厚生労働省は現在、介護現場の負担軽減に向けて新たなインフラの構築を進めている。事業所・施設、利用者、自治体といった関係者が、それぞれ必要な情報をいつでも速やかに確認できる「介護情報基盤」を整備する方針で、来年度以降の稼働開始を目指している。【Joint編集部】
この構想を実現するためには、いくつかの課題を乗り越えなければいけない。そのうちの1つが、利用者の同意の取得。例えば事業所・施設が被保険者証、要介護認定、ケアプランなどの情報を引き出して使う場合、本人の同意があることが前提となる。
厚労省は21日の審議会(社会保障審議会・介護保険部会)で、こうした同意取得の方法を議題として取り上げた。
現場の事務負担が最小限にとどまるようにしたいと強調。初回の同意があれば、個々の事業所・施設が情報を引き出す度に同意を得る必要のない“包括的な同意の取得”を可能とする方針を掲げた。
そのうえで、要介護認定を新規で受ける高齢者と、既に介護サービスを利用している高齢者とで、対応を分けてはどうかと説明。次のように提案した。
厚労省は会合で、要介護(更新)認定申請書や区分変更申請書の下部の同意欄を拡充する考えを説明。ケアマネジャーらが包括的な同意を取得するケースも想定し、例えばマニュアルや雛形の提示など必要な支援策を用意する意向も明らかにした。
厚労省の関係者は会合後、「介護情報基盤の活用が広がれば、業務負担の軽減やサービスの質の向上などにつなげられる。そうした大きなメリットを、現場の関係者にしっかりと周知していきたい」と話した。
審議会の意見交換の中では、日本介護支援専門員協会の小林広美副会長が、「現場のケアマネジャーへの丸投げにならないよう、強くお願いしたい」と要請。「基本的には市町村による同意取得を前提として、やむを得ずケアマネジャーが代行する場合であっても、同意取得が極力簡易になるよう配慮してほしい」と求めた。
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