ショートステイとデイサービスは、どちらも高齢者の生活を支える介護サービスです。よく知らない方にはとって、2つのサービスの違いはわかりにくいかもしれません。
具体的なサービス内容、メリット・デメリット、選び方のポイントなど、ショートステイとデイサービスの違いについて、わかりやすく解説します。
ショートステイとデイサービスはどんなサービスかな?
| ショートステイ |
|---|
| 施設に短期間宿泊するサービス。日常生活上の介護、機能訓練などを提供する |
| デイサービス |
|---|
| 日中に施設に通うサービス。食事や入浴、レクリエーション、機能訓練などを提供する |
デイサービスとショートステイは、どちらも在宅介護で利用できる介護保険サービスです。それぞれの基本的な概要を紹介します。
ショートステイとは、施設に短期間宿泊し、介護や機能訓練などを受けられるサービスです。要介護1~5の認定を受けた方が対象で、要支援1・2の方は介護予防ショートステイを利用できます。
介護保険が適用されるショートステイは、「短期入所生活介護」と「短期入所療養介護」の2種類となり、短期入所療養介護では医療ケアも受けられます。
宿泊できる期間は、どちらも原則として連続30日までです。
デイサービスとは、日中に施設に通い、食事や入浴、排泄のサポート、レクリエーションなどを受けられるサービスです。要介護1~5の認定を受けた方が対象となります。
ご本人の生活機能の維持・向上を図り、ご家族の介護負担や疲れを軽減させる役割もあります。
ショートステイとデイサービスの違いを4つの項目で比較するっポ。
ショートステイとデイサービスでは、利用目的や利用時間などが異なります。ここでは、4つの違いについて解説します。
| ショートステイ |
|---|
| 【利用条件】要介護1~5に認定された方(要支援1・2の方は介護予防ショートステイの対象) 【目的】ご本人の心身機能の維持・回復、孤立感の解消、ご家族のレスパイトなど |
| デイサービス |
|---|
| 【利用条件】要介護1〜5に認定された方 【目的】ご本人の心身機能の維持、孤立感の解消、ご家族のレスパイトなど |
ショートステイは、要介護1~5の認定を受けた方が利用できるサービスで、要支援1・2の方は介護予防ショートステイの対象です。
ご本人の心身の状態が悪いときやご家族の外泊時、ご家族の介護負担を減らす目的でも利用できます。宿泊できるサービスのため、日常生活全般のサポートから日中・夜間の見守りまで一貫して任せられます。
デイサービスは要介護1~5の認定を受けた方が対象で、心身機能の維持、孤立感の解消、ご家族の介護負担を軽減させるという目的はショートステイと同じです。
| ショートステイ |
|---|
| 短期間のみ宿泊(原則連続30日まで)でき、1日単位で利用できる |
| デイサービス |
|---|
| 日中に利用でき、利用時間は、朝から夕方まで、午前・午後のみなど、施設により異なる |
ショートステイとデイサービスの大きな違いは、サービスを利用できる時間です。
ショートステイは宿泊できるサービスのため、日夜を通して介護サービスが提供されます。ただし、連続して宿泊できる期間は原則30日までと決められています。
対して、デイサービスの利用時間は日中のみです。利用できる時間は施設によって異なり、朝から夕方まで、午前のみ、午後のみなどがあります。開始時刻や終了時刻も施設ごとにさまざまです。
| ショートステイ |
|---|
| ・食事、入浴、排せつなどの日常生活支援 ・健康管理、機能訓練、リハビリテーション、レクリエーション ・医療的ケアの提供(短期入所療養介護のみ) |
| デイサービス |
|---|
| ・食事、入浴、排泄など日の常生活支援 ・機能訓練、リハビリテーション、レクリエーション ・基本的に医療的ケアは提供されない |
ショートステイとデイサービスは、食事や排せつ、入浴といった日常生活を送るためのサポートがある点は同じです。また、レクリエーションや機能訓練など、ご本人の心身機能を維持・回復するためのサポートも受けられます。
ショートステイでは健康管理のほか、短期入所療養介護では医療的ケアを受けることが可能です。夜間帯も介護職員などが常駐しているため安心して過ごせます。
一方、デイサービスには医療的ケアの提供はありません。レクリエーションなどでの利用者同士の交流が中心ですが、趣味活動に力を入れる施設、リハビリに力を入れる施設など、特徴はデイサービスごとにさまざまです。
| ショートステイ | 1泊あたり:6,000円〜1万円程度 |
|---|---|
| デイサービス | 1回あたり:1,000~2,000円程度 |
