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高齢者みんながお花見レクを楽しめた!介護のプロが知るお花見の工夫

高齢者みんながお花見レクを楽しめた!介護のプロが知るお花見の工夫高齢者みんながお花見レクを楽しめた!介護のプロが知るお花見の工夫
はーとん

春といえばお花見だっポ。介護施設やデイサービスではどんなお花見のレクリエーションをしているのかな?

祖母

桜はきれいだし、外で食べるお弁当はおいしいし、お花見は楽しいものよね。

はーとん

でも今年は新型コロナウイルスの影響でお花見するのも簡単じゃないっポ……。そのときの状況に合わせたイベントやレクを楽しんでね。

教えてくれるのは、主任ケアマネの寺岡さんだっポ。コロナ禍で応用できるかもしれない、過去の事例も紹介するよ。

介護施設でのお花見イベントはこんなメリットも!

4月といえばお花見ですね。昨年と今年は新型コロナの影響で開催が困難ですが、毎年4月には桜の開花に合わせてお花見に出かけるデイサービス・介護施設も多く見受けられます。

冬の間は外出レクを控えがちですし、老人ホームなど介護施設の入居者はどうしても施設の中にこもってしまうため、季節を肌で感じられる外出レクは重要なイベントです。

春の暖かい風に触れると気分がよくなることから、高齢者の心理面へプラスの影響を与えるとも言われています。
それに加えて、お花見はバリアフリーではない屋外での活動となるので、リハビリとしての効果も大いに期待できます。

実は大変!お花見レクの事前準備

高齢者や要介護者の外出レクを企画するときには、事前に十分な下調べや準備が必要です。
特に駐車スペースとトイレの位置は重要なポイントとなります。

都市部では複数の高齢者が一緒に行けるお花見スポットは限られますし、お花見のポイントが駐車場から遠いと移動が大変です。
また、車椅子で移動する高齢者もいるため、道路は舗装されていないといけません。

特に大変なのがトイレです。出かける前にトイレを済ませても、お花見の場所に着いたとたん「トイレに行きたい」とおっしゃる方が必ずいます。

しかしお花見をするような場所では、トイレはあっても手すりがないなど、高齢者にとって使いづらいことがほとんどです。

お花見レクを行う4月は、施設内での人事異動や入退職で職員が入れ替わる時期。慣れたスタッフの負担が大きくなってしまうことから、外出レクの準備も容易ではありません。

コロナ禍でお花見イベントができない?

「コロナの影響でレクリエーションやイベントの多くを中止せざるを得ない」。そう判断するデイサービスや介護施設がまだまだ多く見られます。

高齢者にとって、新型コロナウイルスの感染は生命の危機にもつながりかねません。
一方で、長期間の行動変容を余儀なくすることは、高齢者の身体機能や精神機能を低下させる大きなリスクとなります。

コロナ禍では密や飛沫を避けなければなりませんが、それでもできる限りレクリエーションは開催したいところです。

通常であれば、3月下旬から4月初旬頃の春先にお花見イベントを実施する施設が多いですが、コロナ禍ではお花見をするのも躊躇されることでしょう。

しかし、人込みのなかで桜を見るだけがお花見ではありません。
コロナで外出が難しくても、季節を感じたいと思うのは普通のことです。いつもと少し違う体験をするだけで、高齢者の生活によい刺激を与えることが十分に可能です。

過去にあった事例を紹介するので、安全に実施できるお花見計画の参考にしてみてはいかがでしょうか。

お花見に参加できない車椅子のトモエさん

お花見イベントは移動やトイレの面で問題も多いため、すべての入居者が参加できるとは限りません。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に居住するトモエさん(仮名)も、お花見に行きたくても行けない高齢者の一人でした。

トモエさんは車椅子を利用しており、排泄は介護スタッフが介助をしてトイレで行っています。
車椅子から便器への移乗は相当の介助量が必要なうえに、便器の横には車椅子を置けるだけの広いスペースが必要です。

そのため、それまでも外出レクに参加したことははく、お花見イベントにも「どうせ行けないだろう」と思っていました。

桜の咲いている期間は短いため、お花見イベントは通常4月上旬くらいで企画されます。
しかし、ちょうどその時期に職員の入れ替わりが多いことから、トモエさんが暮らすサ高住の施設長は、外出イベントには不安材料が多いと感じていたそうです。

