「母親がデイサービスに行きたがらないので困っている」というお悩みにお答えします。
デイサービスを拒否する理由は人それぞれ違うため、丁寧に理由を探る必要があります。決して無理強いしてはいけません。
本記事では、ご本人がデイサービスに行きたがらない理由や対処法、接し方のコツなどを詳しく解説します。
<しんやさん(仮名)59歳>
85歳の母親は、要介護3でデイサービスを週3日利用しているのですが、最近デイサービスに行きたがらなくなりました。嫌がる理由はよくわかりません。
デイサービスに行かずヘルパーさんに来てもらったとしても、大半は一人きりで過ごすことになるので心配です。
母はなぜデイサービスに行きたくないのか教えてくれません。どのような理由が考えられますか? また、対処法はありますか?
高齢者がデイサービスに行きたがらない理由は、主に以下の5つが考えられます。
高齢者がデイサービスに行きたがらない理由のひとつに、新しい環境や人間関係への不安・戸惑いが挙げられます。
自宅で過ごす時間が多い高齢者は、慣れない場所で気を張ることに疲れを感じやすくなるものです。
とくに、長年仕事中心の生活を送ってきた男性の高齢者は、新しいコミュニティへの参加自体に不慣れなことも少なくありません。デイサービスに煩わしさや億劫さを感じ、「家にいたい」と思ってしまう方もいるでしょう。
そのため、人によっては馴染むまでに時間がかかり、拒否へとつながってしまいます。
一人暮らしの高齢者や認知症の方のなかには、夜眠れずに昼夜逆転の生活を送っている方もいます。決まった時間にデイサービスに行かなければならないのは、体力的・精神的にもつらいでしょう。
そのため、生活リズムが合わないことも、デイサービスを拒否する理由になり得ます。
自分のペースで過ごせないことが大きなストレスになり、「行きたくない」という拒否の気持ちが強くなってしまいます。
気の合わない人がいる、あるいは集団生活そのものへの抵抗感がある、という理由でデイサービスに行きたがらないケースもあります。
デイサービスには多くの高齢者が集まりますが、一人ひとりの性格、環境、習慣は異なるものです。そのため、本人にとって気が合わない人がいても何ら不思議ではありません。
ほかの利用者の言葉遣いや態度、認知症の方とのコミュニケーションの難しさから、煩わしさやストレスを感じ、「行きたくない」という拒否につながることがあります。
「人の世話になりたくない」という理由で、デイサービスに行きたがらない高齢者もいます。
昔から「人様の世話にならない」という考えを持つ方、または現役時代に仕事中心だった男性は、自尊心から介護される立場になることを嫌がることもあります。
ほかもに、入浴介助や清拭などの身体的な介助に抵抗を持つ方や、認知症の方が記憶力の低下を周囲に知られるのを恐れ、取り繕うためにデイサービスを嫌がるケースも少なくありません。
認知症の症状が原因でデイサービスを拒否するケースもあります。認知症の方は自分の置かれた状況を理解することが難しく、新しい環境に慣れるまでに時間を要します。
何のために行くのか、今いる場所がどこなのかがわからず、見慣れない場所や人々のなかで、強い不安や恐怖を感じて拒否反応を起こしてしまいます。
また、デイサービスで嫌なことがあったわけではなくても、記憶力の低下による漠然とした不安からデイサービスを拒んでしまうこともあります。
それでは、ご本人が「デイサービスに行きたくない」と拒否の態度を示したときには、どうすべきでしょうか。
さまざまな対処法と接し方を見ていきましょう。
ご本人がデイサービスを嫌がる場合は、まず担当のケアマネジャーに相談しましょう。ご本人の行きたがらない理由に応じて、対処法を一緒に考えてくれます。
また、ケアマネジャーを通じてデイサービスの生活相談員と話し合う時間を作ってもらい、ご本人の状況や気持ちを共有することも重要です。
第三者である専門職に間に入ってもらうことで、家族だけでは解決が難しかった問題もスムーズに進む可能性が高くなります。
ご本人の気持ちを上手に受け止めるためにも、まずは情報共有から始めましょう。
ご本人がデイサービスに行きたくない理由を多角的に探ることも重要です。
たとえば、「気の合わない人がいるから行きたくない」という方によくよく話を聞くと、本当は身体に不調があるのにそれを隠していた、というケースもあります。
真の理由がわからなければ、適切な解決策や接し方は見つけられません。行きたくない理由をそのまま受け取るだけでなく、言葉の裏にある身体的な不調や精神的な原因がないかを慎重に観察し、探ることも必要です。
デイサービスを嫌がる理由を丁寧に探ったら、その原因に合わせて対処しましょう。
たとえば、以下のような対策ができます。
ケアマネジャーやデイサービスの職員と連携し、ご本人が抱える不安や混乱を解消するための対策を検討・実施しましょう。
デイサービスを嫌がる方へは、前向きな気持ちになれる声かけを意識して接することが大切です。
「デイサービスに行かせる」ことだけを目的にした説得は本人の拒否感を強めてしまい、逆効果になりかねません。
デイサービスは楽しい場所、メリットがある場所だとポジティブに捉えてもらえるような言葉を選びましょう。
