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介護認定調査の当日が不安。調査項目の内容や注意点を知りたいです

介護認定調査の当日が不安。調査項目の内容や注意点を知りたいです介護認定調査の当日が不安。調査項目の内容や注意点を知りたいです
はーとん

初めての介護認定は不安かもしれないっポ。
当日の調査にはどんな内容の項目があるのか、介護認定調査員の経験を持つ著者が解説するよ。

相談:初めての介護認定。どんな調査項目があるのか不安です

<よしこさん(仮名)60歳>
85歳の父は母と二人暮らしです。父は1カ月前に肺炎で入院して先週退院したのですが、入院生活で足腰が弱ってふらつくことが多くなりました。お風呂で浴槽をまたぐのも大変なので、母が手伝っている状態です。

しかし82歳の母には負担が大きく、父は介護認定を受けることになりました。初めての介護認定で不安なので、スムーズに対応できるよう事前に情報を知りたいです。
介護認定にはどんな調査項目があるのでしょうか。

はーとん

介護認定には大きく分けて6つの調査項目があるっポ。

介護認定調査でわかること・できること

介護保険サービスを利用したいと思ったら、まずお住まいの市区町村に要介護申請を行いますが、その申請のあとに行われるのが「介護認定調査」です。

介護認定調査では、介護の手間がどれくらいかかっているのかについて、質問や動作を通して確認します。
調査の結果は、コンピューターによる一次判定、介護認定審査会による二次判定を経て、要支援1・2、要介護1~5の介護度が決まる仕組みです。

介護認定調査の結果、要支援もしくは要介護状態と認められると、介護予防サービス、介護サービスの利用ができます。

介護サービスには、自宅で受けられる訪問サービス、施設等に通う通所サービス、施設に入所する施設サービスなどがあります。
福祉用具のレンタルや購入、住宅改修費の一部を負担してくれるサービスも利用可能です。

希望するサービスによっては、介護度によって使えなかったり利用料に違いがあったりするので注意しましょう。

介護度の違いや利用できるサービスについて詳しくはこちら
要支援1、2と要介護1~5の違いとは?基準や上限額がよくわかる!

介護認定調査で質問される主な調査項目

介護認定調査では、実際の動作を見る項目と、聞き取りで内容を確認される調査項目がありますが、大きく分けると以下の6つとなります。

身体機能・起居動作について

この項目では、高齢者が生活をしていく上で必要とされる基本的な生活動作が評価されます。
具体的には、以下に関する動きを実際にしてもらい、調査員が確認します。

  • 四肢の麻痺や拘縮
  • 寝返りや起き上がり、立ち上がり
  • 座位姿勢や立位(両足および片足)
  • 歩行
  • 視力および聴力

また、お風呂での洗身と爪切りができるかどうかは、聞き取りにて調査されます。

生活機能について

この項目では、実際に日常生活で行う動作について質問されます。
具体的には、移乗や移動、嚥下の状況や食事介助、排泄や整容面、着替えにどれくらい介助や手伝いを要するかについて、頻度や程度を聞かれます。
また、外出の頻度も聞かれるので、大まかに把握しておきましょう。

認知機能について

この項目では、意思疎通や短期記憶、名前や生年月日が言えるかなど、認知機能について質問されます。また、徘徊や外出して戻れないことがあるかについても聞かれます。

本人に認知症がある場合、普段は無理でも調査時には適切に答えることがあります。もし普段と調査時の様子が違うようであれば、調査員に伝えるようにしましょう。

精神・行動障害について

この項目では、精神行動や介護への抵抗などについて問われます。
例えば、被害的な発言やありえない話をする、昼夜逆転したり自分勝手に行動したりして家族が手を焼いている、大声を出すなど介護に抵抗して困る、などが該当します。
介護の手間が一番伝わりやすい項目でもあるので、普段困っていることを具体的に伝えるとよいでしょう。

社会生活への適応について

この項目では、社会生活を送る能力や社会生活の適応などについて問われます。
具体的には、薬の内服や金銭管理、買い物、簡単な調理にどれくらいの介助や手助けが必要か、日常での意思決定が行えるか、集団への不適応があるかについて、調査が行われます。

特別な医療について

調査日から数えて過去14日間に、医師もしくは医師の指示に基づいて看護師等の医療スタッフから次の医療行為を継続的に受けている場合は、介護の手間が掛かっていると判定されます。

  • 点滴の管理
  • 中心静脈栄養
  • 透析
  • ストーマ(人工肛門)の処置
  • 酸素療法
  • レスピレーター(人工呼吸器)
  • 気管切開の処置
  • 疼痛の看護
  • 経管栄養
  • モニター測定(血圧、心拍、酸素飽和度など)
  • じょくそうの処置
  • カテーテル(コンドームカテーテル、留置カテーテル、ウロストーマなど)

ただし、急性疾患によるものや調査時に治療が終了しているものについては、対象となりません。

この項目では、誰が医療行為を実施しているか、頻度、継続性、該当する医療行為を必要とする理由を聞かれます。
特に、「点滴の管理」や「疼痛の看護」では、疾患名や時期を問われることが多いでしょう。

調査員は介護認定調査でどんなところを見ている?

