趣味の家庭菜園でミニトマトを育て、ご近所におすそ分けできるほどの量を収穫している訪問介護の利用者さん。
ところがヘルパーに渡した買い物メモには「ミニトマト」の文字が……。不思議に思ったヘルパーが理由を尋ねると、思わず納得の答えが返ってきました。
こちらの訪問介護の利用者さんは98歳。この方がおっしゃっていました。
「高齢になってから気づくことがある。それは誰かと関わっていないと生きていけないということ。一人暮らしは簡単にできるけれど、寂しさには勝てない。誰かと話したり、挨拶をしたりというコミュニケーションがないと寂しさに耐えられない」
確かに、体が弱ってから地域の社会活動に参加できなくなり、うつ病を発症した方を知っています。また、半身麻痺になった方もうつになる方が多いように思います。
利用者さんが家庭菜園を始めたのは、お隣さんの一言がきっかけでした。
10年ほど前に旦那さんが亡くなったあと、しばらくすると体調が悪くなり入院。その後、無事に退院しますが、自宅に戻ってからも何だか元気がでません。2カ月の入院で足腰も弱っていました。
旦那さんが手入れしていた庭の畑は、草がぼうぼうで荒れていました。そんなとき、お隣さんから「野菜を育ててみたら?」と勧められたそうです。
「旦那さんは「しんどい」と言いながらも、立派なナスやキュウリを育ててよく分けてくれたんだよ。畑の手入れが大変だったら手伝うから、畑やってみない?」と言われたんだとか。
利用者さんは「正直イヤだったけど、やってみたら楽しかった」とおっしゃっていました。始めてみたら、お隣さんだけでなく、お向かいさんや町内会の友だち、ひ孫も手伝うようになったそうです。
「畑で一仕事したあとに、みんなでお茶したりご飯を食べるのが楽しい」と嬉しそうでした。
でも実はこの利用者さん、自家製ミニトマトは皮が固くて食べにくいんだそうです。入れ歯にしてからは、スーパーで売られている皮の柔らかいものだけ食べています。
それなのに毎年ミニトマトを育てている理由は、「実がたくさんなってより多くの友だちに分けられるから」、だそう。
人との関りを大切にしている利用者さん。今も元気に畑のお世話をしています。
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