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要介護認定に有効期間や更新があるのはなぜ?【介護認定調査員が回答】

要介護認定に有効期間や更新があるのはなぜ?【介護認定調査員が回答】要介護認定に有効期間や更新があるのはなぜ?【介護認定調査員が回答】
はーとん

要介護や要支援の認定には有効期間があるっポ。一度受けたら終わりってワケじゃないんだよ。

祖母

何度も受けなくちゃいけないなんて大変だわ。更新する意味なんてあるのかしら?

質問:要介護認定の有効期間って?更新しないとどうなりますか?

<しげこさん(仮名)66歳>
はじめて要介護認定を受けた87歳の母のもとに、介護保険証が届きました。さっそく母と一緒に介護保険証を見てみると、認定の有効期間が記されていたのでびっくりしています。
要介護認定は一度受ければいいと思っていたのですが、なぜ有効期間があるのですか?

また、更新の手続きはこの有効期間内にしなければならないのでしょうか? もし更新しなかったら、それまで利用していた介護保険サービスがすぐに使えなくなってしまうなどの問題は起きないでしょうか。

はーとん

介護認定の有効期間にはちゃんと意味があるんだっポ!
元介護認定調査員が教えてくれるよ。

要介護認定の有効期間や更新はなぜ必要?

要介護認定の有効期間は、介護を必要とする人が常に適切なサービスを受け続けられるように設定されるものです。

高齢者の心身の状態は若い人に比べると変化しやすく、月日の経過とともに介護の手間が増えたり減ったりすることが考えられます。つまり、介護を必要とする度合いが変われば必要なサービスも変わる可能性が高くなるのです。
特に、進行性の疾患を抱えている人や、中程度の認知症を患っている人は、症状が急激に進行して介護の手間が増大することもあります。

そこで要介護認定では、定期的に対象となる高齢者の状態を確認し、より適切な環境を整え続けるために有効期間を設けています。

要介護認定は自動更新されない

要介護認定は自動更新ではありません。更新を忘れた場合のデメリットとしては、有効期間を過ぎてから介護保険サービスを利用すると全額自己負担となることが挙げられます。

要介護認定を受けていれば、訪問介護やデイサービスなどの介護保険サービスを利用している人がほとんどだと思います。更新手続きを忘れないようにするためには、更新月を把握している担当ケアマネジャーとしっかり連携をとっておくと安心です。
問題なくサービスを継続できるように、注意しておきましょう。

なお、更新申請は有効期限の60日前から可能です。申請から結果まで1カ月かかることを考えれば、60日前になった時点で申請しておくとよいでしょう。早めの手続きが無難です。

短縮と延長もある、要介護認定の有効期間

介護認定の有効期間は初回と更新で異なります。また、原則とする有効期間以外に、心身の状態によっては短縮や延長となるケースもあります。

介護認定 初回の有効期間

初めての要介護認定だと、有効期間は原則6か月です。
厳密にいうと、要介護認定の効力は申請した日にさかのぼります。そのため、月の途中で申請をした場合には、申請した月とその後の6か月が有効期間となります。

例えば、1月13日に要介護認定の申請をした場合には、1月13日から7月31日までが有効期間です。

ただし、この有効期間は介護認定審査会の意見によって必要とされる場合には、期間の短縮や延長となることもあります。短縮は3~5か月、延長は7~12か月の範囲です。

介護認定 更新の有効期間

更新の有効期間は原則12か月です。ただし、心身状態や介護の必要度によっては、3~11か月の間で短縮されたり、13~36か月の間で延長されたりすることもあります。

有効期間が短くなりやすいのは、末期がんなどの進行性の病気により急激な変化を伴いそうなケース。その逆に、有効期間が長くなりやすいのは状態が安定している場合です。

要介護認定の更新手続きのしかた・流れ

要介護認定の更新は、記入した更新申請書に介護保険被保険者証を添えて、窓口で手続きを行います。自治体によっては、身分証明書や印鑑が必要となることもあるので、詳細は各自治体に確認しておきましょう。

要介護認定を受けている本人が申請に行けなければ、家族や担当ケアマネジャー、入所している施設職員による申請の代行も可能です。代理人は、委任状が必要となる場合もあります。

窓口での手続きが終わると、初回と同様に介護認定調査員が本人の元に赴いて調査を行います。調査内容も初回と同様なので、事前に伝えたいことがあればまとめておくとよいでしょう。
更新の結果は、1か月ほどで郵送にて通知される仕組みとなっています。

また、主治医意見書の提出も必要です。更新申請をするときには主治医を受診して、意見書の提出を依頼してください。なお、提出は主治医から直接自治体に行うので、本人や家族が自治体に提出する必要はありません。

有効期間内に状態が変わったら区分変更の申請を

要介護認定は、常にその方に沿った認定結果となるように有効期間が設定されています。とはいえ、その期間内に心身の状態が大きく変化することもあるでしょう。もしそうなったときには、区分変更の申請が可能です。

例えば、骨折で長期入院を余儀なくされて歩けなくなったり、脳梗塞などを発症して寝たきりになったりした場合などが該当します。

現在の要支援・要介護度と心身状態に大きな変化があると思われるときには、担当のケアマネジャーに相談して区分変更の手続きを進めるとよいでしょう。
なお、申請の手続きや認定調査については、新規申請や更新申請と内容は変わりません。

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著者:中村 楓

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著者:中村 楓

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介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級、認知症介護実践者研修修了
現役介護福祉士の介護コラムニスト。介護療養型医療施設(現:介護医療院)を含む病院やデイケア、デイサービスなど、入所から在宅までさまざまな現場を経験。介護職員や介護認定調査員の経験を経て、現在は相談員として勤務。介護の未来を明るくしたいという想いから、現場感あふれる記事を誰にでもわかる表現で執筆中。

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