介護保険の利用や要介護認定を受けられるのは何歳からかな?
39歳以下、64歳以下の場合や、介護保険料の支払いについても紹介するっポ!
介護保険と要介護認定、この関係は切っても切れないっポ。
まずは介護保険制度の特徴と要介護認定の役割について、簡単に解説します。
介護保険とは、高齢になって介護が必要になっても安心して生活を送れるように、社会全体で高齢者の介護を支える制度です。社会保険制度のひとつとして2000年4月に始まりました。
社会保険制度はほかに、医療保険、年金保険、労災保険、雇用保険で構成されています。
介護保険には、次のような基本的な考え方があります。
自立支援
単に介護を要する高齢者の身の回りの世話をするということを超えて、高齢者の自立を支援することを理念とする
利用者本位
利用者の選択により、多様な主体から保健医療サービス、福祉サービスを総合的に受けられる制度
社会保険方式
給付と負担の関係が明確な社会保険方式を採用
引用:介護保険制度の概要(厚生労働省)※一部調整
このように、高齢になり介護が必要になっても、可能な限り慣れ親しんだ地域で自分らしい生活を送れるよう支援するのが介護保険制度です。
要介護認定とは、介護の必要性を感じている人が“今どのような状態であるか”を客観的に判断するものです。
要介護認定調査は全国統一の基準で行われ、市区町村に設置された介護認定審査会がその調査と主治医の意見書をもとに判定を行います。
状態によって「非該当」「要支援1、2」「要介護1~5」と8段階のいずれかに判定されます。
要介護認定には期限があり、期限が迫ってきたときには原則として再度調査を受けなければなりません。再認定を受けると、継続して介護保険サービスの利用ができます。
どんな介護保険サービスを受けることができるのか、ここではざっくり紹介するっポ。
要介護に認定されると介護サービスを、要支援に認定されると介護予防サービスを利用することができ、介護度ごとに利用できる介護保険サービスの内容や上限額は決まっています。
介護度によっては使えないサービスもあるので、利用を希望するときにはまずケアマネジャーに相談しましょう。
自宅にホームヘルパーや看護師などが訪問して受けられるサービス。訪問介護や訪問看護、訪問リハビリテーションなどがあります。
デイサービスセンターなどに通い、機能訓練やレクリエーション、生活上のお世話を受けられるサービス。デイサービスや通所リハビリテーションなどがあります。
普段は自宅で介護を受けている人が、一時的に施設に泊まれるサービス。ショートステイや小規模多機能型居宅介護などが該当します。
ただし小規模多機能型居宅介護では、泊まり以外に通い・訪問も併せて利用可能です。
必要な福祉用具をレンタル(福祉用具貸与)もしくは購入(特定福祉用具販売)できるサービスです。
体が不自由でも生活しやすいように自宅を工事(住宅改修)します。手すり、スロープなどの設置や段差の解消などが可能です。
介護保険施設に入所して、生活上のお世話や介護、リハビリなどを受けられるサービス。特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、介護療養型医療施設が該当します。
特定施設入居者生活介護に指定された施設に入居して、生活上のお世話や介護、リハビリなどを受けられるサービス。介護付き有料老人ホームやケアハウスなどがあります。
介護保険の対象になるのは高齢者だけなのかな?
