介護が必要になってからの移動手段のひとつ、介護タクシー。外出に不安がある高齢者にとっては、かかせないサービスです。特に車椅子を利用している人や足腰の弱い一人暮らしの人にとっては、ちょっとした買い物も簡単ではないでしょう。
そんなときに便利な介護タクシーについて、利用方法は料金設定などをわかりやすく解説します。
あいたたたた……腰が痛くてたまらん!
大丈夫? 病院に行ったらどうだっポ?
うーん。行きたいのは山々なんだけど、今日は家族が出かけているから病院まで車で送ってくれる人がいないんだよ。
病院まで車で15分はかかるもんね……。
この腰の痛みじゃ一人でバスに乗るのも不安だし……。仕方ない、今日はタクシーで行くことにするか。
わしぞうおじいさんは、もし自分に介護が必要になって一人では移動できなくなったら……って考えたことある?
うーん。わたしには、たぶん息子やお嫁さんが付き添ってくれるけど、一人暮らしの人はどうしたらいいんだろうね。足が悪くなって車椅子生活になったら、タクシーの乗り降りも一人ではできないだろうし。
そんな高齢者でも大丈夫だっポ。付き添いがいなくても、一人での移動に不安がある人には、介護を必要とする人を対象としたタクシーがあるんだよ。
介護が必要な人向けのタクシー?
いわゆる介護タクシーだっポ。その名の通り、介護を必要として移動に不安を抱える人を対象としたタクシーなんだ。
普通のタクシーとはなにが違うのかな?
自宅から目的地までの移動はもちろん、車椅子のままタクシーに乗れたり、運転手に乗り降りなんかの介助をうけたりできるっポ。運転手は介護職員初任者研修とかの福祉系の資格をもっているから、必要があれば自宅に上がって介助をしてくれるんだよ。
それは助かるね。
それに移動に必要なら、車椅子やストレッチャーがレンタルできるんだっポ。だから、寝たきりでも利用が可能なんだよ。
それなら、安心して出かけられそうだ!
体が不自由な人が介護タクシー利用するんだろうから、介護保険は使えるんだろうね?
残念ながら、このサービスは介護保険を使えないんだ。だから、要介護の認定を受けていても、全額負担になるから注意が必要だっポ。
じゃあ高いのかい!? 介護保険が適用されるならありがたかったんだが……。
そう悲観しないで! 利用目的によっては全額自己負担だけど、訪問介護の「通院等乗降介助」と併せて利用すれば介護保険の対象になるんだっポ。
う~ん。なんだか話がややこしくなってきたな。
たとえば介護タクシーを通院で利用するなら、訪問介護サービスの「通院等乗降介助」が適応されてケアプランに組み込めるっポ。ケースによっては日用品の買い物とかでも利用できるけど、介護保険対象の可否はケアマネジャーに確認してみてね。
なるほど。介護タクシーは利用目的によって使い分けるのがいいかもしれないね。
ところで、介護タクシーは高齢者なら誰でも利用できるのだろうか。
介護タクシーの利用条件は、訪問介護の「通院等乗降介助」の利用とそれ以外で違うっポ。
どんな違いがあるのかな?
介護保険の「通院等乗降介助」を利用するなら、訪問介護を利用する要介護1以上が対象だっポ。移動目的は主に通院でなければ利用できないんだ。状況によっては、日常に必要なものの買い物や預金の引き出しでも利用できるよ。
なるほど……。介護保険内の利用だと制限がいろいろあるんだね。
介護保険外サービスの介護タクシーなら、移動に介助が必要な高齢者なら誰でも利用可能だっポ。孫の誕生日プレゼントを買いに行ったり、趣味の囲碁サークルに出かけたり、旅行にも使えるし、家族が一緒に乗っても大丈夫なんだよ。
いざというときの移動手段があれば安心だよ。
たしか、似たような名前で「福祉タクシー」ってあるよね。介護タクシーとは違うのかな?