上記の料金はあくまで目安ですが、ショートステイとデイサービスには「宿泊」と「日中のみ」という利用時間の違いがあるため、料金の違いも明白です。
ショートステイの料金は1日ごとに設定され、宿泊を伴う分費用は高くなります。居室タイプやご本人の要介護度などによっても費用は変動します。
デイサービスは1回ごとに料金が設定され、日中のみの利用になるため、ショートステイに比べると費用負担は少な目です。料金は要介護度や利用時間によって変わります。
下記は、ショートステイとデイサービスの基本料金の一覧です。
| 要介護度 | 従来型個室・多床室 | ユニット型 |
|---|---|---|
| 要介護1 | 603円 | 704円 |
| 要介護2 | 672円 | 772円 |
| 要介護3 | 745円 | 847円 |
| 要介護4 | 815円 | 918円 |
| 要介護5 | 884円 | 987円 |
※1単位10円、自己負担額1割の場合
| 要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 3~4時間未満 | 370円 | 423円 | 479円 | 533円 | 588円 |
| 4~5時間未満 | 388円 | 444円 | 502円 | 560円 | 617円 |
| 5~6時間未満 | 570円 | 673円 | 777円 | 880円 | 984円 |
| 6~7時間未満 | 584円 | 689円 | 796円 | 901円 | 1,008円 |
| 7~8時間未満 | 658円 | 777円 | 900円 | 1,023円 | 1,148円 |
| 8~9時間未満 | 669円 | 791円 | 915円 | 1,041円 | 1,168円 |
※1単位10円、自己負担1割の場合
出典:厚生労働省「介護報酬の算定構造」
ショートステイやデイサービスには介護保険が適用されるため、基本料金やサービス加算は1~3割の自己負担で利用できます。
このほかに、食費や日用品代、ショートステイでは滞在費として3,000〜5,000円程度が実費でかかります。
有料老人ホームのショートステイでは介護保険が適用されません。利用する際には料金に注意が必要でしょう。
ショートステイにはどんなメリットとデメリットがあるのかな?
泊まりのサービスであるショートステイには、主に3つのメリットがあります。
ショートステイは宿泊を伴うサービスです。サービスの利用中、ご家族は昼夜の介護から解放されるため、心身ともにリフレッシュする時間を作れます。
在宅介護では、24時間つきっきりで介護をするご家族も少なくありません。精神的・身体的な負担を和らげ、ストレスを溜め込まないためにも、ショートステイは積極的に利用したい介護サービスのひとつです。
ショートステイは、ご家族が冠婚葬祭や旅行、出張などで数日間留守にするときも利用できます。
普段からショートステイを利用しておけば、ご家族に急な外泊の予定が入ったときにも利用の相談がしやすくなります。
ショートステイは、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などに宿泊するため、介護施設での生活を体験できます。ご自身で雰囲気やサービス内容を確認できることがメリットでしょう。
将来的な施設入所を見据えてショートステイを利用しておくと、いざ入所となったときにご本人の不安を減らすことができます。
ショートステイにはメリットがある一方で、デメリットもゼロではありません。
ショートステイでの滞在先は、ご本人にとって慣れない場所です。高齢者には変化に適応する能力が低下している方も多いため、環境の変化が大きなストレスになる可能性があります。
特に、認知症の方や環境変化に敏感な方は、寝られなかったり不安になったりすることもあるでしょう。
しかし、ショートステイ先の職員は対応に慣れているため、その方の性格や特性に合わせて対応してもらえます。不安な場合は、あらかじめ施設に相談しておくとよいでしょう。
ショートステイを利用できる日数には、以下の決まりがあります。
たとえば、介護認定期間が180日であれば、利用日数の限度は90日です。かつ、連続利用できる期間は30日までとなります。
ショートステイは短期間のみ利用できるサービスのため、数カ月単位や永年での利用はできません。
ショートステイは人気の高いサービスのため、予約が取りにくい傾向です。
予定がわかった時点で早めに予約したり、ご家族の急な体調不良などに備えて、あらかじめ複数の施設と契約をしておくと、予約が取りやすくなります。
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デイサービスのメリットとデメリットはどうかな?