介護保険の被保険者である40歳以上の人には、介護保険料を納付する義務があります。
年齢によって介護保険の被保険者は2種類に分けられます。
第1号被保険者と第2号被保険者の違いについて解説します。
第1号被保険者に該当するのは、65歳以上の高齢者です。要介護認定で要支援もしくは要介護の認定を受けると介護保険サービスの利用ができます。
介護保険料は、市区町村がその人の所得に応じて決めます。
基本的に年金から天引きされる特別徴収ですが、公的年金の年額が18万円に満たない人は、市区町村から送付される納付書にそって保険料を納める普通徴収のかたちが取られています。
第2号被保険者に該当するのは、40歳~64歳までで職場の医療保険や国民健康保険に加入している人となります。
希望しても基本的に介護保険サービスの利用はできませんが、以下の特定疾病があり要支援・要介護に認定されると、40歳~64歳の人も介護保険サービスを利用できます。
<特定疾病>
介護保険料の徴収金額と方法は、加入している医療保険によって違います。
職場の医療保険に加入している人は、医療保険ごとの算定方法で金額が決まり、その金額が給与から天引きされます。
国民健康保険に加入している人は、国民健康保険税の算出方法と同様に決められ、国民健康保険料に上乗せして徴収されます。
ただし、40~64歳でも以下の人は対象外です。
39歳以下の人は介護保険の対象外です。制度を利用できない代わりに、保険料の支払いもありません。
もし、病気やケガなどで介護を必要とする場合には、医療保険制度や障害福祉のサービスを利用することになります。
介護保険の加入対象者に年齢制限があるのはなぜかな?
65歳以上は高齢者と呼ばれる年代であることから、年齢的に介護が必要になりやすいと想像できます。
ではなぜ40歳から64歳の人も対象なのか、厚生労働省の記述によると、その理由はふたつあります。
40歳未満の人は、本人はもちろん親もまだ介護を必要とする世代ではないことが多いため、40歳以上が介護保険制度の対象となっているのです。
要介護認定の受け方を簡単に解説するっポ。
介護保険サービスの利用を開始するためには、要介護認定を受ける必要があります。
まずは市区町村の窓口で相談し、要介護・要支援認定申請書に記入しましょう。
申請は本人もしくは家族がしますが、地域包括支援センターやケアマネジャーなどによる代行申請も可能です。
書類を提出してから数日すると、認定調査の日程調整となります。
自宅などに調査員が訪問し、さまざまな項目を確認して調査票を作成。その調査票と主治医の意見書をもとに、介護認定審査会にかけられ介護度が決定します。
要介護度が決定するまでの期間は、基本的に申請から30日以内です。ただし、申請状況などにより長引くこともあります。
要介護認定者数を年代別にした一覧だっポ。
40~64歳 | 65~69歳 | 70~74歳 | 75~79歳 | 80~84歳 | 85~89歳 | 90歳以上 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
要支援1 | 12 | 35 | 80 | 164 | 256 | 255 | 132 | 934 |
要支援2 | 20 | 39 | 80 | 145 | 229 | 260 | 172 | 944 |
要介護1 | 21 | 44 | 92 | 181 | 310 | 387 | 318 | 1,352 |
要介護2 | 27 | 43 | 85 | 144 | 230 | 306 | 321 | 1,156 |
要介護3 | 18 | 29 | 59 | 99 | 159 | 225 | 292 | 880 |
要介護4 | 15 | 25 | 50 | 86 | 139 | 202 | 301 | 818 |
要介護5 | 16 | 23 | 43 | 68 | 104 | 144 | 205 | 602 |
合計 | 128 | 238 | 489 | 886 | 1,427 | 1,779 | 1,741 | 6,686 |
*令和元年度 介護保険事業状況報告(年報)(厚生労働省)より
要支援・要介護認定者は65歳以上70歳未満がもっとも少なく(65歳未満除く)、年齢が上がるにつれてその人数も増加していきます。
80代後半でもっとも多くなり、90歳以上になると若干少なくなるといった結果です。
認定された介護度は、どの年代でもおおむね要介護1もしくは2が上位を占めています。
90歳以上で要介護4が3位となっているのは、これまでも介護サービスを受けてきた人の心身状態が悪化し、介護の必要度合いが上がったと考えてよいでしょう。
介護保険制度は、高齢になり介護を必要とする人を社会全体で支えるための制度です。そのため、老化に起因する病気にかかりやすく、自らが家族の介護に直面する可能性が高い40歳以上が対象となっています。
将来の介護に備えて、早いうちから介護保険制度について理解しておきましょう。
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