生活援助とは、訪問介護のヘルパーが掃除や洗濯、調理など、日常生活に必要な家事をサポートする介護保険サービスです。
この記事では、「どこまでお願いできる?」「自分や家族は利用できる?」と迷っている方に向けて、生活援助でできること・できないこと、身体介護や家事代行との違い、利用できる方や料金、利用の流れまでわかりやすく解説します。
生活援助とは、訪問介護が提供するサービスの一つで、掃除や洗濯、一般的な調理といった日常生活の家事をサポートするものです。ホームヘルパーが自宅を訪ね、ご本人だけでは難しくなった家事を代わりに行います。
ご本人の身体に直接触れる入浴介助や排せつ介助などの「身体介護」とは、はっきり区別されている点が特徴です。
生活援助を利用するには、必要なサービスをケアプランに盛り込む必要があり、費用は所得に応じて1〜3割の自己負担となります。
生活援助と身体介護の違いは、ヘルパーがご本人の身体に直接触れて介助するかどうかにあります。
身体介護は、ご本人の身体に直接触れる食事や入浴、排せつなどの介助が中心です。ご本人と一緒に行う掃除やゴミの分別、シーツ交換なども含まれます。
一方の生活援助は、身体に触れない範囲のサポートです。一般的な調理や掃除、洗濯、買い物など、ご本人が一人で行うには難しい日常の家事をヘルパーが代行します。
出典:厚生労働省「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」
結論からいえば、生活援助と家事援助は同じサービスを指す言葉です。もともとは「家事援助」と呼ばれていましたが、2003年の介護保険制度の改正で「生活援助」に名称が改められました。
ただし、現在でも以前の呼び方が使われる場面は残っています。障害福祉の分野や自治体独自のサービスなどでは、いまも「家事援助」と呼ばれることがあります。
生活援助と家事代行では、根拠となる仕組みが異なります。訪問介護の生活援助は介護保険にもとづきますが、家事代行は主に民間企業が提供するサービスです。
生活援助の目的はご本人の自立を支えることにあるため、頼める内容や条件が限られます。一方の家事代行は、事業者が定める内容にそって幅広い家事を依頼できます。
訪問介護の生活援助では、日常の家事を幅広くサポートしてもらえます。ここでは、ヘルパーに頼める代表的な生活援助の内容を見ていきましょう。
なお、実際に利用するには、必要なサービスをあらかじめケアプランに盛り込んでおくことが前提です。
ヘルパーに掃除を頼めるのは、ご本人が日常的に使う場所に限られます。たとえば、寝室やトイレ、浴室、居間などが対象です。反対に、ご本人が使わないご家族の部屋などは掃除の対象になりません。
掃除には各家庭にある用具を使い、ふだんの手順にそって進めてもらえるため、いつもどおりの清潔な住まいを保ちやすくなります。
洗濯は、洗濯機を回すところから、干す、取り込む、たたんで決まった場所へしまうまで、一連の作業をまとめてお願いできます。衣類の汚れ具合に応じて手洗いしてもらったり、アイロンがけをしてもらったりすることも可能です。
さらに、季節の変わり目には衣替えも頼めるので、身のまわりを気持ちよく整えられます。
一般的な家庭料理の調理から配膳、食後の食器洗いや片づけまで、まとめて対応してもらえます。
ただし、糖尿病食や腎臓病食、嚥下困難者向けの流動食など「特段の専門的配慮をもって行う調理」は、生活援助ではなく「身体介護」の扱いです。
こうした専門的な配慮が必要な調理には医師の指示が必要で、ご本人が自由に選べるものではない点に注意しましょう。
近くのお店での買い物の代行や、処方箋にもとづく薬の受け取りにも対応してもらえます。
買い物では食料品や日用品などを頼めますが、ご本人が生活で使う必需品以外は対象になりません。たとえば、お酒・タバコ・金券のほか、贈答品などご本人の日常生活に必要とはいえない物品の購入は、介護保険の生活援助の対象外です。
あくまでご本人の暮らしに必要なものが対象だと考えておくとよいでしょう。
ベッドメイクでは、シーツや布団カバーの交換などをお願いできます。長時間ベッドで過ごす方にとって、寝床を清潔に整えることは大切です。