福祉タクシーは、身体障害者を対象としているタクシーなんだ。だから、身体障害者手帳とかを持っていることが条件になるっポ。
なるほど。対象者が違うってことなんだね。
それに介護タクシーは、介護職員初任者研修とかの資格を持った運転手に介助をしてもらうことが可能だけど、福祉タクシーは運転手に介助してもらうことができるとは限らないっポ。
介護タクシーは、介助が必要な人にとって欠かせない移動手段といえそうだね。
でも、介護保険を利用できるタクシーのみを介護タクシーって呼んで、それ以外をケアタクシーとか別の名称で呼ぶこともあるっポ。
それに福祉タクシーも、ここで説明した介護タクシーのサービス内容と同じ場合があるから、注意したほうがいいかもしれないね。
ところで、介護タクシーの料金はどのくらいかかるのだろう? あまり高くないといいのだけど……。
まず、訪問介護の「通院等乗降介助」以外での利用は保険外サービスだから、全額自己負担だってことを頭に入れておかないとね。介護タクシーには、主に以下の料金がかかるよ。
これらを合わせた金額が最終的な支払額になるっポ。介護タクシーの会社は民間で運営しているし、各社で料金設定が異なることを理解しておいてね。
そうだね。覚えておくよ。
時間制運賃や距離制運賃を導入しているタクシー会社もあるから、料金設定のしくみは事前にしっかり確認しておくといいっポ。
時間制? 距離制って?
時間制運賃は、たとえば30分毎2500円って決まっていて、2時間利用したら1万円になるっポ。
距離制運賃なら、たとえば初乗りは650円、それ以降は一定の距離ごとに80円といった料金設定になるんだ。
距離が近ければ時間制のほうがよさそうだね。送迎料金やサポート料はどのくらいかかるのかな?
あるタクシー会社を例に挙げると、送迎料金が650円、サポート料は500~1500円だっポ。そのほか、車椅子のレンタルをする場合は、使用時間によって500~2000円がかかるよ。
ただし、それぞれの会社によって料金設定が異なるから、詳しくは必ず各社に確認してね。
そうなんだね。わかったよ。
あと介護タクシーや福祉タクシーは、利用券を交付する自治体もあるっポ。要介護認定を受けている高齢者や身体障害者手帳や愛の手帳を持てっている人は、助成を受けられるかもしれないから、お住まいの自治体に問い合わせてみるといいんじゃないかな。
金銭的な負担を軽減できるのはうれしいね。
介護タクシーを利用したいと思ったら、どんな流れになるのかな?
まず、予約が必要だっポ。利用前に行先や同乗者の人数、介助内容や体の状態などを確認して見積もりを出してくれるんだ。だから普通のタクシーのように、その場ですぐに利用することはできないんだよ。
一般のタクシーなら駅前や道端で拾えるけど……それは無理ってことだね。
そうだっポ。担当のケアマネジャーがいる人は、ケアマネを通すとスムーズに利用できるよ。その他の人は、直接タクシー会社に問い合わせてみてね。
近所に介護タクシーの事業所があるかがわからない場合は、市町村役場や地域包括支援センターで相談するといいよ。
利用したい日取りが決まったら、早めに予約をした方がよさそうだね。
特に、午前中は予約が埋まりやすいよ。タクシー会社の多くは1カ月前から予約可能だから、利用日程が決まり次第、予約することをおすすめするっポ。
介護タクシーは、通院やリハビリとかの定期的な利用はもちろん、趣味の外出や買い物、旅行、姪っ子の結婚式、孫のサッカー観戦とか、どんなときでも利用できるよ。だから、高齢者の移動を助けるだけじゃなくて、引きこもりを予防する手段になるっポ。
利用したいと思ったら担当のケアマネジャーに、まだ介護は必要としていないけれど外出に不安がある人は市町村役場、もしくは直接タクシー会社に相談してみてね。
*事業者や自治体により、ここで説明した内容と異なる場合があります。詳細に関しては、必ず各事業者・自治体にお問い合わせください。
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