デイサービスは、日帰りで施設に通う介護保険サービスで、入浴や食事、機能訓練、レクリエーションなどを受けられます。
ここでは、要介護2の方がデイサービスを利用できる回数や料金、利用回数を決めるときのポイントなどを、ケアマネジャーが詳しく解説します。ぜひご覧ください。
デイサービスを利用できる回数に制限はあるのかな?
要介護2は、食事や入浴などに部分的な介助が必要な状態となり、デイサービスの利用を検討する方もいらっしゃいます。検討の際には、「デイサービスには何回通えるのか」「週に何回通うのが適切か」といった疑問が湧くかもしれません。
原則として、デイサービスの利用回数に制限はありません。ご本人の心身の状態や生活環境、家族状況などに応じて柔軟に調整できます。
デイサービスに通う目的は人によって異なり、入浴、機能訓練、孤立感の解消、家族の不在などさまざまです。目的によって適切な利用回数も異なるため、ケアマネジャーと相談してご本人にふさわしい回数を決めることが大切です。
デイサービスの平均利用回数を要介護度別に紹介するっポ。
厚生労働省が算出したデータによると、要介護2の方がデイサービスに通う回数は、月あたり平均10.6回でした。週あたりでは2~2.5回程度になります。
以下は、デイサービスの平均利用回数を要介護度別にみたものです。
要介護1 | 9.7回 |
---|---|
要介護2 | 10.6回 |
要介護3 | 11.9回 |
要介護4 | 12.0回 |
要介護5 | 11.8回 |
*厚生労働省「通所介護及び療養通所介護(参考資料)」より
デイサービスを利用する回数は、要介護度が高くなるほど増加します。要介護度が上がるにつれて支援の必要性が増すため、デイサービスの利用頻度も高くなる傾向です。
デイサービスを利用するきっかけとして、「自宅での入浴が難しくなった」「食事に支援が必要になった」などを挙げる方もいらっしゃいます。
要介護2は、食事・入浴などの日常生活動作に部分的な介助が必要な状態のため、入浴や食事を目的にデイサービスを利用する方も増えるのかもしれません。
ご家族による入浴介助は、心身共に負担が大きく事故のリスクも高いですが、デイサービスでは安全かつプライバシーが配慮された環境で入浴できます。
また、見守りや支援を受けながらバランスのとれた食事を摂れるため、デイサービスは食事の面でも安心です。
デイサービスには介護保険が「適用される費用」と「適用されない費用」があるっポ。
デイサービスの料金は1回1,000~2,000円程度が目安となり、ここには介護保険が適用される費用と適用されない費用が含まれます。
デイサービスの基本的な利用料金は介護保険が適用され、食費や日用品代などは適用外です。
要介護2の方がデイサービスを利用したときの「介護保険が適用される費用」と「介護保険が適用されない費用」について、以下でそれぞれ解説します。
デイサービスの利用料金は「介護保険が適用される費用」です。要介護度、事業所の規模、利用時間によって細かく料金が設定されています。
以下では、要介護2の方がデイサービスを利用するときの料金を、事業所の規模別にまとめました。料金は週単位です。
週1回 | 週2回 | 週3回 | 週4回 | 週5回 | |
---|---|---|---|---|---|
3時間以上4時間未満 | 423円 | 846円 | 1,269円 | 1,692円 | 2,115円 |
4時間以上5時間未満 | 444円 | 888円 | 1,332円 | 1,776円 | 2,220円 |
5時間以上6時間未満 | 673円 | 1,346円 | 2,019円 | 2,692円 | 3,365円 |
6時間以上7時間未満 | 689円 | 1,378円 | 2,067円 | 2,756円 | 3,445円 |
7時間以上8時間未満 | 777円 | 1,554円 | 2,331円 | 3,108円 | 3,885円 |
8時間以上9時間未満 | 791円 | 1,582円 | 2,373円 | 3,164円 | 3,955円 |
※平均利用延人員数が月301~750名
※1単位10円、自己負担額1割の場合
週1回 | 週2回 | 週3回 | 週4回 | 週5回 | |
---|---|---|---|---|---|
3時間以上4時間未満 | 409円 | 818円 | 1,227円 | 1,636円 | 2,045円 |
4時間以上5時間未満 | 430円 | 860円 | 1,290円 | 1,720円 | 2,150円 |
5時間以上6時間未満 | 643円 | 1,286円 | 1,929円 | 2,572円 | 3,215円 |
6時間以上7時間未満 | 667円 | 1,334円 | 2,001円 | 2,668円 | 3,335円 |
7時間以上8時間未満 | 744円 | 1,488円 | 2,232円 | 2,976円 | 3,720円 |
8時間以上9時間未満 | 765円 | 1,530円 | 2,295円 | 3,060円 | 3,825円 |
※平均利用延人員数が月751~900名
※1単位10円、自己負担額1割の場合
週1回 | 週2回 | 週3回 | 週4回 | 週5回 | |
---|---|---|---|---|---|
3時間以上4時間未満 | 395円 | 790円 | 1,185円 | 1,580円 | 1,975円 |
