。
しかしある日、ヘルパーがキッチンをのぞくと……。
こちらの高齢男性は、奥さまを亡くされてからの4年間ずっと一人暮らし。膝が悪く、要支援の認定を受けていました。
家族は訪問介護サービスの利用を希望していましたが、頑固な男性は何においても「自分でできる」と話を聞いてくれません。サービスの利用を拒否し続けていました。
しかし、あるとき通風を発症。コンビニで好きな食べ物ばかり買い、お酒を飲み続けていたことが原因かもしれません。
ついに歩けないほど重症になり、数日間入院することになってしまいました。
まもなく退院しましたが、退院後のご本人は自信を失っているご様子。そのタイミングでご家族とケアマネが説得したことで、訪問介護サービスを開始できました。
お宅に訪問して気づいたのは、キッチンが非常にきれいに保たれていることです。
利用者さんは料理をしないどころか、お湯も沸かさないような方です。もしかしたら、奥さまが亡くなってからずっときれいな状態を保っていたのかもしれません。
キッチンには調理道具が揃い、奥さまは料理上手だったことが伺えます。きっと料理上手だった奥さまのお陰で、料理をする必要もなかったのでしょう。
「男子厨房に入らず」と何度も言っていましたが、それは「できない」「わからない」という意味合いが強いのだと思いました。
しかしある日、利用者さんが洗い物をしている姿を見かけました。どうしたんだろうと思って理由を伺うと、夢に奥さまが出てきたんだとか。
「コレクションしていたカップを使って欲しいと頼まれたんだ」と迷惑そうな、嬉しそうな、そんな表情。
夢で伝えた奥さまの思いは、ちゃんと利用者さんに届いたようです。60年近く連れ添ったご夫婦の、心温まるエピソードでした。
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