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要介護1とはどんな状態?基準の違いや限度額を解説

要介護1とはどんな状態?基準の違いや限度額を解説要介護1とはどんな状態?基準の違いや限度額を解説

要支援との違いは?要介護1の状態とは

はーとん

要介護認定を受けると、介護を必要とする度合いによって要支援1から要介護5のどれか、または自立と判定されるっポ。

祖母

要介護と要支援の違いは何かしら? 大きな違いがありそうね。

要介護1とは

要介護度は、軽い方から要支援1、要支援2、要介護1~5の7段階です。
ここで説明する「要介護1」は、要支援2から一歩上がった状態。要支援と要介護では利用できるサービスが異なるなど、大きな違いがあります。

要支援状態
現在介護の必要はないが、将来的に要介護になる可能性が高い状態。

要介護状態
現在介護を必要とする状態。

要支援と要介護の差は、「現在介護が必要な状態にあるか」にあります。
では、要介護1とは具体的にどのような状態なのでしょうか。

要介護1に認定される人は、身だしなみや清掃など、日常生活や身の回りの世話などに手助けが必要です。
具体的には、足腰が悪く立ち上がりに時間がかかったり、足の運びが悪いために伝い歩きや杖を必要としたりする人などが該当します。

しかし認定の基準は身体機能だけではありません。理解力や判断力の低下があるために、家族の介護の手間が発生している場合には、要介護1の判定が出ることもあります。

たとえば、保険証や通帳などをたびたび紛失して再発行してしまう人、都合の悪いことを頻繁に取り繕うために介護の手間が掛かってしまう人などが該当します。
ほかにも、ひとりで飲み薬の管理ができるか、金銭の管理に不自由がないかなども、要介護認定では評価ポイントのひとつです。

要介護1と要介護2以降の違い

はーとん

要介護1と要介護2以降ではどんな違いがあるのかな?

祖母

そうね、要介護度別の目安を知りたいわ。

要介護度の目安としては、以下のような状態の違いが考えられます。

要介護1
要支援状態から、手段的日常生活動作を行う能力がさらに低下し、部分的な介護が必要となる状態

要介護2
要介護1の状態に加え、日常生活動作についても部分的な介護が必要となる状態

要介護3
要介護2の状態と比較して、日常生活動作及び手段的日常生活動作の両方の観点からも著しく低下し、ほぼ全面的な介護が必要となる状態

要介護4
要介護3の状態に加え、さらに動作能力が低下し、介護なしには日常生活を営むことが困難となる状態

要介護5
要介護4の状態よりさらに動作能力が低下しており、介護なしには日常生活を営むことがほぼ不可能な状態

厚生労働省「参考(3) 介護保険制度における要介護認定の仕組み」より

介護度別の詳しい解説は以下の記事をご覧ください。

同じ病気なら同じ要介護度?

はーとん

要介護1に認定される「わかりやすい基準」ってあると思う?

祖母

同じ病気なら、要介護度も同じってことかしら?

要介護認定には、「この病気なら要介護1」といったわかりやすい判定基準があるわけではありません。なぜなら、同じ疾患であっても症状の出方や後遺症は人によって違うため、介護の手間のかかり具合も大きく変わるからです。
介護の手間は介護認定の判定基準になるため、大きなポイントです。

たとえば、脳梗塞を患う人であっても、その症状は同じではありません。意識障害が残って寝たきりになる人もいれば、見た目の障害はなくても理解力や判断力の低下が著しくなる人もいます。

このように同じ疾患であっても人によって介護量は大きく変わることから、「この疾患だから要介護1」といった判定になるわけではないのです。

要介護1の主な原因って?

祖母

要介護1になった「よくある原因」ってあるのかしら?

はーとん

厚生労働省のデータがあるから、その資料を参考にして確認するっポ。

必ずしも同じ疾患で同じ要介護度になるわけではありませんが、要介護度別に介護が必要となった原因を調査すると、ある程度の傾向がみられることがわかりました。

介護が必要になった主な原因(要介護1)
第1位 認知症
第2位 脳血管疾患(脳卒中) 
第3位 高齢による衰弱

*厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概況」より作成

厚生労働省の調査によると、要介護1になった主な原因の3位が高齢による衰弱、第2位が脳血管疾患(脳卒中)。そして、第1位は認知症でした。

なぜ要介護1の原因第1位が認知症に?