認定調査員は実際の調査でどんなところを見ているのでしょうか。
実は、認定調査員は、動作確認や質問をしている間だけ本人の様子を見ているのではありません。訪問した瞬間から退出するまで、調査項目についてあらゆる場面で確認しているのです。

例えば、調査時に本人が緊張してしまい、いつもの動きができないことがあります。しかし、別の会話をしているときなどに出た無意識の動きを見れば、いつもの様子がわかります。

また、認知症の人の場合、質問時にはしっかりしていても、調査が続くにつれてつじつまが合わなくなることがあります。そういった発言の違和感なども、調査員は確認しているのです。

家族が同席していれば、家族の様子も見ることも少なくありません。
できないことを本人が「できる」と言ったり、普段と調査時の様子が違ったりすると、家族は表情や反応に出てしまうことも多いのです。

認定調査員は、調査全体を通して本人の普段の様子を判断しています。
ですから、質問の瞬間や動作確認時に普段の様子と違っていても、きちんと伝わらなかったと不安に思う必要はありません。

それでも心配な場合は、認定調査員が帰る直前に伝えたりメモを渡したりするなどして、普段の様子を知ってもらうとよいでしょう。

介護認定調査の当日に心掛けること・注意点

介護認定調査の当日に心掛けるべきことや注意点について、詳しく見ていきましょう。

質問には正直に答える

調査員からの質問には、正直に答えるようにしましょう。
よく見せたいと控えめに答えたり、自立と判定されないよう話を膨らませて答えたりしてはいけません。

正しい介護認定が出ないことがありますし、調査内容に不備があると再調査になり、介護度が出るまでに時間がかかってしまいます。

困っていることをちゃんと伝える

介護認定調査では、「介護にどれくらい手間がかかっているか」を見ます。
調査対象である本人や家族がどれくらい困っているのか、どんなことに困っているかを具体的に伝えてください。
たとえ調査内容に関係ないかもしれない内容であっても、困っている様子を知ってもらうきっかけになるでしょう。

できるだけ家族も同席する

介護認定調査にかかる時間は約1時間です。この短い時間ですべてを伝えることは難しいので、できるだけ家族が同席するようにしましょう。

特に認知症の場合は、本人ができないにもかかわらず「できる」と答えてしまうケースや、調査のときだけ問題ないように見えてしまうというケースが多くあります。

どうしても同席できなければ、電話での聞き取りをお願いしましょう。

認知症の場合はメモを用意する

本人が認知症の場合は、同席して本当のことを伝えようとすると、否定したり怒ったりすることがあります。
本人の調査が終わったあとで調査員と家族は話せますが、本人が警戒して本来の状況を伝える機会を逃すことも考えられます。

普段の様子をメモにしておけば、いざというときに渡してきちんと状況を伝えられるでしょう。

認定調査が終わってからの流れ

認定調査員による調査が終わると、コンピューターによる一次判定が行われ、その判定をもとに保健医療福祉の学識経験者からなる介護認定審査会が開かれます。

その結果、介護や支援が必要と認められた場合は、要支援度もしくは要介護度が決まります。
要支援なら1もしくは2、要介護度は1~5のいずれかです。認められない場合は非該当となります。

これらの結果は、介護保険被保険者証に記載されたうえで自宅に郵送されます。調査から結果が出るまでの期間は、原則として1カ月です。

まとめ

介護認定調査では、本人の心身状態を把握する質問や、介護の手間がどれくらいかかるのかの調査がされます。
適切な状態を把握してもらうためには、質問に正直に答えることが大切です。
また、家族が同席した方が普段の状態を伝えられるので、調査にはできる限り同席するようにしましょう。

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著者:中村 楓

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著者:中村 楓

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介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級、認知症介護実践者研修修了
現役介護福祉士の介護コラムニスト。介護療養型医療施設(現:介護医療院)を含む病院やデイケア、デイサービスなど、入所から在宅までさまざまな現場を経験。介護職員や介護認定調査員の経験を経て、現在は相談員として勤務。介護の未来を明るくしたいという想いから、現場感あふれる記事を誰にでもわかる表現で執筆中。

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