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【事例付き】要介護3とはどんな状態?限度額もまとめて解説

【事例付き】要介護3とはどんな状態?限度額もまとめて解説【事例付き】要介護3とはどんな状態?限度額もまとめて解説

要介護3とはどんな状態?

はーとん

元介護認定調査員が要介護3について教えてくれるっポ。

父

具体的に、要介護3とはどんな状態なのかな?

要介護3とは、日常生活で常時誰かの支援や見守りを必要とする状態です。
具体的には、要介護3とは以下のような状態です。

  • 身だしなみや部屋の掃除など身のまわりのことが一人ではできない
  • 立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作が一人ではできない
  • 歩行や両足立位などが不安定で歩行器や車椅子を使用している
  • 排泄や入浴などが一人では行えず見守りや支援が必要
  • 認知症による徘徊・誤食・不潔行為など、重度の周辺症状があり目が離せない

このように、生活全般において介護者が支援しなければ生活が成り立たない状態が要介護3です。

しかし、すべての行動に介護を必要とするのではなく、一部は自分で行えたり、見守りや少しの介助があればできることもあります。

また、認知症の進行に伴うさまざまな症状によって介護の手間が多くかかっている場合にも、要介護3の判定が出るケースがあります。

特に、身体機能は良いものの理解力や判断力の低下が著しく一人にしておけない状態だと、要介護3以上の判定となることが多いでしょう。

要介護3の主な原因って?

父

病気とか認知症とかいろいろあるんだろうけど、要介護3になる原因ってなんだろう?

はーとん

厚生労働省のデータを参考にして確認するっポ。

要介護状態になる原因は人によってさまざまですが、介護が必要となった主な原因についてまとめた厚労省の調査結果があります。

要介護3に認定された人が「介護が必要になった原因」は、認知症が約27%、ついで脳血管疾患(脳卒中)が約24%、そして骨折・転倒が約12%です。

介護が必要になった主な原因(要介護3)
第1位 認知症
第2位 脳血管疾患(脳卒中) 
第3位 高齢による衰弱

*厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概況」より作成

認知症は要介護1~3の原因疾患の第1位。認知症状が見られると要介護に認定されるケースが多いといえます。

認知症を患う人は2012年の統計によると462万人で、65歳以上の7人に1人が認知症でした。それが2025年には5人に1人が認知症になると見込まれています。
このことからも、今後ますます認知症によって要介護状態となる人の割合が増えるのは間違いないといえるでしょう。

第2位の脳血管疾患は寝たきりの原因にもなりやすく、発症後に何らかの後遺症が残る確率が高い病気です。そのため、ある程度の回復はしても生活面で支援を必要とする人も少なくありません。
そのような背景から、要介護3の原因となっていると考えられるでしょう。

介護認定調査員が知る、要介護3と認定された事例

はーとん

どんな人が要介護3と判定されたのか、元介護認定調査員が2つの事例を教えてくれるよ。

父

事例がわかると想像しやすいね。

ここでは、要介護3と判定された人の状態を2事例紹介します。

ただし、要介護認定はさまざまな項目や視点から要介護度を判定するため、同じような状態であっても必ずしも要介護3に認定されるとは限りませんので、ご注意ください。

事例1 日常的に身体介護が必要なAさん

脳梗塞を発症後、入院とリハビリを経て自宅で生活している75歳のAさんは、妻と二人暮らし。

歩行はできないものの、車椅子に乗れば一人で移動が可能です。
立ち上がり時にふらつくことがあるため、車椅子に乗る際には妻が見守り、いざというときに支えられるようにしています。

排泄面ではトイレでの転倒が多いため、自室にポータブルトイレを設置。ズボンや紙パンツはお尻の半分までしか自分で引き上げられないAさんの代わりに、妻が毎回ズボンの引き上げを行っています。

高齢の妻の介護負担を減らすために介護サービスも利用しています。
妻には入浴介助が難しいので、入浴目的で週3回デイサービスを利用。また妻の負担軽減のために、月1回はショートステイを使っています。

脳梗塞の後遺症により言葉が聞き取りにくい面はあるものの、意思疎通は可能で物忘れも年相応、薬などの管理もしっかりできています。
ただし、お金の管理や食事の準備などは一人では行えず、妻に任せている状態です。

事例2 認知症による周辺症状で目が離せないBさん

数年前にアルツハイマー型認知症の診断を受けたBさんは、長男一家と同居。
一緒に住んでいる家族のことはかろうじてわかるものの、近所に住む二男が顔を出しても誰かわかりません。

歯磨き粉で顔を洗ってしまったり、まるで誰かいるかのような独りごとがあったりします。家の中でのふらふらとした徘徊も多く、外に出ないよう目が離せない状態です。

週4回デイサービスを利用していますが、帰宅願望が強く不穏状態になることも多いため、職員が常に付き添っています。

家族の介護負担は非常に大きく、要介護3の認定をきっかけに施設入所を検討している段階です。
しかし本人はまだ施設に入所する気はなく、老人ホームの話になると興奮してしまい、話は進んでいません。

要介護3で受けられる介護保険サービスは?

