要介護5は、要介護認定のなかでもっとも重い状態だっポ。
寝たきりとか……?いったいどんな状態だと要介護5なのかしら?
要介護5に認定される状態は、身だしなみや清掃などの身の回りのことだけでなく、食事や排泄、立ち上がりや歩行など、基本的な動作もほとんど自分ではできません。
理解力や判断力も非常に乏しく、昼夜問わず目を離せない状態や、寝たきり状態に近い人など、介護なしでは日常生活を送れない人が要介護5に該当します。
意識障害などでコミュニケーションをとることが難しい人も多く、もっとも手厚い介護を必要とする状態といえるでしょう。
要介護5に認定された原因については、厚生労働省のデータがあるっポ。
両親に何かあったら心配だし、不安だから知っておきたいわ。
2020年10月時点の暫定値で、要介護と認定された人は全国で約488万4千人(要支援除く)、そのなかで要介護5に認定された人は約59万8千人です。
男性約16万3千人に対して、女性は約43万5千人。女性は男性の3倍近いですが、これは女性のほうが平均寿命が長いことも影響しているのでしょう。
さて、これらの人たちが要介護に認定された主な原因は何なのでしょうか。
要介護認定では、介護の手間がどれくらいかかるかによって介護度が判定されるため、疾患の種類によって介護度が決まることはありません。
しかし、脳血管障害などでは寝たきりになるリスクも高いことから、要介護度5の原因となる傾向にあることが厚労省の調査によって分かっています。
実際に、要介護5の判定が出ている人の原因の第1位は脳血管疾患(脳卒中)です。
第2位は認知症で、特にアルツハイマー型認知症の場合には、末期になると寝たきりになる人も多いことが背景にあると考えられます。
第3位は高齢による衰弱によるものです。
また、要支援1から要介護4の第3位で多数を占めいているのが骨折・転倒です。高齢者の転倒でよくみられる大腿骨近位部骨折では、安静にしている期間が長くなるほど寝たきりになるリスクが高くなってしまいます。
高齢者の場合は、治癒するまでに時間がかかることもあり、骨折をきっかけに気力が落ちて心身ともに機能が低下してしまう人も少なくありません。
第1位 | 脳血管疾患(脳卒中) |
---|---|
第2位 | 認知症 |
第3位 | 高齢による衰弱 |
*厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概況」より作成
この記事の著者は元介護認定調査員なんだっポ。いくつかのケースを振り返ってもらうね。
実際に要介護5に認定されたケースは知っておきたいわね。
要介護5と認定される人の多くは、寝たきりの生活で意思疎通が難しい人です。新規申請で要介護5の判定をされる人は多くありません。
ただし、脳血管障害のなかでもくも膜下出血で意識障害がある人の場合には、新規申請で要介護5となることがあります。
また、進行性疾患などにより、徐々に体が動かなくなって寝たきりになった人や、アルツハイマー型認知症の末期で寝たきり状態にある人が要介護5の判定を受けるケースも多いでしょう。
しかし、寝たきりの人が必ずしも要介護5の判定が出るというわけではなく、車椅子で生活している人でも要介護5になることもあります。
また、要介護5の判定が出ている人の多くは、病院や施設などで生活しています。なぜなら、要介護5は生活全般において介護を必要とする状態であるため、自宅での生活は難しい人がほとんどだからです。
酸素療法や経管栄養を必要とする場合もあり、医療ケアが必要な人が多いのも要介護5の特徴といえるでしょう。
要介護に認定されれば介護保険の利用が可能だけど、要介護5ではどのくらいの金額を使えるのかな?
そうね。お金のことは重要だわ!
要介護に認定されると介護保険サービスの利用が可能ですが、1~3割の自己負担で介護サービスを利用できる限度額は要介護度ごとに決まっています。
要介護度ごとの区分支給限度額
*1割負担、1単位を10円で計算
要介護認定でもっとも重い状態である要介護5では、支給限度額も高くなります。
要介護5の支給限度額は36万2,170円で、この基準内で介護サービスを利用すれば自己負担額は1~3割で済みます。つまり、1割負担であれば3万6,217円が限度額です。
ただし、基準額を超えた費用は全額自己負担となるので、利用額には注意が必要でしょう。
また、これは1単位を10円で計算した金額です。地域によって異なることがあるので、詳しくはケアマネジャーや市区町村でご確認ください。施設入居の場合も上記の金額とは異なります。
要介護5はもっとも介護が必要な状態だから、いろんなサービスを利用できるっポ。
施設と自宅……どちらで介護をするべきか悩むわね。
要介護5で受けられるサービスには、自宅などで生活する人を対象とした居宅サービスと、施設に入所してサービスを受ける施設サービスの2種類があります。
要介護5ではすべての介護保険サービスの利用が可能です。
要介護5の人が利用できる居宅サービスには、主に以下のものがあります。
夜間に対応が必要な人や1日に数回の訪問が必要な状況にある人は、夜の時間帯に利用できる訪問介護夜間対応型訪問介護や、24時間の利用が可能な定期巡回・随時訪問型介護看護を選択しているケースもあります。
また、要介護5で在宅介護のサービスを利用する多くの人は、毎日誰かが見守れるように1週間を通じて複数のサービスを組み合わせて利用しています。
さらに、在宅介護で利用できるサービスとして、福祉用具の貸与(レンタル)や購入、住宅改修(介護リフォーム)があります。
このうち福祉用具のレンタルには要介護度によって条件外になる品目がありますが、要介護5ではすべての品目のレンタルが可能です。
施設入居であれば、要介護5は以下の施設で介護保険サービスを利用できます。
要介護5はもっとも重い要介護度のため、施設に入所している人も少なくありません。
要介護5では、原則要介護3以上でしか入所できない特別養護老人ホームへ入ることができます。
要介護5の人は早急に介護を必要としていることも多いため、入居待ちがある施設でも優先順位が上がりやすく、他の介護度の人に比べると入所しやすいといえるでしょう。
要介護5の状態とは、自分では体を動かせない人やコミュニケーションが難しく、生活全般において介護を必要とする状態です。
1日を通して家族や介護職員などからの介護を必要としており、必要となる介護量も大きくなります。そのため支給限度額も高く設定され、すべての介護保険サービスが使えます。
24時間体制で介護を必要とすることから施設や病院で生活する人が多いものの、さまざまな介護サービスを組み合わせて利用することにより、自宅で生活する人も少なくありません。
介護する人が疲弊しないための上手なサービス利用が、要介護5の介護のポイントといえるでしょう。
まだ要介護認定を受けていないなら、まずは申請からはじめるっポ。
詳しくは「要介護認定の受け方と流れ」の記事を参考にしてね。
介護度別の詳しい解説は以下の記事をご覧ください。
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