シーツをこまめに交換して清潔を保つほか、しわやたるみがないよう整えることで、皮膚への負担が和らぎます。結果として、床ずれの予防にもつながります。
訪問介護でヘルパーができること・できないことについて詳しくはこちら
介護保険のルール上、生活援助では頼めないこともあります。ここでは、生活援助の対象外になることを紹介します。
介護保険の生活援助は「ご本人の自立を支えること」を目的としています。そのため、同居するご家族に向けた援助は対象になりません。
たとえば、家族全員分の食事をつくることや、家族が使っている部屋の掃除、家族の分の洗濯などは頼めない決まりです。
あくまでご本人のためのサービスであることを、あらかじめ理解しておきましょう。
暮らしに欠かせないとはいえない作業も、生活援助では対象外です。
たとえば、お歳暮などの贈答品の用意といった、ご本人の日常生活に直接必要ではない援助は頼めません。犬の散歩を含むペットの世話や、来客用のお茶菓子の買い出しなども同じく対象外です。
介護保険で頼めるのは、ご本人が日々を暮らすうえで欠かせないことに限られると覚えておきましょう。
生活援助は、あくまで日常的な家事を補うためのサービスです。そのため、ふだんの家事の範囲を超える作業は頼めません。
たとえば、家具の修理や部屋の模様替え、おせちのような行事食づくり、年末の大掃除などは対応の対象外です。
こうした作業を依頼したいときは、介護保険の枠にとらわれない家事代行サービスなどを検討するとよいでしょう。
生活援助のサービス内容は、ケアプランに記載されている必要があります。ヘルパーは、ケアプランに書かれていない支援を提供できません。頼みたい生活援助があるときは、担当のケアマネジャーに相談しましょう。
ただし、「苦手だから」「やりたくないから」といった理由では利用できません。生活援助は、ご本人ができないことを支えるためのサービスだからです。
訪問介護の生活援助は、だれもが自由に使えるわけではありません。生活援助を利用するためには、まず以下のいずれかの条件に当てはまっている必要があります。
上記の条件に加え、生活援助は一人暮らしの方が利用できます。また、同居の家族がいる場合でも、次のような事情があるときは利用が認められています。
当てはまるか迷うときは、担当のケアマネジャーに相談してみましょう。
要支援1・2の認定を受けた方は、訪問介護ではなく「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」の訪問型サービスを利用します。名称は異なりますが、生活援助と同じように掃除や洗濯などのサポートを受けられます。
ただし、内容や条件は市区町村ごとに異なるため、まずはお住まいの地域包括支援センターに相談してみましょう。
生活援助の具体的なサポート内容や利用時間は、ケアプランによって決まります。ケアマネジャーがご本人のできることやご家族の状況を細かく聞き取り、本当に必要な支援だけを盛り込んでいきます。
生活援助の料金は、以下のように時間で区分されています。
| 20分以上45分未満 | 179円 |
|---|---|
| 45分以上 | 220円 |
出典:厚生労働省「介護報酬の算定構造」
※1単位10円、自己負担1割で計算
生活援助を同じ日に複数回利用する場合は「2時間ルール」に注意しましょう。
前回の訪問介護からおおむね2時間未満の間隔で次の訪問介護を行った場合、原則として両方の所要時間を合算し、1回分として報酬が算定されます。
これは、本来まとめて行える支援を短時間に細かく分けて訪問し、必要以上に高い報酬を請求することを防ぐためのルールです。訪問の間隔や回数は、ケアマネジャーと相談して決めるとよいでしょう。
訪問介護の生活援助を利用するためには、いくつかの手順を踏む必要があります。
ここでは、利用を始めるまでの流れを3つのステップに分けて紹介します。
まずは、地域包括支援センターや市区町村の窓口で、要介護認定を申請します。その後、希望する日時に認定調査員の訪問調査を受け、1カ月ほどで結果が通知されます。