「無理をしてでも毎年恒例のお花見を計画するか」それとも「今年は別の企画にするか」。
お花見を楽しみにしている入居者は多いので、どちらにするべきか決めかねていたようです。

そんな矢先、「今年もみんなでお花見楽しんできてね」というトモエさんとの何気ない一言が、施設長を決断させます。

トモエさんには深い意味のなかった一言ですが、「みんなで楽しんできて」という「みんな」の中にトモエさんの姿はありません。
施設長は、お花見に行きたくても行けない人がいるのだと気付いたのです。

トモエさんの言葉をきっかけに、その年のお花見は桜を見に行くのではなく、代わりに施設の庭でお花見弁当を楽しむことにしました。

外出しないお花見イベントで入居者全員が参加できた

施設の庭でのお花見イベント開催が決まり、準備段階となりました。
プランターに寄せ植えをしたり、花壇に春の花を植えたりと、たくさんの花を用意することに。

プランターの寄せ植えは屋内でも可能なため、入居者でもできます。入居者に手伝ってもらうことで、それ自体もレクリエーションとして活用できました。

そしお花見イベントの当日、施設の敷地内という手軽さもあってすべての入居者が参加されました。

屋外でお弁当を食べるだけでも、普段とは随分と雰囲気が変わるものす。
入居者からは「桜もいいけど、たくさんの花に囲まれて春を感じるわね」「普段の散歩とはひと味違って、お弁当があるとピクニックみたいで楽しい」と好評でした。

何よりトイレの心配がいらないことや、疲れたときには他の入居者に気を使うことなく部屋に戻って横になれるのがよかったようです。

もともと話好きなトモエさんもようやくお花見レクに参加できて、いつもより一層話に花を咲かせていました。

また、仕事に不慣れな職員にとって外出レクは荷が重いだけでなく、いつもの業務に増して気を配る必要があるため相当なストレスがかかります。

しかし、施設の敷地内で行うイベントであれば、事故防止への意識は持たなければならないものの、駐車場からの移動やトイレ対応の大変さはありません。
外出レクと比較すれば、大きな負担の軽減が可能です。

「毎年恒例だからやらなければならない」という思い込みを持たず、状況に応じて変化させることの大切さを感じたイベントでした。

特別養護老人ホームでのお花見レクの工夫

トモエさんが暮らすサ高住のように、「桜を見に行くお花見」だけにとらわれないお花見レクをする施設は他にもあります。

特に、特別養護老人ホーム(特養)などでは入所者の介護度が高く、ショートステイのご利用者が混在している事業所もたくさんあります。
このような状況でお花見の外出レクを行うのは、事故発生のリスクも高くなりがちです。

そのため、お花見に関連したお菓子作りや創作をしたり、食事をお花見弁当に変えたりするなど、高齢者や職員の負担を軽減しつつも、各施設ではみんなで楽しめる工夫をされています。

デイサービスのお花見レクには課題もある

外出レクとしてお花見を取り入れるデイサービスはたくさんあります。
しかし、デイサービスが介護保険サービスとして外出レクを取り入れるには条件があり、単なるお花見では認められません。

つまり、デイサービスで外出レクを実施する場合は、利用者の心身機能の改善に役立つ機能訓練の一環であることが前提となり、「介護計画への位置づけ」や「どのように機能訓練としての効果が認められるのか」を明確にしておかなくてはなりません。

どのような外出レクが機能訓練として認められるのかは保険者によって扱いに相違があるため、事前の確認も必要となります。

コロナ禍でできるレクはこちら
コロナ禍でもできる!デイサービスのおすすめレクと注意点

レクリエーションの記事一覧はこちら
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著者:寺岡 純子

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著者:寺岡 純子

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合同会社カサージュ代表
主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)、看護師、福祉住環境コーディネーター2級、終活カウンセラー1級
8年間の臨床看護を経て、介護保険の開始に伴い介護業界へ転向。全国展開する大手介護事業者で部長職としてさまざまな介護サービスの運営・人材育成を経験する。医療・介護の幅広い知識と経験を多くの介護事業者に届けたいとの思いから独立。現場・事業者・利用者の視点に立ち、介護に特化した研修や事業者・介護者のサポートを行っている。

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