たとえば、ご本人の興味やメリットに焦点を当てた声かけが効果的です。家族の負担軽減ではなく、ご本人のためになることを伝えましょう。
| 声かけのおすすめフレーズ |
|---|
| ・「お母さんが好きな○○さんが待っているよ」 ・「リハビリで足腰が丈夫になるよ」 |
デイサービスに行きたがらない高齢者には、短時間の利用から慣れてもらうのも有効な対処法です。
新しい環境に慣れない方や、集団生活に抵抗感がある方は、まずは午前のみの参加にするなどして、少しずつ慣れてもらいます。
ご本人の気持ちを尊重して無理強いはせず、段階的に利用をすすめるとよいでしょう。
ご本人が新しい環境に慣れるまでは、家族が送迎を行うことも有効です。慣れない環境へひとりで入っていくことに、不安や抵抗感を抱く高齢者は少なくありません。
家族が送迎を担当することで、ご本人は安心感を得やすくなります。
ただし、サービス中の付き添いは規則でNGとしているデイサービスもあるため、どうしても必要な場合は事前に事業所へ相談しましょう。
デイサービスへの拒否が続くときは、ご本人の体調や気持ちに変化がないか注意深く見守り、ほかに理由がないか探りましょう。
いまのデイサービスが合わないときは、別のデイサービスに変更することもひとつの手です。デイサービスによって特徴が異なるため、サービスの内容や雰囲気がご本人に合いそうなところを探してみるとよいでしょう。
| 認知症対応型デイサービス | 少人数で手厚いケアやレクリエーションを提供し、不安や混乱の軽減に努めている。認知症の方が対象 |
|---|---|
| リハビリ特化型デイサービス | 個別のリハビリに重点を置き、トレーニングマシンなどを設置。身体機能の維持・向上を目指す方に適している リハビリ特化型デイサービスについて詳しくはこちら |
| 入浴特化型デイサービス | 入浴に特化。清潔保持を重視する方や、短時間の利用を希望する方に適している 入浴特化型デイサービスについて詳しくはこちら |
| 趣味・活動特化型デイサービス | 園芸、調理、音楽など特定の趣味や活動に特化。活動的に過ごしたい方や居場所を見つけたい方に人気 デイサービスの面白い取り組みについて詳しくはこちら |
デイサービスを変更するときはケアマネジャーに相談し、本人の興味や状態に合ったサービスか、本人が楽しく通えるかをよく検討しましょう。
利用前の見学や体験利用を活用するのもおすすめです。
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デイサービスに行きたがらないケースに関するよくある質問をまとめました。ぜひ、問題解決のためのヒントにしてください。
デイサービスを利用すると、ご本人とご家族の双方にメリットがあります。
ご本人にとってのメリットは、自宅以外での交流を通じて社会的な孤立を防ぎ、生活にメリハリが生まれることです。また、リハビリやレクリエーションにより、身体機能や認知機能の低下を予防できることも大きなメリットでしょう。
ご家族にとってのメリットは、介護から離れる時間を持つことで休息でき、心身の負担を大きく軽減できることです。
無理なく介護を続けるためにも、デイサービスは非常に有効な選択肢でしょう。
| 本人にとってのメリット |
|---|
| ・リハビリやレクリエーションにより心身機能を維持・向上させる ・他者との交流により社会的孤立の防止し、生活にメリハリが出る ・入浴・食事などの日常生活上の支援を受けられる |
| ご家族にとってのメリット |
|---|
| ・介護から離れ、心身を休息させる時間が取れる ・介護負担が軽減され、在宅介護を継続しやすくなる ・介護の専門職に相談でき、情報交換の場を得られる |
デイサービスを嫌がっているにもかかわらず無理に行かせると、拒否や反発が悪化する可能性があります。ご本人の体調や気持ちを尊重し、一旦休ませてあげましょう。
しかし、頻繁に休むと生活リズムが崩れ、心身の機能が低下するリスクがあります。
休む場合は事前にケアマネジャーやデイサービスに相談し、利用を継続できるような対策を検討しましょう。
たとえば、通う回数を週1回に減らすなど、解決策を探りながら進めていくことが大切です。
デイサービスを嫌がる方には、行くメリットが伝わる前向きな声かけが有効です。
「体操で元気になろう」「おいしいおやつを食べに行こう」など、興味を引く言葉を選びましょう。
また、前日からデイサービスの予定を伝え、心の準備を促します。着替えや準備を家族がサポートし、送迎車が来る直前まで普段通りに接することもスムーズな送り出しにつながります。
デイサービスに楽しく通える方がいる一方で、「行きたくない」と嫌がる方もいます。
デイサービスに行きたがらない理由は、新しい環境への不安、人の世話になることへの抵抗感などと人によって異なるため、多角的に拒否の理由を探り対処する必要があります。
ご本人がデイサービスを嫌がる場合は、ケアマネジャーやデイサービスの職員と連携し、ご本人が笑顔で通えるような道を探しましょう。
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