要介護1・2の高齢者に対する訪問介護と通所介護を市町村の総合事業に移管する案について、厚生労働省は2027年度に控える次の制度改正での実施を見送る方針を固めた。【Joint編集部】
15日に開催した審議会(社会保障審議会・介護保険部会)で、「引き続き、包括的に検討を行うこととしてはどうか」と提案。当面は議論を深める段階にとどめる意向を示し、委員から大筋で了承を得た。
地域の事業所の経営状況が一段と悪化したり、サービスの質が低下したりする懸念が強いため、現場の関係者が足並みを揃えて強く反対していた経緯がある。これまでの審議会でも、「在宅ケアが著しく後退する」「利用者の状態像が悪化し、結果的に費用の増大につながる」といった慎重論が相次いでいた。
要介護1・2の高齢者の訪問と通所を総合事業に移す案は、限られたリソースを重度者へ振り向ける「給付の重点化・効率化」により、膨張する介護費を抑制することが狙い。財務省などが繰り返し具体化を求めてきた定番の改革メニューだが、介護現場の実情を踏まえた業界の訴えが、今回も財政当局の論理を跳ね返した形となった。
もっとも、議論の火種が完全に消えたわけではない。15日の会合では、「第11期(2030年から)に向けて検討を進めるべき」との意見も出た。審議会の取りまとめは「継続検討」となり、将来的な再燃の余地は残される見通しだ。
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