厚生労働省は24日の社会保障審議会・障害者部会で、障害福祉サービスの適切な供給量の確保、地域差の是正を議題として取り上げた。【Joint編集部】
今後の制度改正に向けた論点として、自治体による事業所の総量規制の拡大を提示。足元で供給量の伸びが大きい共同生活援助(グループホーム)を、新たに対象サービスに加えることの是非を検討していく意向を示した。
障害福祉サービスの総量規制は、地域のニーズと比べてサービスが過剰に供給されないようにするための仕組み。現行では生活介護、就労継続支援A型・B型、児童発達支援、放課後等デイサービスなどが対象で、グループホームは含まれていない。
厚労省は今回の審議会で、グループホームの供給量が見込み量を上回っている都道府県が多いとのデータを提示。総量規制の対象サービスにグループホームを加えた方が良いという自治体の声として、「需給バランスが悪い」「サービスの質を確保するためにも何らかの規制が必要」などを紹介した。
その後のディスカッションでは、グループホームを総量規制の対象サービスに加えること自体に強く反対する委員は少なかった。
一方で、重度の障害者が安心して入居し続けられるグループホームを増やすなど、必要な人が必要なサービスを使える環境を整備することがより重要だと訴える声が続出。事業所指定の基準・プロセスの見直し、効果的な運営指導の徹底なども含め、サービスの質の担保により力を注ぐよう求める意見も相次いだ。
また、「重度などサービスの供給量が足りていない障害種別の利用者を受け入れるグループホームは、総量規制の対象から外すべき」「見込み量の推計をより精緻にすることが先ではないか」「グループホームは有効な社会資源。総量規制は現段階では慎重に検討すべき」と主張する委員もいた。
今後、厚労省は具体策をめぐる議論をさらに深めていく方針。運営主体の営利法人の参入が増えているなか、サービスの適切な量とともに質をどう担保するかが重要な課題となりそうだ。
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