「ケアマネジャーと相性が合わない」「希望を伝えても、なかなか対応してもらえない」と感じ、担当を変えたいと考えていませんか。
ケアマネジャーは、介護サービスの調整やケアプランの作成などを担う、介護生活を支える重要な存在です。現在の担当者との関係に悩んでいる場合は、ケアマネジャーを変更することができます。
とはいえ、「本人に直接伝えなければならないの?」「変更すると今の介護サービスに影響しない?」と不安に感じる方もいるでしょう。
本記事では、2001年創刊の介護情報誌「ハートページ」のウェブ版である「ハートページナビ」が、居宅介護支援事業所の開設・運営に長年携わってきた主任ケアマネジャーの監修のもと、ケアマネジャーを変更する具体的な手順や相談先、角が立ちにくい伝え方のコツを解説します。
変更するか迷っている場合の対処法も紹介するので、現在の担当者との関係に悩んでいる方は参考にしてください。
ケアマネジャーや居宅介護支援事業所は、利用者の希望に応じて変更できます。介護サービスを利用している途中でも、現在の事業所に担当者の交代を相談したり、別の居宅介護支援事業所へ変更したりすることが可能です。
居宅介護支援の運営ルールを定めた「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」でも、利用者の意思や人格を尊重し、利用者自身の選択にもとづいてサービスを提供されるよう、特定のサービス事業者に不当に偏ることなく公正中立に支援することが基本方針として示されています。
出典:指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(e-Gov法令検索)
とはいえ、「変更の事情を詳しく説明する必要があるのでは?」「変更すると不利に扱われないか心配」「何回まで変更できるの?」など、気になる点も多いでしょう。
以下では、ケアマネジャーの変更を検討する際に気になるポイントについて、詳しく見ていきましょう。
ケアマネジャーの変更を申し出る際、理由を細かく説明しなければならないという決まりはありません。「相性が合わない」「別のケアマネジャーにも相談してみたい」といった伝え方でも、変更について相談できます。
また、無理に理由を取り繕う必要もありません。現在どのような点に困っているのかを整理し、伝えられる範囲で説明すると、その後の調整も進めやすくなります。
変更するか迷っている場合の考え方は、後述の「ケアマネジャーを変えたいと感じたときに確認したい3つのこと」で詳しく解説します。
「ケアマネジャーを変えたことで、今後の介護サービスで不利になるのでは」と心配する方もいるでしょう。しかし、変更を申し出たことだけを理由に、必要な介護サービスが受けられなくなることはありません。
指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(運営基準)では、指定居宅介護支援事業者は正当な理由なく居宅介護支援の提供を拒んではならないと定められています。
デイサービスや訪問介護など、すでに利用しているサービスについても、新しいケアマネジャーへ適切に引き継がれることで、原則として継続して利用できます。
ケアマネジャーの変更について、「年に1回まで」「介護保険の更新時だけ」といった回数や時期の制限は設けられていません。担当が決まった直後でも、数年間利用したあとでも、変更を申し出ることはできます。
ただし、希望する事業所に空きがあるとは限らず、新しいケアマネジャーが決まるまでに時間がかかることもあります。変更を考え始めたら、できるだけ余裕をもって相談するとよいでしょう。
そのほかの注意点については、後述の「ケアマネジャーを変更する前に確認しておきたいこと」で詳しく説明します。
ケアマネジャーに不満を感じていても、必ずしも担当者を変更することが最適な解決策とは限りません。困っている内容によっては、希望を具体的に伝えたり、ケアマネジャーの役割を確認したりすることで解決できる場合もあります。
変更するかどうかを判断するためにも、まずは次の3つを整理してみましょう。
それぞれ詳しく解説します。
まずは、ケアマネジャーのどのような対応に困っているのかを書き出してみましょう。「なんとなく合わない」という不満を具体化すると、どこに問題があるのか判断しやすくなります。
たとえば、次のようなケースがあります。
たとえば、連絡がつきにくい原因が事業所全体の人員体制にある場合、同じ事業所内で担当者だけを変更しても改善しない可能性があります。その場合は、居宅介護支援事業所そのものを変更することも選択肢になります。