デイサービスは日中に利用できるサービスです。以下のメリットがあります。
デイサービスには、ショートステイと同じく家族の介護負担を軽減させる役割があり、ご本人がデイサービスに行っている間にご家族は休息することができます。
また、日中に高齢者が一人で過ごすご家庭だと、一人での留守番を不安に感じるご家族もいるでしょう。ご家族の留守中にデイサービスを利用すれば、双方とも安心です。
高齢者は社会的なつながりが減りやすく、社会から孤立してしまう方も少なくありません。
デイサービスには高齢者の社会的な孤立感を解消する役割もあり、自宅にこもりがちな高齢者の外出のきっかけになるでしょう。新しい友人関係を築くことにもつながります。
また、デイサービスではさまざまなアクティビティやイベントが実施されています。利用者が楽しい時間を過ごせるように工夫されているため、日々の生活にハリが出ます。
デイサービスでは、身体機能の維持・向上を目的とした機能訓練やリハビリテーションなどを実施しています。
機能訓練では、体操や歩行訓練、口腔体操、認知機能の訓練などが実施され、無理なく継続できる仕組みです。一人ひとりに合わせたプログラムでリハビリを提供するデイサービスもあります。
機能訓練やリハビリテーションにより、自立した生活の継続を目指せます。
デイサービスでは、日常生活に欠かせない食事や排せつ、入浴などのサポートを受けられます。
なかでも、入浴を目的にデイサービスを利用する方は少なくありません。自宅での入浴介助はご家族の負担が大きく、浴室で転倒する危険もあります。
デイサービスなら、入浴介助に適した環境で介護のプロに介助してもらえます。
デイサービスにも、知っておきたいデメリットがあります。
デイサービスは、さまざまな人が集まる場です。そのため、初めての環境や新しい人間関係を築くことが苦手な方にとっては、精神的な負担を感じてしまう可能性があります。
うまく馴染めないと、「行きたくない」とデイサービスを拒否してしまう方もいます。
ご本人が馴染めるデイサービスを探すなら、ケアマネジャーと相談しながら選定するのがおすすめです。本人が望むプログラムはあるか、施設の雰囲気は合うかなどを確認し、ご本人が納得したうえで決定しましょう。
デイサービスは、施設によって提供するサービスの内容が違います。レクリエーションや機能訓練はどのデイサービスでもおおむね提供していますが、どのサービスに力を入れているのかは、それぞれです。
また、デイサービスの利用時間や設備によっては、食事や入浴のサービスがないこともあります。
デイサービスに求めるサービスを整理したうえで、複数の施設を比較検討すると、より満足のいくデイサービスを見つけやすくなるでしょう。
ショートステイとデイサービスはどちらのサービスを使ったらいいのかな?