4時間以上5時間未満 | 414円 | 828円 | 1,242円 | 1,656円 | 2,070円 |
5時間以上6時間未満 | 620円 | 1,240円 | 1,860円 | 2,480円 | 3,100円 |
6時間以上7時間未満 | 641円 | 1,282円 | 1,923円 | 2,564円 | 3,205円 |
7時間以上8時間未満 | 716円 | 1,432円 | 2,148円 | 2,864円 | 3,580円 |
8時間以上9時間未満 | 737円 | 1,474円 | 2,211円 | 2,948円 | 3,685円 |
※平均利用延人員数が月900名以上
※1単位10円、自己負担額1割の場合
介護保険が適用される費用には、上記のほかにサービス加算もかかります。サービス加算は、質の高いサービスを提供するための費用です。
サービス加算には、例えば以下のような種類があります。
サービス加算 | 費用 |
---|---|
入浴介助加算(Ⅱ) | 55円/日 |
生活機能向上連携加算(Ⅰ) | 100円/月 (1回/3カ月) |
栄養アセスメント加算 | 50円/月 |
認知症加算 | 60円/日 |
ADL維持等加算(Ⅰ) | 30円/月 |
※1単位10円、自己負担額1割の場合
デイサービスの料金には、介護保険が使えず全額自己負担になる費用も含まれます。介護保険の適用外になるのは、食費、おむつ代、日用品代などです。
また、詳しくは後述しますが、支給限度額を超えた利用料金は全額が自己負担となります。
介護保険外の項目 | 費用の目安 |
---|---|
食費 | 500円~1,000円程度/1食 |
レクリエーション材料費 | レクリエーションの内容により異なる |
おむつ代 | リハビリパンツ:100円程度 尿取りパット:50円程度 |
整容用品代(歯ブラシ・歯磨き粉など) | 歯ブラシ:200円程度 歯磨き粉:300円程度 |
支給限度額を超えたサービス料金 | 要介護2は19,705円(1割負担の場合)を超えた分が全額自己負担 |
なお、おむつや歯ブラシなどは、持参すれば料金はかかりません。
デイサービスの回数を決めるときのポイントについて解説するっポ。
要介護2の方がデイサービスの利用回数に悩んだときは、以下を参考にしてください。
デイサービスの利用回数を検討するときは、「なぜデイサービスを利用したいのか」という目的をはっきりさせましょう。目的によって必要なサービスや適切な利用頻度が見えてきます。
デイサービスでは、主に以下のようなサービスが提供されます。
入浴を主な目的にする方は週2~3回が一般的です。身体機能の維持向上を目的に機能訓練を受けたい方は週1~2回、レクリエーションにより社会的な交流の機会を持ちたい方は週2~3回の利用が目安といえるでしょう。
また、サービスを主な目的とせずに通う方も少なくありません。ご家族の仕事により日中一人で過ごすのが心配な方は、ご家族が留守にするタイミングに合わせて回数を設定するといいでしょう。
ご家族の介護疲れの軽減を目的にするなら、週末のみ利用するという手もあります。
ただし、デイサービスの利用回数はご本人やご家族だけで自由に決められません。デイサービスの事業者は、ケアプランに基づいてサービスを提供しなければならないため、ケアマネジャーと相談して回数を設定する必要があります。
デイサービスをはじめとする介護保険サービスは、1カ月に利用できるサービスの量(区分支給限度額)が決まっています。
要介護2の場合は197,050円です。この範囲内であればご本人の所得に応じて1~3割の負担で介護保険サービスを利用できます。
ただし、限度額を超えた分は全額自己負担となります。限度額には、訪問介護や福祉用具貸与など、ほかのサービスを利用したときの料金も含まれるため、利用限度額を超えないように注意が必要です。
回数を決められないときは区分支給限度額を参考に決めるといいでしょう。
デイサービスの利用回数を変更したいときの参考にしてね。
高齢者の状態やご家族の状況により、デイサービスの回数を変更したくなることもあるでしょう。デイサービスの回数を変えたいときには、以下の方法があります。
デイサービスの回数を変更したいときは、まずケアマネジャーに相談しましょう。介護保険サービスは、ケアマネジャーが作成するケアプランに基づいて提供されるため、ご本人やご家族の判断だけではサービスの回数を変更できません。
これは訪問介護やショートステイなど、ほかの介護保険サービスも同様です。ケアマネジャーに希望を伝え、限度額やほかのサービスとのバランスを考慮したうえで、ケアプランに落とし込んでもらう必要があります。
「状態が悪くなったからデイサービスを増やしたい」「回数を増やしたいけど限度額を超えてしまう」という方は、要介護認定の区分変更申請を検討しましょう。
デイサービスの回数を増やしたいと思う背景には、介護の手間が増えた影響が考えられます。つまり、要介護度が上がっている可能性があるのです。
区分変更申請で必ずしも要介護度が変わるわけではありませんが、要介護度が上がれば支給限度額も上がるため、限度額に合わせてデイサービスの回数を増やせます。
区分変更を希望するときも、まずはケアマネジャーに相談してください。
デイサービスのほかにどんな介護保険サービスがあるのかな?