ケアマネジャーへの不満は、担当できる仕事の範囲についての認識のずれから生じているケースもあります。
ケアマネジャー(介護支援専門員)の主な役割は、本人の心身や生活の状況、希望などを踏まえてケアプランを作成し、必要な介護サービスを利用できるよう事業者や関係機関との連絡・調整を行うことです。
ケアマネジャー自身が身体介護や家事援助などを提供するわけではありません。
| ケアマネジャーの主な業務 | ケアマネジャーの業務ではないもの |
|---|---|
| ・ケアプランの作成・見直し ・サービス事業者などとの連絡・調整 ・要介護認定に関する申請の援助 ・定期的な面談・状況の把握 ・介護保険サービスの給付管理 |
・入浴・排せつなどの身体介護 ・掃除・調理・買い物などの家事援助 ・通院時の付き添いや送迎 ・日常的な預貯金の管理 ・入院・入所時の身元保証 |
「お願いしたのに対応してもらえない」と感じていることが、そもそもケアマネジャーが行う業務ではない場合もあります。この場合、ケアマネジャーを替えても問題は解決しません。
ケアマネジャーが直接対応できないことは、生活上の困りごととして相談してみましょう。必要に応じて、利用できる介護サービスや地域の支援などを一緒に検討してもらえます。
ケアマネジャーが行う支援(居宅介護支援)の内容や費用は、居宅介護支援(ケアマネジメント)をわかりやすく解説した記事で詳しく紹介しています。
不満の内容が整理できたら、ケアマネジャーを変更する前に、現在の担当者へ希望を伝えてみるのも一つの方法です。
その際は、「もっと親身になってほしい」といった抽象的な表現ではなく、以下のように何を変えてほしいのかを具体的に伝えると認識のずれを減らせます。
希望を具体的に伝えることで、対応が改善し、担当者を変更せずに解決できることもあります。
一方、すでに何度か要望を伝えても改善されない場合や、本人・家族が担当者と話すこと自体に大きな負担を感じている場合は、無理に現在の関係を続ける必要はありません。
ケアマネジャーや事業所の変更を検討しましょう。
ケアマネジャーを変更する方法は、大きく分けて「同じ事業所内で担当者を変更する方法」と「居宅介護支援事業所そのものを変更する方法」の2つです。
どちらを選ぶかによって手続きや相談先が異なるため、現在感じている不満や希望に合わせて検討しましょう。
それぞれの違いについて、詳しく解説します。
現在利用している居宅介護支援事業所に複数のケアマネジャーが在籍している場合は、事業所を変えずに担当者だけを変更してもらえることがあります。
担当者本人に直接伝えにくい場合は、事業所の管理者に相談するとよいでしょう。契約先は変わらないので、事業所を変更する場合に比べて手続きの負担が少なくて済みます。また、これまでの記録も事業所内で共有されているため、引き継ぎが進めやすいのもメリットです。
ただし、事業所によっては在籍するケアマネジャーが少なく、別の担当者への変更が難しい場合もあります。
事業所の体制そのものに不安がある場合や、同じ事業所内での交代が難しい場合は、別の事業所に変える方法があります。
この場合は、新しい居宅介護支援事業所を探して契約し、現在の事業所から必要な情報を引き継いでもらいます。
事業所を変更すると、担当するケアマネジャーだけでなく、事業所の対応方針や連絡体制なども変わります。そのため、新しい事業所を選ぶ際は、現在の不満や希望を整理したうえで、自分たちに合ったところを探すことが大切です。
事業所の探し方やケアマネジャーとの付き合い方は、居宅介護支援事業所の探し方やケアマネとの上手な付き合い方を解説した記事も参考になります。
具体的な変更手順や新しいケアマネジャーの選び方については、次の章で詳しく解説します。
ここでは、現在利用している居宅介護支援事業所から、別の事業所へ変更する場合の手順を紹介します。
別の事業所へ変更する場合は、おおむね次の3ステップで進めます。
それぞれのステップについて、詳しく見ていきましょう。
ケアマネジャーを変更したいときは、まず変更の意向を相談することから始めましょう。担当者本人に直接伝えにくい場合は、第三者に相談する方法があります。
相談先は、主に次の3つです。
| 相談先 | 役割 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 地域包括支援センター | 地域の介護の総合相談窓口。事業所の情報も持っている | どこに相談すべきか迷っているとき |