ショートステイとデイサービスのどちらを利用するべきか迷ったら、次の4つのポイントをチェックしてみてください。
まずは、サービスの利用が昼間だけでいいのか、それとも夜間も必要なのかを考えましょう。
夜間帯の利用や宿泊を伴うサービスを希望する場合は、ショートステイが向いています。
ショートステイは、数日から数週間に渡って宿泊するサービスです。ご家族が外泊するとき、夜間にサービスを利用したいときなどに適しています。
夜間帯のサービスを必要としないときは、デイサービスがおすすめです。デイサービスは日中のみ利用でき、毎週同じ曜日に利用します。
ご家族が仕事で留守にする時間に合わせて利用するなど、ご本人やご家族の都合に合わせて利用回数などを調整できます。
在宅介護では、介護をするご家族の健康管理も大切です。ショートステイやデイサービスを利用して、定期的に休息の時間を取るとよいでしょう。
ご家族に体調不良や疲労がみられるときには、数日間ショートステイを利用することで心身とも休養できます。
デイサービスは週に数回利用できるため、定期的に介護負担を軽減したい方におすすめです。
ショートステイとデイサービスは、計画的に組み合わせて利用することも可能です。利用を希望する方はケアマネジャーに相談しましょう。
ショートステイとデイサービスは、利用目的で選ぶこともできます。それぞれのよくある利用目的は以下です。
| ショートステイ |
|---|
| ・家族が数日間のまとまった休息を必要としている ・家族が体調不良で介護できない ・家族が出張・旅行などで外泊する ・本人の施設入所に備えたい |
| デイサービス |
|---|
| ・本人が外出するきっかけを作りたい ・本人が他者と交流する機会をつくりたい ・本人が趣味を楽しみたい・新たな趣味をつくりたい ・本人が定期的な運動で体力を維持したい ・家族の留守中に本人をひとりにしておけない ・家族の日中の介護負担を減らしたい |
ショートステイとデイサービスは、どちらも介護保険サービスです。そのため、1~3割の自己負担(所得に応じる)のみで利用できます。ただし、食費や宿泊の滞在費、その他雑費などは実費です。
ショートステイは宿泊を伴う分、かかる費用が割高です。夜間の支援を必要としない場合は、デイサービスを活用しましょう。
ショートステイには、低所得者向けに滞在費や食費を軽減できる制度があります。詳しくは自治体やショートステイ先などにご確認ください。
ショートステイとデイサービスは同じ日に利用できる?
原則として、ショートステイとデイサービスは同日利用できません。
これは、どちらのサービスでも機能訓練やリハビリテーションを受けられるため、計画的に同日利用することは望ましくないとされているためです。
ただし、やむを得ない緊急時などには同日利用できるケースもあります。
以下のような例では、ショートステイとデイサービスの同日利用が可能です。
など
よくある5つの質問に回答するっポ。
ショートステイとデイサービスに関するよくある質問について回答します。
介護保険サービスの利用にはケアプランの作成が必要です。ケアマネジャーと相談し、ケアプランに反映することで、ショートステイとデイサービスの併用が可能になります。
ただし先述したとおり、原則としてショートステイとデイサービスの同日利用はできません。
どちらのサービスも1~3割の自己負担(所得に応じる)で利用できます。
ただし、要介護度ごとに定められた支給限度額を超えると、超えた分は全額自己負担になります。
| 要支援1 | 5,032円 |
|---|---|
| 要支援2 | 10,531円 |
| 要介護1 | 16,765円 |
| 要介護2 | 19,705円 |
| 要介護3 | 27,048円 |
| 要介護4 | 30,938円 |
| 要介護5 | 36,217円 |
※1単位10円、自己負担1割の場合
お泊まりデイサービスは、デイサービスを利用したあとにそのまま宿泊するサービスで、介護保険は適用されません。
一方、ショートステイは介護保険が適用されるサービスです。
ショートステイとデイサービスは、どちらも宿泊できるという点では同じですが、お泊まりデイサービスは介護保険が適用されないため、費用は高くなります。
認知症の方も利用できますが、他の利用者に危害を加えたり大声を出したりなど、集団生活が難しい方は断られる可能性があります。
認知症対応型のデイサービスなら、専門的な認知症ケアを受けられます。
介護保険サービスで医療費控除の対象となるのは、医療系サービスです。ショートステイのうち、短期入所療養介護は医療系のサービスとなるため、医療費控除の対象になります。
短期入所生活介護とデイサービスは福祉系サービスですが、医療系のサービスと併用することで対象になります。ただし、日用品や食費などの費用は対象外です。
ショートステイとデイサービスは、ともに介護保険が適用されるサービスです。宿泊を伴うならショートステイ、日中のみの利用ならデイサービスと、状況に応じて使い分けることができます。
どちらのサービスもご家族の介護負担の軽減につながり、無理のない在宅介護の一助になるでしょう。
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