軽い認知症があるものの一人暮らしをする高齢者。近隣に住む息子が母親をサポートしています。
ヘルパーの訪問中にも息子が訪れ、母親の代わりに買い物に行くことになりましたが……。
訪問介護の利用者さんの中には、買い物に行くのも難しい方がいらっしゃいます。
一人暮らしで足腰が弱い方などは特に大変で、体調の良いときを見計らって、シルバーカーを押しながら出掛けるなど、皆さん工夫して買い物しています。
一人暮らしをする認知症の利用者さん。近隣に住む息子さんや近所の方々に支えられながら生活しています。
利用者さんには認知症がありますが、感情が安定していて非常に穏やかです。近所の方々からとても愛され、息子さんもお母さんのファン。息子さんは忙しい仕事の合間をぬっては顔を見に来ています。
訪問介護のサービス中にも息子さんが来たことがありました。「お母さん何買う?」「買い物メモ作ったか?」と、どうやら買い物に行くことをあらかじめ連絡してあったようです。
利用者さんは「はい」と、にこにこしながら息子さんに買い物メモを渡しました。
ちょうどゴミ袋がなかったので、「ゴミ袋は書いてありますか?」とメモを見せてもらうと、メモの末尾に書いてあったのは「私の好きな果物」……。
サービス中によく見かける果物はなく、私には「私の好きな果物」が分かりません。しかし、息子さんは「はいはい」と、どうやら理解しているようでした。
ほどなくすると息子さんが買い物から帰宅。買い物袋の中にはオレンジがあり、「手でむけるオレンジ」と書いてあります。利用者さんは「ありがとう!」と嬉しそうです。
「包丁は危ないから手で剥けるやつな」とぶっきらぼうに言い、ベッドのサイドテーブルにオレンジを置きました。
息子さんに「“私の好きな果物”がわかるんですね」と言うと、「母は昔からみかんが好きなんですよ」「冬のみかんを凍らせて夏に食べたりね。俺が小さい頃からすっとそうです」と、大きな声で笑っていました。
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