はーとん

要介護3に認定されたらどんな介護サービスを利用できるのかな?

父

要介護3は介護の必要性が高そうだから、あんまり制限がないといいなあ。

介護認定で要介護3の判定を受けた場合、介護保険で受けられるサービスは在宅介護サービス、施設介護サービス問わず、すべての利用が可能です。
特別養護老人ホームも原則要介護3以上が入所条件となっています。

ただし、福祉用具貸与(レンタル)のうち排便機能を有する自動排泄処理装置は、要介護4以上が対象となっているため、原則要介護3ではレンタルできません。注意しましょう。

自宅に来てくれる介護サービス

  • 訪問介護
  • 訪問入浴 
  • 訪問看護 
  • 訪問リハビリ
  • 夜間対応型訪問介護 
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 

施設に通う介護サービス

  • デイサービス(通所介護)
  • デイケア(通所リハビリ)

短期間の宿泊する介護サービス

  • ショートステイ(短期入所生活介護/短期入所療養介護)

訪問・通い・宿泊を組み合わせる介護サービス

  • 小規模多機能型居宅介護
  • 看護小規模多機能型居宅介護

福祉用具関連のサービス

  • 福祉用具貸与 
  • 特定福祉用具販売

施設入居のサービス

  • 特別養護老人ホーム(特養)
  • 介護老人保健施設(老健)
  • 特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホーム等)
  • 介護医療院
  • グループホーム

利用できる金額は?要介護3の支給限度額

はーとん

介護保険サービスの利用には支給限度額があるっポ。
要介護3の上限額をチェックしてね。

父

お金のことは大事だからしっかり確認しておかないと!

要介護3で利用できる居宅介護サービスの上限額は270,480円です。
この上限額以内であれば、必要となるサービスを組み合わせて利用できます。

なお、利用者が実際に負担する自己負担額は、収入に応じて1~3割。
具体的には、上限額の1割負担が27,048円、2割負担54,096円、3割負担81,144円です。

上限額の270,480円を超えるサービスを利用した場合は、超えた分の利用料を全額自己負担しなければなりません。

要介護度ごとの区分支給限度額
要介護度ごとの区分支給限度額一覧表
*1割負担、1単位を10円で計算

上記は1単位を10円で計算した金額です。地域によって異なることがあるので、詳しくはケアマネジャーや市区町村でご確認ください。

要介護3で老人ホームを利用するなら

はーとん

要介護3程度になると、老人ホームを検討する人も多くなるっポ。

父

在宅介護を続けるのも難しそうな状態だもんね……。一人暮らしだと特に大変そうだよ。

要介護3は、日常生活全般において介護を必要とする状態です。
在宅介護では24時間体制で介護をする人も多く、定期的にショートステイを利用するケースもあります。

そのため、要介護3の認定を受けた人は、有料老人ホームやグループホームなどに入居することも少なくありません。

また、施設のなかでも特別養護老人ホームは、入所要件が原則要介護3以上のため、要介護3の判定をきっかけに入所の申し込みをする例も多いでしょう。

一方、サービス付き高齢者向け住宅や軽費老人ホームなど、自立度の高い高齢者を対象とした施設だと、要介護3の状態に職員が対応できないケースも多く、退去や転去を求められる可能性もあります。

まとめ

要介護3の状態とは、日常生活全般で支援が必要な状態です。身体介護は、常時の見守りや付き添い、一部介助が必要となります。

また、認知症の高齢者は、昼夜逆転、徘徊、不潔行為などによって目の離せない状況だと、要介護3に該当することが多いでしょう。

要介護3では多くの介護の手間が必要なため、ほとんどの介護サービスを利用できます。特別養護老人ホームへの入所も検討可能です。

要介護3は家族の介護負担も大きくなりやすい状態です。担当ケアマネジャーと相談して、無理のない介護をしましょう。

はーとん

まだ介護認定を受けていない人は、以下の記事を参考にするっポ!
要介護認定を受けるには?申請からサービス開始までの流れ

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著者:中村 楓

著者の画像

著者:中村 楓

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介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級、認知症介護実践者研修修了
現役介護福祉士の介護コラムニスト。介護療養型医療施設(現:介護医療院)を含む病院やデイケア、デイサービスなど、入所から在宅までさまざまな現場を経験。介護職員や介護認定調査員の経験を経て、現在は相談員として勤務。介護の未来を明るくしたいという想いから、現場感あふれる記事を誰にでもわかる表現で執筆中。

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