はーとん

認知症が第1位になった背景には、介護認定審査の基準が影響していると考えられるっポ。

要介護認定では、要支援2と要介護1を判定する際の要介護認定等基準時間が同じです。
そのため、認知症によって要介護認定調査や介護サービスの内容に対する理解度が低くなるほど、加算がされやすく介護度が上がりやすくなります。

少しわかりにくいので詳しく説明すると、まず「要介護認定等基準時間」とは、要介護認定の一次判定を行うときの基準となる「介護の手間を測るものさし」のこと。

聞き取り項目の選択肢ごとに決められた時間をすべて加算して、その時間で要介護度を決めます。
非該当から要介護5まで基準時間が決められていますが、要支援2と要介護1の基準時間は同じです。

要介護認定の基準については、厚生労働省が以下のような説明をしています。

要介護認定は、「介護の手間」を表す「ものさし」としての時間である「要介護認定等基準時間」を下記基準にあてはめ、さらに痴呆性高齢者の指標を加味して実施するもので、「要介護認定等に係る介護認定審査会による審査及び判定の基準等に関する省令(平成11年4月30日厚生省令第58号)」として定められている。

引用:厚生労働省「介護保険制度における要介護認定の仕組み」

基準時間は同じなので、「認知機能の低下」と「状態の安定性」の度合いを見て、要支援2か要介護1に分かれます。

運動機能が低下していない認知症高齢者の場合、「認知機能の低下」によって要介護認定等基準時間にさらに時間数が加算されます。認知症状が顕著なほど介護度も上がりやすくなります。

「状態の安定性」とは、疾患や認知症による心身の状態が安定しているのか、不安定なのかを判断する基準です。安定しているのかどうかが、要支援2と要介護1の別れ目になります。
そのため、要介護1の原因には認知症が多くなるといえます。

要介護1で利用できる介護保険サービス

祖母

要介護1ではどんな介護サービスを利用できるのかしら?

はーとん

介護保険サービスには、施設に入所して介護を受ける施設サービスと、自宅などで生活しながら介護を受ける在宅サービスの2種類があるっポ。

施設サービスを希望する場合
要介護1の人が施設入所を希望する場合、特別養護老人ホーム(特養)には原則入所することができません。
ほかの老人ホームはおおむね入居が可能ですが、自立の人のみを対象とする有料老人ホームなどもあるので、必ず各施設に確認するようにしましょう。

在宅サービスを希望する場合
居宅では、ほぼすべての介護サービスを利用することができます。利用できる主な介護サービスは次の通りです。

  • 訪問介護​
  • 訪問入浴​
  • 訪問リハビリテーション​
  • 訪問看護​
  • デイサービス(通所介護)​
  • デイケア(通所リハビリテーション)​
  • ショートステイ(短期入所生活介護/短期入所療養介護)
  • 小規模多機能型居宅介護

さらに、要介護1の人が利用できるサービスには、福祉用具貸与(レンタル)や購入、住宅改修(介護リフォーム)があります。

このうち、福祉用具貸与については、介護度によってレンタルできる品目が決められています。
要介護1でレンタルできる福祉用具は、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助杖、排便機能を有しない自動排泄処理装置の5品目です。
なお、これ以外の品目でも、一定条件を満たせば例外的にレンタルが認められる場合があります。

利用できる上限額は?要介護1の支給限度額

介護保険サービスの利用には、要介護度別に上限額が決められています。
要介護1であれば、約16万7650円まで。自己負担額は収入によって1~3割となっているため、1割なら1万6765円、2割で3万3530円、3割で5万295円です。

要介護度ごとの区分支給限度額
要介護度ごとの区分支給限度額一覧
*1割負担、1単位を10円で計算

上記は1単位を10円で計算した金額です。地域によって異なることがあるので、詳しくはケアマネジャーや市区町村でご確認ください。

まとめ

要介護認定では、介護の手間がどれくらいかかるかが判定基準です。
要介護1は、疾病や衰弱などの理由により身体機能が衰えたり、認知機能の低下により生活の一部において介護が必要な状態となります。

しかし、介護の手間が掛かる状態がどの程度かは人によって違いがあるため、一概に「この状態だから要介護1」といえない部分があることも頭に入れておきましょう。

また、要介護1では支給限度額が低めに設定されているため、必要なサービスを厳選して利用することが大切です。

はーとん

要介護1は介護が必要な初期段階。リハビリや日々の取り組みの結果によっては、要支援に改善することも考えられるっポ。
もしまだ要介護認定を受けていないなら、「要介護認定の受け方と流れ」の記事を参考にしてね。

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著者:中村 楓

著者の画像

著者:中村 楓

著者の画像

介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級、認知症介護実践者研修修了
現役介護福祉士の介護コラムニスト。介護療養型医療施設(現:介護医療院)を含む病院やデイケア、デイサービスなど、入所から在宅までさまざまな現場を経験。介護職員や介護認定調査員の経験を経て、現在は相談員として勤務。介護の未来を明るくしたいという想いから、現場感あふれる記事を誰にでもわかる表現で執筆中。

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