要介護2の方が受けられる介護保険サービスは、デイサービスを除くと以下の種類があります。
自宅で受ける | ・訪問介護 ・訪問入浴介護 ・訪問看護 ・訪問リハビリテーション ・居宅療養管理指導 |
---|---|
施設に通う | ・デイケア(通所リハビリテーション) |
施設に宿泊する | ・短期入所生活介護(ショートステイ) ・短期入所療養介護 |
施設に入居する | ・介護老人保健施設 ・特定施設入居者生活介護 ・介護医療院 |
福祉用具やリフォーム | ・福祉用具貸与 ・特定福祉用具販売 ・住宅改修 |
地域密着型サービス |
訪問 通い・訪問・泊り 入居施設 |
介護保険サービスは複数を組み合わせて利用できます。
さまざまなサービスを組み合わせれば、住み慣れた自宅で生活を継続できたり、介護負担を軽減できたりするメリットがあるでしょう。
なお、特別養護老人ホームへの入居を考えている方は、例外を除いて入居できません。
民間の老人ホームを検討する方には、以下の選択肢もあります。
ご本人に合うサービスは、ご本人やご家族では分からないことも多いため、ケアマネジャーに相談するのがおすすめです。ケアマネジャーは介護保険の仕組みやサービスの内容などを把握しているため、一人ひとりに合ったプランを提案してくれます。
2つの「よくある質問」に回答するっポ。
ここでは、「デイサービスの回数」で要介護2の方が疑問を持ちやすい内容について、ケアマネジャーが回答します。
要介護2の方がデイサービスを週5回利用したとき、1カ月あたりの料金は以下です。1カ月で20日間(週5回×4週)の利用とし、デイサービスの規模・利用時間別で記載しています。
通常規模型 | 大規模型通所介護(Ⅰ) | 大規模型通所介護(Ⅱ) | |
---|---|---|---|
3時間以上4時間未満 | 8,460円 | 8,180円 | 7,900円 |
4時間以上5時間未満 | 8,880円 | 8,600円 | 8,280円 |
5時間以上6時間未満 | 13,460円 | 12,860円 | 12,400円 |
6時間以上7時間未満 | 13,780円 | 13,340円 | 12,820円 |
7時間以上8時間未満 | 15,540円 | 14,880円 | 14,320円 |
8時間以上9時間未満 | 15,820円 | 15,300円 | 14,740円 |
※1単位10円、自己負担額1割の場合
以上の料金に、サービス加算や食費などの料金が追加されます。利用時間や追加される費用にもよりますが、デイサービスに週5回通う場合の費用目安は、1割負担の方で1カ月あたり約8,000~36,000円です。
どの要介護度であっても、デイサービスは必要に応じて何回でも利用できます。週1回でも週5回でも利用でき、上限はありません。
ただし、支給限度額には注意が必要です。要介護2の限度額は、1割負担の場合で19,705円となり、この限度額を超えた分は自己負担になります。
ほかのサービスとの兼ね合いにもよりますが、介護保険の限度額内に収めるためには週2~3回程度が目安です。
ただし、デイサービスの規模や利用時間、サービス加算、食費などにより料金は大きく異なります。詳しくはケアマネジャーやデイサービスに確認しましょう。
要介護2の方がデイサービスを利用する回数に制限はありません。ご本人の心身の状態や生活環境・家族状況などに応じて柔軟に設定できます。
回数を決めるときには利用目的を明確にし、支給限度額を超えないように注意が必要です。デイサービスの回数を決めるとき・変更するときには、ケアマネジャーに相談するようにしましょう。
デイサービスだけでなく、場合によってはほかの介護サービスを組み合わせ、ご本人らしい生活の継続を目指してください。
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