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新型コロナ第2波・第3波に備える!デイサービス・介護施設がやるべき対策

新型コロナ第2波・第3波に備える!デイサービス・介護施設がやるべき対策新型コロナ第2波・第3波に備える!デイサービス・介護施設がやるべき対策

5月25日、緊急事態宣言が全面的に解除され、本日6月19日には都道府県をまたいでの移動自粛も解除されました。現在は、経済活動を再開させながら新型コロナウイルス感染の広がりを観察するフェーズに移行していますが、今後、第2波、第3波は必ず来ると言われています。感染者数がこれまでよりも増加すると懸念する人も少なくありません。

第1波では、介護事業を運営する上でさまざまな課題が浮き彫りになりました。デイサービスや老人ホームなどの介護事業者にいま必要なのは、その課題のひとつひとつを分析し、早急に可能な対策を打って第2波に備えることです。
国や保険者の対応を待つのではなく、個々の事業者で自己防衛ができる方法を模索し、実行できる体制を整えるのが急務といえるでしょう。

新型コロナで介護事業者の93%に経営ダメージ?

新型コロナウイルス第1波では、介護事業者も大きなダメージを受けました。
一般社団法人全国介護事業者連盟の調査(*1)によると、施設や通所介護、訪問介護事業者の49%が経営状況に「影響を受けている」と回答しており、「影響を受ける可能性がある」の44%と合わせると、実に93%が経営悪化を懸念しています。

第1波と同様の対応をしていては、介護事業者は経営に大きなリスクを抱えたままです。したがって、第2波に備えた自主防衛の対策が必要不可欠といえます。

緊急事態宣言で見えた介護事業所の課題とは

コロナ渦のいま、クラスターが発生していない介護事業所からは以下のような課題をよく耳にします。

  1. 子供の学校の休校措置により、介護職員の休職を余儀なくされた
  2. マスクやアルコールなどの衛生物品の不足と費用の増大
  3. 自主的な営業の縮小や利用者の利用控えによる売り上げの減少
  4. 代替の訪問サービスをうまく運用できなかった
  5. 利用者のADL、QOLの低下

しかし、それぞれにもっと多くの課題があるはずだと思います。第2波の到来に備えて、その内容をしっかりと洗い出し、対策を打っておかなければなりません。

第2波に向けたデイサービス・介護施設の新型コロナ対策

第2波では、デイサービスなどへの休業要請がどうなるかはわかりません。ですがもし営業を続ければ、3密になりやすいデイサービスや介護施設では再びクラスターが発生する可能性があります。基礎疾患を持つ高齢者が感染すると重症化しやすいことからも対策は必須です。
クラスター防止のためには、手洗いや消毒の徹底、介護施設での面会制限などが継続して必要になるでしょう。

マスクやアルコール消毒液、防護服の不足も大きな問題です。現在では少しずつ衛生物品を入手しやすくなっているため、計画的に備蓄を始めている事業所もあります。いまできる対策を自主的に進め、第2波に備えることも大事といえます。

また、コロナウイルス感染者が発生した介護施設では、利用者を入院させることが困難な状況に陥った施設もありました。もしまた同じ状況になったらどのようにケアをしていけばよいのか、知見をしっかりと共有して対策を講じておかなければなりません。

厚労省は「介護老人保健施設等における感染拡大防止のための留意点について」(*2)において、新型コロナウイルス感染で入院調整中の感染者への対応を具体的に示しています。
その内容に基づいて、自施設での生活空間等の区分け(ゾーニング)をどのようにするのかを話し合い、防護具の着脱の方法、感染性廃棄物の廃棄方法などのシミュレーショをしておくと、もしものときにも落ち着いて行動することが可能になります。

また職員に感染者が出る可能性もあり、人手不足も大きな問題です。感染による出勤停止や子どもが通う学校の休校に伴って人手不足が加速すれば、利用者への十分なケアの提供が困難になります。
人手不足を想定した対策を、いまのうちに模索しておくことが必要です。

利用者にも事業者にもメリット、オンライン介護への可能性

新しいサービス提供のかたちとして、興味深い取り組みをしている企業があります。現在では実証実験の段階ですが、その企業では将来的な「オンライン介護」の実現を目指しているそうです。
実証実験では、事業者と高齢者がオンラインでコミュニケーションをとったり、リハビリの指導をしたりと、高齢者からは「これからもまたやりたい」などのポジティブな意見が聞かれました。

介護度や認知症の有無、同居家族の有無などの条件によっては、高齢者がオンラインを使いこなすことも可能でしょう。
コロナ渦の中ではオンラインに大きな可能性があります。事業者は自宅にいる利用者とつながれる、利用者同士もコミュニケーションがとれる、機能訓練も提供できるなど、オンラインは双方にとって非常に有益なサービスです。
今後、オンラインデイサービスの実現が、新型コロナウイルスにより窮地に追い込まれているデイサービスの起爆剤になるかもしれません。

おわりに

近年の介護報酬改定では実質報酬がマイナス改定であることも多く、国は介護事業を軽んじていると感じていた介護関係者も多いかもしれません。しかし新型コロナで受けた影響に対して、厚生労働省は人員体制や介護報酬の請求に柔軟な対応をしました。これにより、なんとか介護事業の経営を続けられている事業者も多いのではないでしょうか。
ただし、いまぎりぎりのところで持ちこたえている事業所は、第2波への対策を講じておかないと、事業の継続が危ぶまれることにもなりかねません。

そして、経営への影響もさることながら、介護職員等には大きな身体的、肉体的な負担がかかっています。海外に比べてクラスター数や死亡者数を最小限にとどめられたのは、大変な思いをしながら現場の第一線を支えた職員のおかげでしょう。心より敬意を表したいと思います。

介護事業者と新型コロナウイルスとの闘いは、まだ終わりが見えこず課題もあります。ですが、受け身ではなくしっかりと準備をして、第2波、第3波に打ち勝っていきましょう。

<参考>
*1 新型コロナウイルス感染症に係る経営状況への影響について『緊急調査』集計結果(一般社団法人全国介護事業者連盟)
*2 介護老人保健施設等における感染拡大防止のための留意点について(厚生労働省)

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著者:寺岡 純子

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著者:寺岡 純子

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合同会社カサージュ代表
主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)、看護師、福祉住環境コーディネーター2級、終活カウンセラー1級
8年間の臨床看護を経て、介護保険の開始に伴い介護業界へ転向。全国展開する大手介護事業者で部長職としてさまざまな介護サービスの運営・人材育成を経験する。医療・介護の幅広い知識と経験を多くの介護事業者に届けたいとの思いから独立。現場・事業者・利用者の視点に立ち、介護に特化した研修や事業者・介護者のサポートを行っている。

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