判定は、要支援1・2、要介護1〜5、非該当のいずれかです。
要介護1〜5の認定を受けたら、居宅介護支援事業所と契約し、担当のケアマネジャーを決めます。そのうえで、現在の状態や困っていること、希望することを伝えましょう。
生活援助を受けたい旨も相談し、ケアプランに記載してもらいます。
利用したい訪問介護事業所が決まったら、契約を結びましょう。契約が済むと、ケアプランにそって生活援助のサービスが始まります。
事業所選びに迷うときは、担当のケアマネジャーに相談すると、地域の事業所を紹介してもらえます。
ハートページナビでは地域の介護事業所を一覧から探せます
訪問介護の生活援助には、頼める内容に制限があります。必要に応じて、介護保険の枠にとらわれないサービスも組み合わせると、暮らしの困りごとをより幅広くカバーできます。
介護保険外の主な家事援助サービスは以下です。
お住まいの自治体が、独自の家事援助サービスを用意していることがあります。たとえば、配食やゴミ出し、布団の乾燥・丸洗い、電球の交換など、日常のちょっとした困りごとに対応するものです。
内容や料金は自治体によってさまざまです。市区町村の担当窓口や地域包括支援センター、お住まいの地域のサイトで確認してみましょう。
地域のシルバー人材センターも、気軽に頼れる相談先の一つです。登録した60歳以上の方がサービスを担い、電球の交換や窓拭き、ゴミ出しといった日常の軽作業をお願いできます。
料金は1回数百円からと手ごろですが、高い場所での作業など危険を伴うものは対象外です。まずはお近くのセンターに確認してみましょう。
社会福祉協議会でも、家事援助のサービスを提供しています。非営利の団体が運営しているため、利用料金が比較的おさえられている傾向があります。
サービスの内容は、掃除や洗濯、買い物、見守り、ゴミ出しなどさまざまです。地域によって対応できる範囲は異なるため、詳しくはお住まいの協議会に問い合わせてみましょう。
民間企業の家事代行サービスなら、訪問介護では頼めない作業にも対応してもらえます。たとえば、庭の草むしりやペットの世話、年末の大掃除といった作業も対象です。
ただし、サービス内容や費用は事業者によって幅が大きく、介護保険のサービスに比べると高額です。いくつかの事業者を比べて、納得できる一社を選ぶとよいでしょう。
最後に、生活援助についてよくある疑問をまとめました。利用を考えるうえで気になりやすい点を解説します。
担当のケアマネジャーがいない場合は、地域包括支援センターや市区町村の介護保険窓口に相談することも可能です。なお、介護保険で生活援助を利用するには要介護認定を受け、ケアプランを作成する必要があります。
たとえば、ご家族の不在中にご本人が食事をとれないなど、暮らしに支障が出るケースです。こうしたときは担当のケアマネジャーに相談しましょう。正当な理由があれば、必要な支援として認められることがあります。
訪問看護では、看護師などが自宅を訪問し、医療処置や入退院時の支援、看取りのケア、入浴や排せつの介助などを担います。掃除や洗濯、調理といった家事のサポートは訪問看護に含まれません。
家事の支援を受けたい場合は、訪問介護の生活援助などを検討しましょう。
2015年の介護保険制度改正により、要支援1・2の方が利用する訪問介護は、市区町村が運営する総合事業の訪問型サービスに切り替わりました。これに続き、要介護1・2の方の生活援助も総合事業へ移すかどうかがたびたび議論されています。
総合事業でも同じような支援は受けられますが、今後の動きには注意しておきたいところです。次の改正は2027年に予定されています。
生活援助は、訪問介護のヘルパーが掃除や洗濯、調理などの家事を代行してくれるサービスです。身体介護とは異なり、身体に直接触れない範囲でご本人の暮らしを支えます。
頼める内容には決まりがあるものの、上手に活用すれば、住み慣れた自宅での生活を続ける助けになります。まずは担当のケアマネジャーに、必要な支援を相談してみましょう。
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