| 事業所の管理者 | 在籍するケアマネジャーの管理・調整を行う | 同じ事業所内での交代を希望するとき |
| 市区町村の介護保険担当窓口 | 届出の受付、制度の説明 | 手続きの内容を確認したいとき |
どこに相談すればよいかわからない場合は、まず地域包括支援センターに相談するとよいでしょう。地域包括支援センターは、介護保険法にもとづいて設置されている、高齢者の生活や介護に関する総合相談窓口です。
「現在のケアマネジャーには直接言いにくい」といった事情も含めて相談できるため、一人で変更手続きを進めることに不安がある場合にも利用できます。
ハートページナビでは地域の介護事業所を一覧から探せます
次に、新しく利用する居宅介護支援事業所を探します。地域包括支援センターや市区町村の窓口などで地域の事業所について相談できるほか、自分で候補を探して問い合わせることもできます。
事業所を比較するときは、次のようなポイントを確認しましょう。
地域によっては、選べる居宅介護支援事業所が限られることもあります。希望する事業所が見つからない場合は、地域包括支援センターなどに相談し、対応可能な事業所を紹介してもらうとよいでしょう。
なお、事業所を選ぶポイントは、信頼できるケアマネジャーの探し方や選び方を解説した記事も、あわせて参考にしてください。
ハートページナビでは地域の介護事業所を一覧から探せます
新しい事業所が決まったら、契約や必要な届出、情報の引き継ぎを進めます。
一般的には、次のような流れで進みます。
「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」では、利用者がほかの居宅介護支援事業者の利用を希望する場合などに、直近の居宅サービス計画やその実施状況に関する書類を交付することが定められています。
そのため、必要な情報を引き継ぎながら、新しい事業所で支援を継続できます。
出典:指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(e-Gov法令検索)
なお、実際の手続きや引き継ぎの進め方は、自治体や事業所によって異なる場合があります。新しい事業所が決まったら、「自分や家族が行う手続きは何か」「現在の事業所への連絡は誰が行うか」を確認しておくとスムーズです。
ケアマネジャーを変更したくても、「本人にどう伝えればいいのだろう」「関係が悪くならないか」と悩む方は少なくありません。
ここでは、ケアマネジャーの変更を気まずくならずに伝える方法を紹介します。
ケアマネジャーを変更したいという希望を、担当者本人に直接伝える必要はありません。
同じ事業所内で担当者を変更するなら、居宅介護支援事業所の管理者に相談できます。担当者本人には言いづらいことも、管理者であれば相談しやすいでしょう。
事業所そのものを変更したい場合も、現在の事業所に直接伝えづらければ、地域包括支援センターなどに相談しながら進める方法があります。
実際にどのように伝えればよいかわからない場合は、次の伝え方を参考にしてください。
事業所の管理者に、担当者の交代を相談する場合
いきなり「担当を替えてほしい」と切り出さず、相談の場を設けてもらう形にすると話しやすくなります。
地域包括支援センターに相談する場合
新しい事業所に問い合わせる場合
変更理由を伝える際は、「対応が悪い」「相性が合わない」と相手を責める言い方よりも、現在困っていることや、今後希望することに置き換えると伝えやすくなります。
| そのままでは伝えにくい表現 | 言い換えの例 |
|---|---|
| 対応が遅くて困っている | もう少し連絡を取りやすい体制を希望しています |
| 提案がいつも同じで不満がある | 複数の選択肢を比較しながらサービスを決めたいと考えています |
| 母と相性が合っていない | 本人がもう少し希望を話しやすい方にお願いしたいと考えています |
| 説明がわかりにくい | 家族も制度やサービスについて理解しながら進められる形を希望しています |
もちろん、無理に理由を取り繕う必要はありません。変更の経緯を詳しく話したくない場合は、「本人や家族の希望を踏まえて、別のケアマネジャーを検討したい」と簡潔に伝える方法もあります。
大切なのは、相手を納得させることではなく、本人や家族が今後どのような支援を受けたいのかを伝えることです。
ケアマネジャーを変更すると、引き継ぎや新しい担当者との関係づくりが必要になります。また、地域や事業所の状況によっては、希望どおりに変更できるとは限りません。
変更後に「思っていたのと違った」とならないよう、事前に次の4点を確認しておきましょう。
それぞれ詳しく解説します。
ケアマネジャーを変更する際は、これまでのケアプランやサービスの利用状況などが新しい担当者へ引き継がれます。
ただし、書類だけですべてを把握できるわけではありません。本人の性格や生活上のこだわり、家族の事情、これまでの支援でうまくいったことなどを新しい担当者が理解するまでには、ある程度時間がかかることがあります。
初回の面談では、これまでの経緯に加えて、「現在困っていること」「今後どのような支援を希望するか」などを伝えておくと、その後のやり取りがスムーズです。
居宅介護支援事業所の数は、地域によって異なります。そもそも数が少なければ事業所の変更は困難です。
また、希望する事業所が見つかっても、定員が埋まっているなどの理由ですぐに受け入れてもらえないこともあります。
選択肢が限られる地域では、新しい事業所が決まるまで時間がかかる可能性も考えておきましょう。
自分で受け入れ先を見つけるのが難しい場合は、地域包括支援センターなどに相談し、地域の居宅介護支援事業所について情報を提供してもらう方法もあります。
家族から見て「ケアマネジャーと合っていない」と感じていても、本人はそのケアマネジャーを信頼している可能性があります。反対に、本人が不満を抱えているのに、家族に言い出せずにいる場合もあるでしょう。
変更を決める前に、「今のケアマネジャーとは話しやすい?」「困っていることはない?」など、本人の気持ちを確認してみてください。
本人と家族で意見が異なる場合は、どちらか一方の意見を押し通すのではなく、それぞれが困っていることや希望していることを整理して、ケアマネジャーや地域包括支援センターなどに相談するとよいでしょう。
ケアマネジャーを変更しても、利用中のデイサービスや訪問介護、福祉用具貸与などのサービスは引き継げます。
ケアマネジャーが変わっても、本人の状態や希望に合うサービスであれば、新しいケアプランに位置づけたうえで、そのまま継続して利用することが可能です。
ただし、同じ事業所内での担当者交代ではなく、居宅介護支援事業所そのものを変える場合は、ケアプランやサービスの利用状況の引き継ぎ、関係するサービス事業所との連絡・調整などが必要になります。
切り替えのタイミングによっては給付管理などの調整が必要になることもあるため、「いつから新しい事業所に切り替えるか」は新旧の事業所などと確認しながら進めると安心です。
最後に、ケアマネジャーの変更に関するよくある質問を紹介します。
変更できます。介護サービスを利用している途中であっても、担当者や事業所を替えることは可能です。時期や回数を制限する決まりは設けられていません。
直接伝える必要はありません。同じ事業所内での交代なら事業所の管理者へ、事業所ごと替える場合は地域包括支援センターへ相談すれば変更できます。
詳しい説明は求められません。「家庭の事情で」「別の事業所も検討したい」といった伝え方でも、手続きは進められます。理由をうまく言葉にできなくても差し支えありません。
原則として止まりません。デイサービスや訪問介護などは、利用者ご本人が各サービス事業所と個別に契約を結んでいるからです。ただし、切り替えの時期によっては調整が必要になることがあるため、新しい事業所とスケジュールを確認しておくとより安心です。
ケアマネジャーへの苦情は、主に以下の窓口へ相談できます。
どこに相談すればよいかわからない場合は、地域包括支援センターに状況を伝え、適切な相談先を案内してもらう方法もあります。
ケアマネジャーは、介護サービスを利用している途中でも変更できます。同じ事業所内で担当者だけを替えてもらう方法と、居宅介護支援事業所そのものを変更する方法があります。
ただし、不満がある場合でも、希望を具体的に伝えたり、ケアマネジャーの仕事の範囲を確認したりすることで解決できることもあります。まずは、何に困っているのかを整理してみましょう。
それでも変更したい場合は、担当者本人に直接伝える必要はありません。同じ事業所内での変更なら管理者へ、事業所ごとの変更なら地域包括支援センターなどに相談できます。
ケアマネジャーは、本人や家族の介護生活を支える大切な存在です。話しづらさや支援への不満を抱えたままにせず、本人や家族が安心して相談できる体制を整えていきましょう。
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